【アナ雪】アナとチビ九尾エルサ(2-5)【パロ】
- yorozuya753
- 2704
- 0
- 0
- 0
「いや、オラフはエルサの友達で、良い狼さんだからエルサを食べないでしょ?」 「うん」 「そーじゃなくて、悪い狼さんもいるから気を付けようねって話よ」 あたしの言葉に素直に頷いてくれるけど、たぶん分かっちゃいないんだろうなぁ。
2015-01-09 22:24:22(他人の悪意とか知らない方が良いけど、知らな過ぎても身を守れないし。うーん。難しいなぁ~) 綺麗ごとばっかで世界が出来てればいいのに。なんて生まれて初めて思ったわ。 そんな自分に苦笑いしてエルサをちゃんと肩まで浸からせる。この後お父さんとお母さんも入るから長湯し過ぎても迷惑よね。
2015-01-09 22:24:43あたしは100数えたら出るよと提案すると、エルサちゃんは「100も?」と、ちょっと困ったような顔。逆上せそうになったら出るから大丈夫と伝えて、一緒に数えはじめる。 「いーち」 「……いーち」 「にー」 「にぃ」 「さーん」 「しゃーん」
2015-01-09 22:35:16なんでかたまに上手く言えない言葉出てくるエルサちゃん。笑っちゃいながら数を数えて行く。 浴室に二人分の声が谺する。数を数えるだけじゃ詰まんないから、明日からは何か一緒に歌えるものにしようって考えた。 「ごじゅーろく」 「……じゅーろく」
2015-01-09 22:35:28半分過ぎたところでちょっとヘタってきたっぽいエルサちゃん。のぼせちゃったかなって顔を覗き込もうとしたら、不意に耳をピンと立ち上げて遠くを見た。 「?」 「……」 お湯の中に沈んでいた尻尾が水辺へと静かに浮上して、ゆらりと揺れる。動物が何かを気にしてる時のような、そんな雰囲気。
2015-01-09 22:37:27あたしも耳を澄ます。外の気配を窺う。けれど別段何も感じなかった。 「……エルサ?」 呼んだらはっとしたようにあたしを見て、首を横に振った。 「な、なんでもないの」 「……本当に?」 「うん。あの、どこまでかぞえ」 「エルサ?」 誤魔化そうとしてるのが丸分かりだったから、
2015-01-09 22:38:40少し強い口調で呼ぶ。エルサは「あぅ」と口を閉じて少し俯いた。 (ごめんね。詰問するわけじゃないんだけど、でもさ……) なんたってエルサちゃんはこのあたしから一回逃げ出してるからね。気になる事があるならちゃんと教えて欲しいの。
2015-01-09 22:43:48(また「一緒にいたら危ないとか」そんな理由でどっか行かれた嫌だもん) 恐がらせちゃうのは嫌だから、今度はなるたけ優しい声音で「本当に何でもないの?」と問う。頬を撫でて顔を上げさせると、エルサは困った顔をしてた。 「うん。なんでもないよ……ただ……」 「うん?」
2015-01-09 22:44:58「なんとなくね、よばれたようなきがしたの……」 誰に? とは、ちょっと聞けなかった。エルサ本人が分かってない感じで不思議そうな顔をしていたから。だからあたしは「そっか」と軽く頷くだけにして。
2015-01-09 22:55:12「あ、でも呼ばれたからって勝手にどっか行っちゃうのは無しよ? ちゃんとあたしに相談してからね?」 「ぅ?」 ついでに軽口も付け加えておいた。 「逆上せちゃいそうだからもう出よっか」 「まだ100数えてないよ?」 「あたしもいくつまで数えたか分かんなくなっちゃったからいいのー」
2015-01-09 22:55:24「えー?」 エルサちゃんの両脇に手を入れて抱き上げる。と、お風呂に入る前より少し重くなっていた。高い高いする要領でエルサちゃんの高く抱き上げて垂れた尻尾全部がお湯の中から出してみる。尻尾の先からざぁーざぁー水が滴っていた。 「……こりゃ乾かすの大変そうね」 「……そうかも」
2015-01-09 22:56:12抱き上げて掲げた先。見上げると、エルサの髪からボタボタとお湯が滴って顔に落ちて来る。蛍光灯に照らされて逆光になってて良かったなって頭の隅で思った。だって今顔の前に薄い胸とか窪んだお腹とか、あと、その、ゴニョゴニョ……えっと、とりあえず目の毒みたいなそんな感じなのよ!わかるでしょ!
