野菜解説シリーズ、分類的な第2弾としてはアブラナ科野菜を取り上げたい。中でも、リクエストされたこともあって、花蕾を収穫して食べるものから始めてみよう。まずはブロッコリーとカリフラワーは形態的にも分類的にも近いのでまとめてやってみたい。
2014-12-11 22:06:56まってました。
ブロッコリーとカリフラワー。
ブロッコリーとカリフラワーはどちらもBrassica oleracea L.に属し、植物学的には非常に近い。カリフラワーがブロッコリーの変種であるとの説もあるが、逆という話もある。和名はブロッコリーがメハナヤサイ、カリフラワーがハナヤサイと呼ばれており、そのようなイメージはある。
2014-12-11 22:08:24ともに原産地は地中海東部といわれ、このあたりからイギリスにかけて自生しているヤセイカンラン(wild cabbage)およびそこから派生し、数千年前から栽培されていたケールがその起源である。ちなみに、カリフラワーの語源はケールの花、ケールフラワーがなまったものといわれている。
2014-12-11 22:08:55古代ギリシャ人が紀元前600年以前からケールを栽培していたとされ、その後古代ローマではケールだけでなく結球するキャベツ状のものやコールラビ状の野菜を食べていた記録が残されている。
2014-12-11 22:09:24これらケールやキャベツは自家不和合性で容易に交雑するため、雑種が発達しやすく、ケールを起点として、花蕾を食用とするもの、結球するもの(側芽のみ結球するものも含む=芽キャベツ)、茎がわい化して肥大するものなどが派生してきたと考えられている。
2014-12-11 22:10:19ミラーの園芸家辞典(1724)にはスプラウト・カリフラワーあるいはイタリアンアスパラガスの記述がみられ、17世紀になるまではカリフラワーとブロッコリーの明確な区別はなかったと考えられている。
2014-12-11 22:11:25もともとカリフラワーは低温に弱く、温暖な季節のみ栽培されていたためサマーカリフラワー群と呼ばれていた。これに、キャベツなどとの交配により耐寒性を導入し、越冬して栽培できるものをウインターカリフラワーまたはブロッコリーと呼んでいたようである。
2014-12-11 22:11:44現在では矮性で一つの花蕾を収穫するものをカリフラワー、茎がよく伸び、側花蕾も収穫されるものをブロッコリーと区別している。カリフラワーは花茎も短く、一つ一つのつぼみが小さく全体として緻密な塊状だが、ブロッコリーは花茎が長めでカリフラワーほど密集していない。
2014-12-11 22:12:32カリフラワーは明治初期にわが国にも導入されたようだが、そのころは一般には普及しなかった。戦後しばらくして、ハナヤサイという名称でハイカラ野菜として広がり始めた。その後、1980年代に入って、緑黄色野菜ブームなどからブロッコリーの生産が伸びてくるようになった。
2014-12-11 22:12:52当初は統計ではブロッコリーはカリフラワーに含められていたが、ブロッコリーの生産量がカリフラワーを追い越したため1989年から単独で表示されるようになった。これはカリフラワーが白さを保つため花蕾を葉で覆うなど手間がかかること、面積当たりの収量で劣ることなどが要因であると思われる。
2014-12-11 22:15:17生鮮物ではブロッコリーの方がビタミンCが多いが、カリフラワーでは加熱調理した際に壊れにくいとされ、調理後含有量は同等であるといわれている。ブロッコリー生産は現在も年々伸びているが、カリフラワーも貯蔵性が高く、やわらかい肉質がさまざまな調理に適しているとして再び生産が拡大している。
2014-12-11 22:16:29カリフラワーの品種群のうち、近年流通が増加してきたロマネスコタイプについては、らせん状の尖った蕾が細かく分割しても相似形を作るという美しい花蕾が特徴であるが、食味はブロッコリーに近くカリフラワー独特のえぐみが少ないく、生食もできるため、人気を集めている。
2014-12-11 22:17:01そして、ナバナ。
そういえば、ブロッコリーとよく似ています。
ナバナはアブラナ科アブラナ属のうち、花茎や花蕾を食用とする野菜である。栽培種は在来菜種類と西洋菜種類に大別されるが、カラシナやハクサイ、カブなどの花茎もナバナとして自家消費されることもある。日本ではカラシナが野生化して河原などに群生しているが、それを食用に採取する人もいる。
2014-12-11 22:17:37もともと、食用の植物を総称して「菜」、食用魚類を「魚」、鳥獣の肉、魚介、野菜など副食とするものを「肴」と表記していずれも「ナ」と発音していた。「菜種」という言葉は野菜のうち、葉菜類一般の種を指す言葉であった。
2014-12-11 22:18:11これがアブラナの種が油脂原料として使用されるようになると「菜種油」の言葉とともに「菜種」はアブラナ種子の名称として広まったとされる。それ以後、菜種はアブラナ種子を、菜の花はアブラナの花を指す名称として定着した。
2014-12-11 22:18:38ナバナは菜種の花蕾や花茎を食用とする際に菜の花と区別するために名づけられたと考えられている。また、切り花として使用される場合にはハナナと呼ばれるが、使用される場所等によって混乱が見られている。
2014-12-11 22:19:12アブラナの起源は地中海沿岸のトルコ高原周辺と考えられている。日本への伝搬は縄文時代後期と考えらえているがはっきりしない。しかし、古事記や日本書紀にツケナやカブに関する記述があり、当時から食用に供されていると考えられることからかなり古いことは確かである。
2014-12-11 22:19:34在来菜種は奈良時代以前から栽培されていたツケナやカブ、新たに大陸から伝搬したアブラナ類の中から種子収量の多いものが選抜され、油脂原料作物として成立したものと考えられている。西洋菜種はより油脂生産効率の良いものを求めて明治以降に西洋から導入されたものである。
2014-12-11 22:20:08これら菜種は油脂原料として栽培されていたが、種子を採取している過程で自家用に野菜として利用していたものから、食味や栽培特性などが優れるものを選抜して野菜品種として成立したのだろう。このことから、日本における現在のナバナ産地はもともと菜種の産地であったところが多いのである。
2014-12-11 22:20:36菜種のうち、在来種のカラシナはオリエンタルマスタードといわれる和辛子の原材料である。ちなみにマスタードの原料となるシロガラシは同じアブラナ科の別種である。
2014-12-11 22:21:06というわけで、花蕾を食用とするアブラナ科野菜については以上です。中国野菜や細かい地方品種を入れるともっとありますが、あまりにも長くなるのでこの辺で。次は結球するアブラナ科野菜になるかな?
2014-12-11 22:22:49質問タイム。
@gan_jiro やんややんや(´▽`) せんせー、菜花のちょっとにがいの、なんのせいですかー?
2014-12-11 22:25:37