#SFっぽい怪談 まとめ 第三夜

SFで怪談を。科学と非科学が混じったついのべ #SFっぽい怪談 のまとめです。(H26.11.16~12.26) 第一夜→ http://togetter.com/li/730051 第二夜→ http://togetter.com/li/735221 第四夜→ http://togetter.com/li/765510
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いぐあな・創作アカ @sou_igu

~♪「セイレーンの歌だ!」艦内に流れる旋律に青ざめる後輩を俺はどついた「アレは通信機器の誤作動で近くの恒星の振動を音に変換しているだけだ。艦長が気に入って機器を直してないんだ」「人騒がせな誤作動ですね」後輩が息を吐く「でも嬉しいわ」「なんか言ったか?」「いえ」 #SFっぽい怪談

2014-11-16 15:29:23
いぐあな・創作アカ @sou_igu

夜空を星が流れる「綺麗…」うっとりと呟く彼女に僕は言った「あの流れ星は○年前の彗星の星屑の跡を地球が今、通っているからなんだよ」「素敵…本当に、あの夜、処刑台の露と消えた王の恨みが程良く星屑に残っているわ」「え?」彼女の身体が箒に乗ってフワリと夜空に浮かんだ #SFっぽい怪談

2014-11-18 12:48:59
いぐあな・創作アカ @sou_igu

流れる広い川、白い花畑。オレは死んだらしい。目の前に優しそうな女性に手を引かれた少年がいる。親がいたことすら覚えてないオレに迎えは来るのか苦笑するオレの手を少年が取った #SFっぽい怪談 「迎えに来たよ。小さい頃の記憶を全部消された僕」少年が笑う「さあ僕とお母さんと一緒に逝こう」

2014-11-19 20:33:52
いぐあな・創作アカ @sou_igu

カプセルが警告音も無く目の前に迫る。と思った瞬間、それは消えた #SFっぽい怪談 それ宇宙開拓黎明期の宇宙船の脱出カプセルな。年単位で航海してた頃、何人も飛行士がおかしくなってそれで船を脱出したらしい。火星と地球の航路が魔の航路と呼ばれてるのは、その頃の怪異がゴロゴロしてるからさ

2014-11-21 12:21:10
森村直也<出歩けない隠居> @hpjhal

「ものが動くと言うことは、熱量の受け渡しがあったと考えられます。その受け渡しを可視化したものがこのセンサーです。エネルギー量で色が変わります。ほら」「花瓶を動かしたものは?」「エネルギーがあったんですね」「誰もいなかったですよね?」「エネルギーはありましたよ」 #SFっぽい怪談

2014-11-21 20:51:35
森村直也<出歩けない隠居> @hpjhal

新線だったから慣れてなかった。終点をも寝過ごして。父母祖父母、初恋の彼に大嫌いなアイツ、今の親友。気になるあの人。気づけば朝のラッシュの中。あれは何? #SFっぽい怪談 「物質量子化実現で車庫不要の地下鉄を実現しました」「人が巻き込まれたら」「自分の情報でも見るかもしれませんね」

2014-11-23 09:42:10
いぐあな・創作アカ @sou_igu

人類はついにテレパシーを習得した。これで言葉に出来ないニュアンスを正確に相手に伝えられる。笑わなくても『どれほど楽しいか』、怒鳴らなくても『どれほど怒っているか』、『空気』も完璧に読める #SFっぽい怪談 春の日差しの中、無表情の赤ちゃんを能面のようなお母さんが抱いて歩いている

2014-11-24 11:39:10
いぐあな・創作アカ @sou_igu

××時。火星地球間の小惑星廃基地で救難信号。確認に向かう #SFっぽい怪談 救助艇が飛び立つ。俺の代わりに乗った男が手を振る『新しい仲間か』『上手くやったな』周りに六つの影が浮かぶ「助け…」『助かりたくば代わりを用意しろ』「帰してくれ!」通信を切られたメットの中で声が虚しく響いた

2014-11-27 21:37:08
森村直也<出歩けない隠居> @hpjhal

呪いのピアスを知っているかい? 世にも美しい虹色の宝石。持つ者へ幸運を呼び込みながら、人格を乗っ取り、最後は持ち主の気がふれてしまうという。 #SFっぽい怪談 解析結果は温度差発電素子と特殊な水晶振動子。着ければ音波が発生し、人の声ともとれなくもない。これは残留思念と呼ぶべきか?

2014-11-28 15:47:12
いぐあな・創作アカ @sou_igu

開拓惑星○○で大気構成の微変化により全住民が死亡。生存者0名。原因は肺に共生していた微生物の死滅による酸素欠乏症。微生物はテラフォーミング時代に作られた合成生物で、遺伝子操作時、あるガスを浴びると自殺遺伝子が働き、死滅するように作られていた記録があったという #SFっぽい怪談

2014-11-28 15:58:03
いぐあな・創作アカ @sou_igu

今でも外宇宙では脳に影響を与える銀河宇宙線を浴びないよう行動が制限されるだろ?初期の宇宙船では注意してもおかしくなる飛行士が何人もいた。ある無頓着な国が国民を移民船で火星に送ったんだけどな…着いた移民は全員ボケていた。アレがその移民を収容した宇宙初の養護施設さ #SFっぽい怪談

2014-11-29 19:03:16
いぐあな・創作アカ @sou_igu

占い師の手のカードが捲られる。青いカードに連星を統治する大統領は息をついた「ではβを廃棄します」「こんなことで決めて良いんですか?」「良いのです。αもβも同じような星、どちらか一つを消せば良いんですから」大統領は薄く笑った「『私が決めた』のでなければ良いのです」 #SFっぽい怪談