2015-01-09 22:58:20目を合わして「バスタオル何枚いるかな?」って苦笑しながら言うと、エルサも苦笑して「わかんない」って答えが返って来た。 抱っこして湯船から出る。まだ脱衣所へは出ないでそこに立ってて貰って、尻尾を絞ろうと試みた。 「ちょっと絞ろうね。尻尾むぎゅむぎゅしちゃうけど……」 「……ぅん」
2015-01-09 23:05:00「大丈夫ですか? 大人しくしててくれますか?」 「……がんばりま、す」 弱々しい返事。苦笑して、濡れそぼった尻尾の根元を掴む。エルサは途端「きゅぅん」と弱く鳴いた。 一本一本は細くて指が回っちゃう程度だけど、さすがに九本もあると片手じゃ掴みきれない。
2015-01-09 23:16:57両手で掴んで根元からむぎゅっとむぎゅっと掴むと、尻尾は嫌がるように暴れた。 「うわっ、ちょっ! ぐへっ! ちょっ、エルサっ!」 エルサの尻尾にほっぺをビターンと叩かれた。痛くないけど衝撃はそれなり。というか尻尾自体より遠心力で飛んで来た水飛沫が目に入って痛い。
2015-01-09 23:17:10エルサは尻尾は自分でもどうにもならないみたいで、「ぅぅ」と涙目。背中を丸めて手を握り締めて耐えてる。ごめんなしゃいって引き結んでる口が呟いてるのが見えたから、なんかもう何も言えない。 困ったあたしはエルサの尻尾を丸ごと抱えて、腕の中に閉じ込めた。
2015-01-09 23:20:51(うわっ! 胸とお腹に当たってすっごくくすぐったい!!) 裸でやるもんじゃないって後悔したけど、今は何も感じないようにしておくわ。平静さんここにいてよお願いだから! んで、抱えた浮き輪を腕の力で萎ませるイメージでぎゅぅっと尻尾を絞った。 「ふわっ!?」 なんか可愛い声出してるし!
2015-01-09 23:21:27(ダメっ、行かないで! 平静とか冷静とかどっか行かないで!! ここにいてって言ってるのに!! 情熱と冷静の間、それが平静でしょ!? お願いだからあたしを置いて行かないで!!)
2015-01-09 23:32:44って、なんでシリアスなシーンじゃないのにこんなセリフ使ってんの!? これじゃあシリアスなシーンになった時に言う台詞なくなっちゃうじゃない! え? シリアスシーンなんてないから平気? もーまんたいノープロブレム? (ですよねー!)
2015-01-09 23:35:46そんな風に素数を数える代わりに、めちゃくちゃどうでもいいことを考えながらエルサちゃんの尻尾をむぎゅむぎゅする。じゃないと尻尾を絞る度に「ぅぅ」って小さく唸ったり「あぅ」とか「ぅぇ」って泣いたり「くぅん」と切なげに鳴くエルサちゃんの声に耐えられそうになかったから。
2015-01-09 23:42:32(なんかあたしが虐めてるみたいで辛い!) 尻尾をぎゅーってしてるだけなんだけどさ! 何もしてないわよ! 本当に! イジメてなんかないったら! だからお願いだからお巡りさんとか呼ばないで!! (もみ消してるから)前科はないけど、警察ってあんまり好きじゃないのよ!!
2015-01-09 23:45:01「よっし、こんなもんかな?」 はい、粗方水分が取れたから何事も無かったように尻尾を解放するあたし。大人ってズルいね。うん。知ってるわよそんなの!! エルサはするっとあたしの腕の中から尻尾を抜くと、上目遣いで睨んで来た。えー、あたし頑張ったんだけどなぁ? そうして八つ当たりなのか。
2015-01-09 23:54:27たぶん違うと思うけど、頭をプルプル振って同時に尻尾を盛大にプルプル振った。まるで水浴びした後の犬みたいな行動。でも犬ってそんな尻尾もふもふしてないし尻尾だって一本しかないわけよ。でも犬の傍でアレくらうと勢い良く跳ねて来る水に「うぇっぷ!」ってビックリするでしょ? その威力の倍よ?
2015-01-09 23:54:39あたし、今九倍くらいの威力のそれを喰らってるわ。 「ちょっ、えるっ……!!」 あんだけ絞ったのにどっから出て来たの、その水は!! って叫ぼうとしたけど水飛沫に襲われて顔を腕で必死に守っとく事しか出来なかった。何これスプリンクラー? 「もぉ~、エルサぁ~」 「あぅ……」
2015-01-09 23:58:48額を人差し指で小突くと、おでこを押さえて俯く。あんだけプルプルしたのに尻尾はまだ水気を吸って重いまま。ふわふわの影なんてまるでない。あたしは溜息を零していると、エルサがシャワーへと恐る恐る手を伸ばしていた。 (シャワーさんは噛み付かないってば。まだ恐いのかな?)
2015-01-10 00:01:57