ロンゲスト・デイ・オブ・アマクダリ10100745：ショック・トゥ・ザ・システム ＃８

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ピーピピーピガガガー、ピピーガガガガガピー！UNIXモデムが必死に何かを受信する。だが彼女、モナコ・チャンは夜勤開けで眠い。彼女は毛布を被り、孤独な夢の中でまた後悔した。暫時のヒステリーでナボリを遠い洋上に送り出してしまった事を。「……ウッ、ウッ、あの時、ああしていれば……」50

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かつて彼女とミスター・ハーフプライスことナボリ・ドックは、サエたハッキングで大金を掴みかけた。だが結局は身を持ち崩し、再びネオサイタマの暗黒秩序にからめとられ、この老朽化マンションでマケグミ生活を送っていた。ピーピピーピピガー、ガガガガガー……モデムがデータ通信を終え……。　51

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『IP逆探知された！逃げろ！モナコ！逃げろ！データを持って逃げろ！』ノイズ混じりに聞こえるミスター・ハーフプライスの声。「ファー……？」モナコが焦点の合わぬ目をこすりながら、身をもたげる。「デ、データ着信……？」直後……KBAM！ファイアウォール爆発！「アイエエエエエエ！」　52

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ナムアミダブツ！ミスター・ハーフプライスの隠し持つ堅牢なるハッカー・セーフハウスとは、何たる噎せ返るほど杜撰な老朽下マンションの一室であった事か！誰にも気づかれずデータ送信を行い、完全犯罪を遂げようとしていた彼の計画は、天下網機密データのアクシデント的転送により水泡に帰した！53

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二転三転する事態に、ナンシーは眩暈をおぼえていた。アルゴスが転送先UNIXに対し本格的な攻撃を仕掛ける直前、彼女は月面サーバと艦隊ネットワークの通信を遮断した。間一髪である。だが遅かれ早かれ、アルゴスは別経路で接続を確立し、アマクダリは転送先に対し物理攻撃を開始するだろう！　54

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『転送先は？』ナンシーは自分と並列直結するハッカーを探り当て、問うた。『俺のビズを台無しにしてくれた』ナボリは、伝説のヤバイ級ハッカーを前になおも虚勢を張った。それはモナコを守るためでもあった。そして今度こそカネを手にするためでもあった。『報酬山分けで協力』彼は必死だった。　55

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『いいわ。セーフハウスの物理アドレスを。時間が無いの』ナンシーは了解した。ハッカーの流儀に照らせば、彼の言い分は尤もだった。彼女が混乱の中でtouchし、データ立方体をミスター・ハーフプライスの転送ストリームに乗せなければ、彼は誰にも気づかれずデータ送信を終えていたのだから。56

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10000100101……『ユンコちゃん、聞こえる！？』『アイ、アイ』モノバイクに跨がってハイウェイを疾走するオイランドロイド全身義体のサイバーゴス少女が、ナンシーからのIRC通話を着信した。後方からはハイデッカー武装車両による執拗な追跡を受けている。　57

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ZOOOOOM！モノバイクは車両と車両の隙間を縫うように走り、追跡を回避！アマクダリ・ニンジャは各所に散り、現在ユンコはノーマークでネオサイタマを動き続けている！『世界の命運を賭けた機密データがアクシデント送信。アマクダリより先にそれを奪取。了解？』『ファッキン・クール！』　58

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『物理アドレス送信な』『イエッサー！』ユンコ・スズキはゴーグルを下ろした。LANケーブルウイッグがハイウェイの乱暴な風に揺れた。AIシステムに物理アドレスが入力される。『ャー都会カルチ……！』マンション名と最短経路が視界ナビに示されると、ユンコはハイウェイから飛び降りた！　59

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【ロンゲスト・デイ・オブ・アマクダリ10100745：ショック・トゥ・ザ・システム】終わり　ニチョーム・ウォーへと続く