2014-11-30 20:00:52
いぐあな・創作アカ @sou_igu

「映像を来場者とシンクロさせる?」「はい!」若いアーティストが胸を張る「来場者の脳波、付着物を計測し映像を流すんです」親子連れがお菓子の家に歓声を上げる。彼等が去ると赤ずきんが写った。狼が飛びかかり画面が赤く染まる「なるほど…」男が彼を見る。画面で狼が牙を剥いた #SFっぽい怪談

2014-12-01 07:23:42
にゃんしー@尼崎路上ライブ @slymelogue

「おかん、今日の朝ごはんなに?」 「今日、フの味噌汁よ」 「キョウフの味噌汁……!」 (ここでXジャパンの「紅」が流れ出す) 「隠し味 おかんの塩味 なつかしい 入れたのはシマヤ だしの素かも」 僕は、おかんみたいな彼女が欲しかったんです。 #SFっぽい怪談

2014-12-01 12:53:27
いぐあな・創作アカ @sou_igu

「銀河鉄道の旅ってのも乙なもんだ」窓の外には青と緑の惑星。と客車内に様々な生き物が浮かぶ。長い足の蜘蛛、波打って飛ぶ蛸…「申し訳ございません。近くの惑星で大量絶滅があったようで」「なあに、旅は道連れさ」俺は胸を切り裂いた傷を抑えると飛んできたクラゲを指でつついた #SFっぽい怪談

2014-12-02 17:12:01
いぐあな・創作アカ @sou_igu

打ち上げウィンドウは3秒。光芒が天を裂く。フェアリング分離。宇宙空間に剥き出しになる母を納めた棺桶 #SFっぽい怪談 「深宇宙への軌道投入成功」隣で見ていた姉が傷だらけの腕を撫でて笑う「随分念入りね」「二度と還ってこないようにね」僕は離れていくモニターの光点に安堵の息を吐いた

2014-12-04 18:06:21
いぐあな・創作アカ @sou_igu

宇宙航海を終え、帰ると俺と同じ顔の男が妻子と暮らしていた #SFっぽい怪談 「ここにいましたか」追い出された俺に俺になった男が声を掛ける「世界には同じ顔の人間が三人いると言います。では宇宙全体では何人になるでしょう?」奴は俺に他の同じ顔の男のデータを渡すと楽しげに去って行った

2014-12-06 14:10:13
森村直也<出歩けない隠居> @hpjhal

「我々は、我々に近い容姿、知能を持つ異星人を探していました。あなた方のような」揃って天使のように美しい宇宙人は翻訳機を通して語る。「窒素炭素酸素が豊富でH2Oが液体の穏やかな気候を持つ証拠ですから」そして剣呑な砲口を地上へ。「今は無き我らが母星に近いという、ね」 #SFっぽい怪談

2014-12-06 16:47:32
森村直也<出歩けない隠居> @hpjhal

生物は入力に対し脳への信号伝送、信号処理、出力の為の信号伝送を繰り返している。伝送には時間を要し、これが生物の反応限界と考えられている。 #SFっぽい怪談 「反応限界を小さくすればパフォーマンスが上がる。追求したくなるだろう?」神経へ電極を埋め込んだレッドワーカー達へ問いかけた。

2014-12-10 08:21:05
森村直也<出歩けない隠居> @hpjhal

賭けをしましょう。カプセルを二つ取り出しにこりと笑う。私が作り上げた最高の娘。賛美も誹謗も称賛も中傷も呪詛もありとあらゆる人間の感情を一身に浴びて育った私の愛人。 #SFっぽい怪談 交じり合うことで新たな種が生み出されるか。生み出された種に喰われるか。……あなたが私を愛する限り。

2014-12-10 13:00:11
森村直也<出歩けない隠居> @hpjhal

遍く国土を覆い尽くしたネットワークは人々の声を吸い上げる。思いを、感情を、不満を、裁きを望む社会の意志を、くすぶり続ける無意識を。声は鎌に集まってくる。鎌は声で動き出す。 #SFっぽい怪談 「冤罪なんだ」そう。だから? 裁決するのは私ではない。私は血を望む鎌をなだめるだけ。

2014-12-11 10:56:29
いぐあな・創作アカ @sou_igu

「殺人や自殺、死んだ者の声が聞こえれば悲惨な事件は無くなる」博士は霊魂通信機を作り啓蒙活動に努めた #SFっぽい怪談 亡くなった博士の棺に花を添える「どうして君は声は君だと明かさなかったのかい?」通信機がカタリと揺れる「だって、お父さんが聞きたかったのは私の声じゃなかったから」

2014-12-14 07:37:11
いぐあな・創作アカ @sou_igu

その少女はずっと待っていると言った。故郷に帰れる定期船を。夜空に彗星が尾を伸ばしたとき、少女は笑った。船が来た。冥王星とカイパーベルトのその向こう、太陽系の縁まで行く定期便がやっと来た。そう言って笑って飛び立って行った #SFっぽい怪談

2014-12-20 18:21:45
いぐあな・創作アカ @sou_igu

『××年、空から恐怖の大王が…』予言を具現化するような赤い光が降りてくる。その星は微生物、一つ残さず滅んだ #SFっぽい怪談 「当たり過ぎる予言っていうのは抵抗する気力も対策を考える思考力も奪うもんさ」タイムスコープを片手にもう片手に掘り出した希金属を持って予言者は高らかに笑った

2014-12-21 08:55:08
いぐあな・創作アカ @sou_igu

その施設には常に雪が静かに降り積もる。ゲレンデやスパが内設され、人々は一年中降る雪を楽しむことが出来る #SFっぽい怪談 プライベートルームの扉を経営者の青年は開けた「帰して…」雪の化身の少女が雪華の涙を零す「この装置は君の為に作ったのに…」青年は鎖に繋がれた白い手に唇を落とした

2014-12-22 12:27:00