GB鎮守府の航海日誌 2014年07月から12月

kai jester @kai_jest

その際にドジを踏み、危うくマリアナ海峡へ遠征させられそうなところを拾ったってわけだ。お調子者だが役に立つ。 「なんという暴言！しかし我が父は寛大だ、きっとその悪しき口調もお許しになられる！」 「うっせー糞神父、良いからバスに乗せろよ。あと積み荷の回収な」 #GB鎮守府

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今回は一応観光目的ということになっているが、場所が場所だ。 様々な人種や深海棲艦が闊歩するここ大阪は、国内でも有数の危険地帯と聞いている。 外務省の渡航案内ではなく、この糞神父の話ってところがいまいち信用ならねぇが、念のため装備一式を貨物として運び入れていた。 #GB鎮守府

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「それについては心配いらないな！何しろ私が選りすぐった精鋭たちが仕事についている！実績も確かな黒猫の集団だ！！」 「それ普通の運送会社じゃねーか！！」 「そうとも言うな！しかし腕は確かだ！！」 普通の運送会社に武器弾薬その他諸々運ばせんのかよ、おっかねぇ……。 #GB鎮守府

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「そんな事よりもまずは宿だ！君の小さな天使たちも長旅で疲れただろう！イエスが産湯に浸かった宿とまでは言えないが、ベストな宿を用意してある！」 「馬小屋より酷ぇ宿だったらてめぇを改めてマリアナ送りにしてやる」 #GB鎮守府

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ぐだぐだと文句を垂れつつ全員を乗車させ、電ちゃんの隣に座ったところでバスが出発する。 既に大阪は今回の合同演習一色に染まっているようで、用意の良いことに各座席の後ろにはビラと簡単なパンフレットが用意されていた。 #GB鎮守府

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『極大露出！警官を強姦する大和！』 『収容所も気合十分、近づく者は皆殺し重点！』 「……なぁこれ、演習と関係なくねぇ？」 「対戦カードぐらいしか書かれていないのです」 二人して顔を見合わせる。今回の旅はほぼアドリブでやることになりそうだ。 #GB鎮守府

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「さあ！その身を委ねる天上の宮殿に着いたぞ！戦いに疲れた羽を一時休めるが良い！」 「USJ近くのイーストサイドじゃねぇか！なんでビジネスホテルなんだよ！金の無い学生じゃねぇんだぞ！？」 「他の宿は部屋が埋まってしまったのだ！合同演習だからな！」 もうやだ帰りたい。 #GB鎮守府

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つづく #GB鎮守府

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「おいおい、これやっぱパンフであってんだって。場所と組み合わせが書いてあるらしいぞ」 対戦カードぐらいしか書いてないと思ったパンフを電ちゃんに手渡し、読んでもらう。 「前衛的なイラストかと思ったのですが……やっぱり読めないのです」 だよなぁ。 #GB鎮守府

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「すげぇ、あいつ瑞雲食ったぞ。おい伊勢、伊勢、お前今日からメシ瑞雲で良いか？」 「提督、普通は食べないものよ。瑞雲は艦載機よ」 #GB鎮守府

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観戦の合間にマスコミからインタビューされた。各鎮守府の特徴を紹介する番組らしい。 頭の悪そうな胸のデカい女が尋ねる。 「それで、鎮守府は建物ってやっぱりラブホテルみたいなんです？」 次の瞬間、灰色の肉片を頭から撒き散らす牛女。口は禍の元だな。 #GB鎮守府

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ちくしょう、酷い目にあった。 俺は今、ホテルのロビーで数人の艦娘と一緒に座っている。 もちろん例の合同演習は進んでおり、今頃会場は大盛り上がりだろう。なんでロビーなのにテレビもねぇんだ。安宿だからだ。知ってるよクソッ！ #GB鎮守府

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事の始まりはこうだ。 第一試合が終わって、俺たちは例のパンフレットを見限り、その辺りの店で適当に飲み食いしていた。 第二試合が始まれば場所がわかるだろう、場所取りはそこから鉛玉でやれば良い。 そんなことを考えながら、俺はお気に入りのジンジャエールを口に含んだ。 #GB鎮守府

