【文フリ記念】言之葉乃標本箱 其之壱の読みどころ総ざらえ!

前回5月文フリで販売された、加楽幽明さん主催の闇擽発行の超短編アンソロジー「言之葉乃標本箱 其之壱 When The Fairy Tales Fall」の読みどころの私的案内をまとめてみました。基本ネタバレ感はないはずですが、気にされる方はご注意ください。 一応チェックしたところ拾い漏れはなさそうなので、これで正式リリースです。「私の作品スルーされてる!」という方ありましたら申し訳ありません。それはまぐれです。
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はやかつ @hayakatweet

さらに2篇、音楽と生を讃える作品。オギ「ヨハン」は短い言葉で生命の奥底に眠る音楽的本性をさらりと。五十嵐彪太「タンバリンを叩けば」は音の快楽が物語の波動と重なり合いさざめくよう。お茶目な祖父は語り手の中にも確かに生きていて、それは紛うことなき物語の「継承」です。 #言之葉乃標本箱

2014-07-25 23:11:18
はやかつ @hayakatweet

そういえば、タカスギ作「性の起源」ではいわば最初の歌を鳥から教わるのですが、ここに超短篇の比喩としてのコトリが潜んでもいるようです。そう捉えると五十嵐彪太作との響き合いも更に豊かに感じられます。そう見ると拙作の「歌」もまさに小さな物語だとも読めそう。 #言之葉乃標本箱

2014-07-25 23:23:51
はやかつ @hayakatweet

白縫いさや「カタリナ」からまた新しい章の始まりのように。秘密の花園への秘密の鍵。そしてオギ「化石村」の隠された森、隠された家族、そのこわれそうなはかない美しさ。 #言之葉乃標本箱

2014-07-28 08:55:59
はやかつ @hayakatweet

加楽幽明「臥龍天に帰す」は本冊子中最も正統的にフォークロアな作品。龍の堂々たる威容の描写が印象的です。続く武田若千「住処」の、対照的に小さな弱そうな、でもプライドは龍って…かわいすぎる。 #言之葉乃標本箱

2014-07-28 22:08:51
はやかつ @hayakatweet

続いては野棲あづこ「蝦蟇の虹」。タイトルが印象的ですが、蝦蟇(のような者)が自ら語るその数奇な由来もまた妖しく耽美的。よもぎ「ベッドタイムストーリー」はどんでん返しが楽しい「童話の童話」。内容は読んでのお楽しみ。まさに寝物語の理想形? #言之葉乃標本箱

2014-07-28 22:17:56
はやかつ @hayakatweet

ところでこの #言之葉乃標本箱 の連載ツイート、作品間のゆるいつながりのことはさすがに省略しつつあります。そのあたりは是非ご自身で見つけ、味わうことをお勧めします! (でもあまりに見事だとツイートしちゃいますけど)

2014-07-28 22:20:17
はやかつ @hayakatweet

かわいい絵本のような本田モカ「三角関係」。そして不思議な絵本になりそうな柴田友美「コーヒー一周分の涙」。タイトルも不思議ならタイトルと本文の関係も不思議な、鬼才の片鱗が鋭く光る一品。 #言之葉乃標本箱

2014-07-28 22:23:58
はやかつ @hayakatweet

添田健一「歩天歌」は同名の隋代の詩にこと寄せた伝奇。寡聞にしてこの星覚え歌の存在は知りませんでしたが、この詩の誕生にまつわるこんなエピソードがあったとしたら何と美しい。古典や史実に取材したものなど書けない私ゆえ、なおさら憧れます #言之葉乃標本箱

2014-07-30 09:42:31
はやかつ @hayakatweet

月の話が二つ。タキガワ「まるまる」は、月がかかるというその表現から生まれたような物語。かかる、ってまんまじゃないですか!(笑)楽しい。白縫いさや「夜の女王」は、有名なSFと違って月が女王なわけではありません。短く潔い。 #言之葉乃標本箱

2014-07-30 09:48:51
はやかつ @hayakatweet

ここは月や星にまつわる緩やかな連作の趣なのですが、では添田健一「ミカエラの甘い唇」は何故だろう…と読み返して、ああ、それか、と気付いたり。暗号的解読で膨らむ読者の楽しみ! ちなみに本作品は耽美的、かつバッサリ切り落として終わる感じが超短篇ならではのいい味わい。 #言之葉乃標本箱

2014-07-30 22:03:50
はやかつ @hayakatweet

病んだ月と終末的風景、「新しい楽園」は白縫いさやの最高傑作の一つではなかろうかと。爛れるような変化の日月が濃密に折り畳まれた数百字。続くオギ「夢の中で」の不安定な浮遊感にぼんやりと脳裏をひたす悔恨のような感情、これもたまらないですね! #言之葉乃標本箱

2014-07-30 22:08:10
はやかつ @hayakatweet

言わずと知れた超超短い傑作、春名トモコ「☆」は心に刻印された徴、あるいは傷? オギ作品ともゆるやかに交歓しあうよう。峯岸作の奇譚「星になる」に出てくる星もそれに似た何かなのかも。 #言之葉乃標本箱

2014-07-30 22:12:58
はやかつ @hayakatweet

白縫いさや「月兎のユベロ」は本冊子中おそらく最も長い作品(でも3頁と半分!)。超短篇とは語り口も異なり、どこか肉声が聴こえるような、若々しい懊悩と諦念がないまぜになったような味わい。この掌編に返歌のように添えられた春名トモコ「秘密」がまたいいバランス。 #言之葉乃標本箱

2014-07-31 00:18:48
はやかつ @hayakatweet

五十嵐彪太「月面炎上」は月・星の連作を締めくくる一編。五歳の坊やだけが気づいてしまったあまりに重い現実…というのは、月兎のユベロだけが頭上に浮かぶ地球の秘密に魅せられてしまったことにも呼応しているかのよう。 #言之葉乃標本箱

2014-07-31 00:22:32
はやかつ @hayakatweet

タキガワ「ゆらゆら」も珍しく、語り手の生の感情がひしと感じられる佳品。白縫いさや「ペパーミント症候群」は対照的に、生々しい衝動を思考実験的なフレームに流し込んで。どちらにも星と月の余韻、夜の空気がそこはかとなく流れています。 #言之葉乃標本箱

2014-07-31 08:55:46
はやかつ @hayakatweet

春名トモコ「衝撃」も、ある夜の空気のなかで目撃した変容の物語。ずっと昔の心臓競作の作品ですが、色褪せない傑作。 #言之葉乃標本箱

2014-07-31 08:58:07
はやかつ @hayakatweet

オギ「水鏡の島」では再び月が登場。明快な描写でありながら、どこか謎めいていて。しかも本冊子所収の他のオギ作品とゆるくつながっているようにも思えます。そのことも含め、本冊子を通してオギ作品に一番やられました。酔わせていただきました(悔恨に似た淡い悪酔いも含め…) #言之葉乃標本箱

2014-07-31 09:11:48
はやかつ @hayakatweet

さて、いよいよ本アンソロジーの大団円、たなかなつみ「モットモット」はそれにピッタリの楽しい一編。内容はこれこそ読んでのお楽しみ。そして物語は続く… #言之葉乃標本箱

2014-07-31 22:13:42
はやかつ @hayakatweet

改めて幽明さんの偉業に敬意と感謝を。編者としてのおそるべき仕事量、そして何よりその質! とても真似はできませんが、せめて自作を編む時にはお手本に仰ぎたいと思います #言之葉乃標本箱

2014-07-31 22:27:10