ふつうに読んだら、凛ちゃんがボーイッシュ一辺倒なのは、「かわいいものには憧れるけれども、それに自分は似合わないだろう」という話なのであって、「かわいいものへの憧れ」それ自体は凛ちゃんは持っているし、「かわいい女の子に、アイドルになりたい」という気持ちも元々彼女のものでしょうよ。
2015-01-31 14:37:20なんで2期5話が外部からの押し付けという話になるのかまったく理解できない。押し付け、ということで言えば、たしかに元々彼女が持っていた「かわいいものへの憧れ」それ自体は社会的なジェンダー規範に囚われているもので、「本当の」彼女の意思ではない、という言い方はできるかもしれない。
2015-01-31 14:39:13しかし、そんなことを言ったら人の意思なんてものは全部外部から得たもので形作られるのだから、すべての意思が「押し付けられたもの」になるはず。ぼくが大学に進学したのも、サッカーが好きなのも、法学が好きなのも、およそ「本当の」ぼくの意思ではない。しかし、そんな人を馬鹿にした話はない。
2015-01-31 14:41:10だからこそ、ある種のフェミニズムがリベラルじゃない、というのはそういうことで。つまり、家父長的な社会に適合した欲望を持っている女性は、適応的な選好を形成することになってしまったので、抑圧を抑圧と感じていないのだが、しかし、それはたしかに抑圧であって、それは彼女の意思ではない、と。
2015-01-31 14:43:01いわゆる「酸っぱい葡萄」ってやつですね。こうした考え方は確実に必要だとぼくは思う。たとえば、非常に女性差別が激しい地域で彼女らが明らかに抑圧されているのに、しかし、主観的にはそれが「当然」だし「望ましい」ことだと考えているときに、そういうものを見過ごすのがよいとは思えない。
2015-01-31 14:46:47満足した奴隷、というものを肯定すべきかといえば、いくら満足していようが「奴隷であること」を正当な「彼・彼女の意思」と見做すことには正義はないと思う。虐待された子供はしかしなお親のことを愛そうとすると言うが、そうした子たちの意思を無条件に尊重することが正しいことなのか。
2015-01-31 14:48:41話がそれた。これは、だから要は消極的自由と積極的自由の緊張関係という話で、ある種の積極的自由は必要であるにしても、しかし、当人の意思が尊重されるということから軸足を移してはいけない。自らに対等な自律的な主体として相手を承認することは、真っ当な人間関係の第一歩のはず。
2015-01-31 14:51:26だから、2期5話はある意味で「押し付け」ではあると思っていて、というのも、凛ちゃんの意思は「私にはリーダーもドレスも似合わないし、だから、要らない」というものとして一応は表明されていたわけです。それはとりあえず尊重されるべき彼女の意思だとぼくは思うし、だから思うところはあるわけ。
2015-01-31 14:54:17ただ、逆に言えば、さらに遡ったところにある、凛ちゃん自身が抑圧しているところの「かわいいものを着たい」という意思それ自体は表明された意思の下に当然あるわけであり。その意味で、花陽さんと真姫ちゃんは、そっちの隠されている意思を凛ちゃんの本当の意思として扱ったわけで、
2015-01-31 14:57:30それはもちろんある種の傲慢ではある。間違いなく。だって、「私の意思はこれ!」という本人の主張を無視して、「いやあんたの意思はこれだ!」って言ってるわけだから。「ただ他人が私の中をっ、勝手にわかったような顔をする! それが嫌なのむかつくのっ!」と3巻で逢坂大河はキレるわけですけど。
2015-01-31 15:00:52でもさあ、でも、凛ちゃんだって「かわいいもの着たい」し「かわいくなりたい」わけじゃん。自己評価の低さが彼女にその気持ちを抑圧させているけれど。だから、なし崩し的にとはいえ、4話でμ'sに入るわけ。花陽さんに、一緒に入ってくれる?と言われたときの凛ちゃんの顔忘れられねえもん。
2015-01-31 15:12:14で、相手が抑圧しようとしている本当の気持ちを、「あんたがほしいのはそれだろ!」って強引に踏み込む、土足で入り込むこと、それ自体はたしかに傲慢かもしれないけれども、しかし、花陽さんや真姫ちゃんがなぜそんなことをするかって、やっぱり愛でしょう。友達のために傲慢になれるのは愛だよ。
2015-01-31 15:14:20「欲しいものを欲しがれない弱さ」ということを櫛枝実乃梨は大河にぶつけますけれども、似た構図だと思うわけだよ。それは星空凛という女の子の、生来的な臆病さだと思うし、だからこそ、彼女は、リレーで勝てなくて泣いちゃうわけだよ。そういう状況からずっと逃げてきたから。
2015-01-31 15:18:53本当にほしいものを真剣に、本気でほしがれば、手に入らなかったときのダメージは途方もないし。彼女のあのとびきり明るい性格、人と接するときのふざけたスタンス、語尾のニャー、あるいはかよちん大好きを連呼することだって、ぼくからするとあれは仮面だよね。臆病さだよね。
2015-01-31 15:20:42「一歩を踏み出さない」(will)のは臆病な彼女の悪い癖だけれども、それは、「自分はそれに相応しくないと思ってる」から「一歩を踏み出せない」(can)ということでもあり。だとすると、「あんたにそれは相応しいんだよ!」と言ってやれる親友たちの行動にはとても大きな意味があるはずで。
2015-01-31 15:23:31まあ、何が言いたいのかというと、手続き的な意味で花陽と真姫のやり方はたしかに褒められたものじゃなかったかもしれないけれども、その動機は間違いなく深い愛というものであったはずで、そして何より、凛ちゃん自身それによって「一歩を踏み出せた」し、彼女は幸せに思ってるはずだってこと。
2015-01-31 15:25:51凛ちゃんは、「自分の気持ちに素直になる」ことに対して臆病だったし、それはたしかに本来的には彼女自身によって克服されなければならないことだよ。彼女が克服したいと、思っているなら、だけれど。でも、そういうことを一人でできないときに、助けてくれる友人がいるのは幸せなことじゃないかなあ。
2015-01-31 15:27:44なんだろう、あれはたしかにりんぱなではあると思うし、だけど、でも、同時にまきりんぱなであるはずで。1期4話が『まきりんぱな』で2期5話はそのリフレインのはずなのに、なあ。なんでだろうなあ。まあ理性的なあれではなかったよ俺は。
2015-01-31 22:49:11