GB鎮守府の航海日誌 2014年07月から12月

kai jester @kai_jest

＜これまでのあらすじ＞ 大阪で開催される合同演習イベントを観戦すべく、日本に向かったGB鎮守府一向。 名目上は精鋭たちの戦技を直接見て学ぶためだが、提督は慰安旅行をする気しかないぞ。 #GB鎮守府

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ようやく日本に到着。 経由地の香港では多少のトラブルもあったが、ほぼ問題のない空の旅を楽しんだ。 ここ、関西国際空港は今や様々な人種と艦娘、深海棲艦がごった返すサラダボールめいた状況になっている。 #GB鎮守府

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どの入国ゲートも審査官が涙目になりながら必死にパスポートをチェックしており、待たされている渡航者は時間を追うごとに増加している。 「おいおい待てよ、自動化ゲートもあるんじゃなかったか？」 #GB鎮守府

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「あれは人間用ヨー、艦娘と深海棲艦は使えないネー」 胡散臭い日本語で答える金剛が答える。考えてみれば、工業的に生産される奴らじゃ偽装も苦労しねぇだろうな。 しかし、俺たちだけで約100隻か、待つのはかったりぃな。 #GB鎮守府

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周囲を見渡しつつ目ぼしい相手を探すと、10mほど前の審査待ち列に重巡リ級が並んでいた。 だいぶ待たされているようで、傍目にイラついているのがわかる。手頃な相手だ。 「電ちゃん、テキトーに砲自慢の奴らを前に出してくれ、あとはノリで」 「面倒は嫌なのです……」 #GB鎮守府

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「おい！そこの糞深海野郎！そこのテメェだよfucknリ級！」 急に大声を張りつつ、俺は大股で奴に近づくと、向こうは訳が分からないと言った表情でこちらを見返してきた。 「……誰？」 「ふてぇ野郎だなこの異常者！お前がやった事を覚えてっか！？あぁん！？」 #GB鎮守府

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ますます訳が解らないといった顔でこちらをじっと見る重巡リ級。 そりゃわかんねぇだろうな、俺も知らねぇ。 「まぁいーか、話は豚箱でやってくれ。その前に雷撃処分だろうけど」 急にトーンを落としてそう言ってやると、向こうもカチンと来たらしい。俺の胸倉を掴んでくる。あーあ。 #GB鎮守府

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「FREEZE!!」 「DOWN ON THE GROUND!!」 「FUCKN CRUISER!!!!!」 「FIRE! FIRE!」 俺の後ろからロス市警めいた怒号が上がる。電ちゃん、航戦連中に声かけたんか。 #GB鎮守府

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それを聞き慌てふためくリ級、パニックを起こすその他大勢。 各所で我先にと逃げ出す奴らが押し合い揉み合いを起こしている中、俺は電ちゃんに合流しつつハンドサインで発砲許可を出す。 各々隠し持っていた20.3cm連装砲を一斉射。辺りに血と肉を撒き散らし、前を開けて行く。 #GB鎮守府

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そのまま砲撃しつつ前進し、ついでに入国ゲートも粉々に粉砕させる。 戦闘の航戦共がゲートがあった場所を通過した辺りで砲撃を止め、既に何となく人型をしているような姿になったリ級を前に放り投げるよう指示したところで、港湾警察がすっ飛んできた。 #GB鎮守府

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「今更の登場か、嫌だね平和ボケした国ってのは」 「これはいったい何の真似だ！？」 この中では責任者なのだろう、警察官の一人が銃を突き付けつつこちらの意図を問い質す。向こうにも何隻の艦娘が見て取れる。 「あー、これか。これはアレだ。治安維持活動だ」 #GB鎮守府

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「何が治安維持だ！見渡す限り死体だらけだろうが！！」 最早発狂しそうな声を張り上げる警察官。死体を見るのがそんなにショックなのか？ 「まぁ待て、そこの重巡リ級……今はそうだったものだが……ブルネイじゃちっと名の知れたヤツでな。札付きのテロリストだよ。」 #GB鎮守府