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自慢じゃないが俺はジンジャエールにちょっとした拘りがある。 どっかの大麻みてーなマークの入った砂糖水や、場末のスナックにしか置いてねぇ様な色水なんか飲みたくもねぇ。 開けた瞬間、強烈に漂うジンジャーのフレーバーが楽しめないエールなんて屑だ。 #GB鎮守府

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いつかこの屑みてぇなモンを作ってる会社を襲撃して、その小便にも劣る成果物を根こそぎ爆破してやるのが俺の密かな願望だ。まぁ、これは良い。 そのお気に入りを瓶ごと口に含んだ時、妙に喉の奥がキュッとして、俺はすぐさま吐き出した。 しまった、やられた、一服盛られてやがる。 #GB鎮守府

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急激に気管が閉塞していき、息苦しくなる。あぁ、糞、マスクが鬱陶しい。呼吸が出来ない、空気が吸えない、これじゃあ喋ることさえやっとじゃねぇか……。 おい、誰か、アカシに、伝えろ……。 #GB鎮守府

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隣に座っていた電ちゃんの顔が見える。異変に気がついた様だ。 俺は酸素欲しさに喘ぐ呼吸をなんとか騙しつつ、喉と飲みかけのジンジャエールを指で指し、僅かな声で「アカシ」とだけ呟いた。あとはこいつが上手くやるだろう。 #GB鎮守府

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即座に周りの艦娘が全周警戒を始める。 電ちゃんが大声でアカシを呼び、手持ちの医療キットを抱えたアカシが俺の所へ駆け込んでくる。よし、これで何とでもなるだろう……。 そう、俺はアルコールを飲むと呼吸できなくなる体質なのだ。 犯人はその辺を良く知っている。 #GB鎮守府

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というわけで、万が一に備えて一度宿まで戻り、各種検査を終えて今に至るわけだ。 犯人？あぁ、それはもうわかってる。 俺の目の前で石抱きしている、茶髪で髪の長いクソレズ。 永久名誉漬物石こと大井が事の主犯だ。というか単独犯だ。 #GB鎮守府

kai jester @kai_jest

だいたいおかしいと思ったんだ。 いつもは顔見るたびに「雷撃処分してやる」だの「雷巡の価値もわからない無能提督」だのとぐちゃぐちゃ言っていた大井が、この日本旅行に来た途端機嫌よくしてるじゃねーか。 最初は北上との旅行が楽しいんだと思っていたがな。 #GB鎮守府

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「えー、で、大井さん？てめぇ何考えてんだ！？艦娘だから何でも許されるとか思ってるタイプのクソレズかあぁん！？」 抱えている石をぐらぐらと押し付けつつ優しく質問する。 が、ダメ。目の前のクソレズ闘士は何も答えない。まぁそうだろうな。 「おい、北上」 #GB鎮守府

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「大井っちさぁ。なーんでこういう事するかなぁ？いくらこの提督が年中口にボール咥えてる変態だからって……」 「お前も石、抱えるか？」 「だって北上さん！この変態、一緒に着任した私たちの間を引き裂こうしてるんですもの！！」 「電ちゃーん、石、1枚追加して」 #GB鎮守府

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その後、如何に自分の境遇が不遇であり、その根本的な原因は俺の職務怠慢と依怙贔屓であり、当鎮守府がその正しい姿を取り戻すために決断的な闘争を始めようと決意したのかを語り始める大井。 こんなところに革命闘士様がいるとは思わなかった。とっくに絶滅してると思ったんだがな。 #GB鎮守府

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ここまで悲惨な自分の艦娘を見ると、もう怒鳴る気力も失せてしまった。 「まぁ、言いたいことは色々あるが、要はお前どうしたいんだ」 「なんで私だけまだ改二にしないのよ！北上さんとお揃いにしなさいよ！」 おお！ブッダ！結局クソレズはクソレズでしかないのか！ #GB鎮守府

kai jester @kai_jest

想像を遥かに超えるチンケな動機に眩暈がする。 しかし確かに一理無いわけではない。着任早々俺に砲を向けたことを除けば、こいつを使わない理由は無かった。北上は改二になってますます活躍しているしな。 「じゃあお前、育成メンバーに入れたら大人しくすんのか」 #GB鎮守府