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話を聞く気になったのだろうか、相手が黙ったところで一気に捲し立てる。 「誘拐、脅迫、暗殺、爆破、金融詐欺に自爆攻撃。挙げればキリがないが、要は人間と深海棲艦の対立を煽りたいって輩だ。ここはサラダボールだからな、今回の催しに乗じて『抗議』でもするつもりだったんだろ」 #GB鎮守府

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「し、しかし、我々は何も知らされていない！管轄の問題もあるだろう！！」 「俺だって今はプライベートだっつーの！たまの母国を楽しみにしてたら、いきなりテロ屋が出てきやがって、俺の身にもなってみろ！あぁ！？俺はジョン・マクレーンじゃねぇんだぞ！！」 #GB鎮守府

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怒鳴りつけると、向こうも渋々銃を下げる。それなりに物分かりが良いな。 「ったく、報告上げて、非番中のことだから始末書も書いて、正義のヒーロにしちゃあ厄介事だらけじゃねぇか。しかも俺はこの足で出頭する必要がある。防犯カメラも頂くぞ、どうせ軍が回収するんだから」 #GB鎮守府

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「あ、いや、こちらにも手順というものが……」 「おい、電ちゃん。名刺」 すぐに出してくる名刺を警官に手渡し、もう用はないとばかりに手を振ってやる。 「なんかありゃあそこに連絡しろよ。俺も海軍の人間だ、ちゃんと対応してやる。行くぞ」 #GB鎮守府

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そうして振り返らずに歩くと、向こうも連絡先を手にして一先ずは良しとしたのだろう、何も言わずに道を空けた。 空港の外に出て車を待っている時、伊勢が後ろから俺に訪ねてきた。 「ねぇねぇ提督、あの名刺って何さ？あんなの持ってた？」 その顔は興味津々といったところだ。 #GB鎮守府

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「持ってる訳ねーだろ。ありゃこういう時のお守りだよ。連絡先はレンタルオフィスみてぇなもんで、俺はずっと『作戦行動中』ってことになるんだ」 ついでに、ある程度の期間で住所から何から全部捨てることで、追跡されないように出来ている。 #GB鎮守府

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比較的優秀と言われている警察力も、国境を跨いでしまえばその力を阻害することができるし、それでも追い掛けてくる馬鹿は翌日の新聞に小さく死亡記事が載る事になる。 #GB鎮守府

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なんでそんな名刺を渡したかだと？さっきの治安維持活動は全部デマだからだ。 リ級はさっき初めて会ったヤツだし、テロ屋の犯行として並べた犯罪は今や日常的に行われている。 嗚呼憐れかな重巡リ級、その命は俺が列に並びたくないなんてチンケな理由で失われてしまった。 #GB鎮守府

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それにしても、迎えの車はどこ行ったんだ。折角ゲートを素通り出来たのに台無しにする気か？ #GB鎮守府

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つづく #GB鎮守府

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その時、空港のロータリーに一台のバスがやってきた。いや、突っ込んできた。 目の前に急停車したバスの前扉が開き、背の高い神父服の黒人が両手を広げて出てくる。 「おぉ！ブラザー！海を越えて自由の国大阪へようこそ！天上の父も諸手を挙げて歓迎しているようだ！！」 #GB鎮守府

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「いつからここは日本から独立したんだよタコ、いつ聞いてもアホ臭い演説だな」 この糞ハイテンションな黒人は提督になる前から付き合いのある情報屋だ。表向きは小さな教会を持つ神父だが、裏では艦娘ポルノや麻薬取引、武器密売など幅広い犯罪に関わっている。 #GB鎮守府

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仲介役として立ち回ることが多いが、儲かりそうな話を思いつけば自ら仕事を作ることもあり、それなりに顔は広い。 元々は米国で商売をしてきたコイツだが、今や艦娘に関わるあれこれの方が儲かると踏み、日本へ渡ってきた。 #GB鎮守府