超準解析を代数的に。

代数のみの知識で超準解析を理解してもらおうと、実数体Rから超実数体R^*を代数的に構成する方法をまとめました。 予備知識は代数学の可換環や体の基本的な性質のみです(少なくとも代数学の入門的な教科書には書いてある知識のみだと思います)。 ただ、だいぶコンパクトに記述してありますので、読む際にはWikipedia( http://ja.wikipedia.org/wiki/超準解析 )も参考にしたほうがいいかと思います。 ※@alg_dさんのご協力により、補足に加えて直感的な説明も追加されました。
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エヴィン・ラティエ @evinlatie

[超準解析を代数的に。 #NA_alg ] 予備知識:可換環・体の入門的内容。 内容:実数体Rから超実数体R^*の代数的構成。 Wikipedia:http://ja.wikipedia.org/wiki/超準解析

2010-12-14 09:30:43
エヴィン・ラティエ @evinlatie

[1. #NA_alg ] 以下のようにRの(可算)無限列(a_n)_{n∈N}の全体R^∞に対して環構造が定められる: (a_n)+(b_n)=(a_n + b_n), (a_n)(b_n)=(a_n ・ b_n), 0=(0,0,0, ...), 1=(1,1,1, ...)

2010-12-14 09:48:12
エヴィン・ラティエ @evinlatie

[2. #NA_alg ] m:={(a_n)∈R^∞ : ∃k∈N ∀i≧k a_i=0 }はR^∞のイデアルとなる。mを極大イデアルm'に拡大する(そのようなm’は複数あるが一つ固定する)。剰余環R^∞/m'をR^*とおくと、(m'が極大イデアルであるから)これは体となる。

2010-12-14 10:09:48
エヴィン・ラティエ @evinlatie

[3. #NA_alg ] R^*上の順序を以下のように定める:[(a_n)], [(b_n)]∈R^*に対して、[(a_n)]<[(b_n)]⇔(c_n)∈m' ただし、(c_n)は、b_n - a_n > 0ならc_n = 0、そうでないならc_n=1と定められる数列。

2010-12-14 13:29:38
エヴィン・ラティエ @evinlatie

代数での構成はウル覚えです。順序の覚えてないのでウルトラフィルターでの構成の逆算から自作で定めました(;・∀・)大丈夫かな・・・

2010-12-14 10:34:35
エヴィン・ラティエ @evinlatie

[4. #NA_alg ] このように順序を定めると、R^*は順序体をなす。この順序体を超実数体と呼ぶ。RからR^*への単射準同型a |→ [(a,a,a, ...)]があるので、aと(a,a,a, ...)を同一視すれば、R⊆R^*とみなせる。

2010-12-14 10:48:39
エヴィン・ラティエ @evinlatie

[5. #NA_alg] n変数実関数f : R^n→Rに対して、f^* : (R^*)^n→R^*を f^*([(a_n)], [(b_n)], ... )=[(f(a_n, b_n, ... ))] と定める(well-definedです)。このf^*をfの自然延長と呼ぶ。

2010-12-14 11:02:06
エヴィン・ラティエ @evinlatie

[6. #NA_alg ] R^*上の無限小の例:[(1, 1/2, 1/3, 1/4,... )], [(e^-1, e^-2, e^-3,...)]. 無限大の例:[(1, 2, 3, 4,...)], [(2, 4, 6, 8, 10,... )]

2010-12-14 11:13:56
エヴィン・ラティエ @evinlatie

[7. #NA_alg ] この超実数体の性質などについてはwikipediaなどを見てね(ごめんなさいw疲れましたorz)。今回構成した超実数体がwikipediaに書いてある諸性質を満たすことは演習問題とする(投げやりw)。終わり。

2010-12-14 11:18:52
エヴィン・ラティエ @evinlatie

[超冪での構成をご存じの方へ #NA_alg ] U:={A⊆N : χ_(N\A) ∈ m'}はN上のultrafilterとなり(ry。ただし、χ_Aは特性関数(を数列とみてる)。

2010-12-14 12:06:58
V-alg-d(ZZ) @alg_d

NA_alg とやらにちょっと口を出すかどうか。

2010-12-14 21:24:19
エヴィン・ラティエ @evinlatie

@alg_d NA_alg に関する意見などは僕が聞きます。あればどうぞ。

2010-12-14 22:22:37
V-alg-d(ZZ) @alg_d

よし NA_alg について書くか (補足?)

2010-12-15 00:40:47
V-alg-d(ZZ) @alg_d

まず、イデアルm(もしくはm') と言うものの定義を思い出して置きます。 http://twitter.com/evinlatie/status/14487184803368960 #NA_alg

2010-12-15 00:42:58
エヴィン・ラティエ @evinlatie

[2. #NA_alg ] m:={(a_n)∈R^∞ : ∃k∈N ∀i≧k a_i=0 }はR^∞のイデアルとなる。mを極大イデアルm'に拡大する(そのようなm’は複数あるが一つ固定する)。剰余環R^∞/m'をR^*とおくと、(m'が極大イデアルであるから)これは体となる。

2010-12-14 10:09:48
V-alg-d(ZZ) @alg_d

明らかに { (a_n) | a_nは有限個を除いて0 }⊂m (⊂m') となる事に注意して置きます。

2010-12-15 00:45:01
V-alg-d(ZZ) @alg_d

ω:= [(1, 2, 3, 4,...)] =[(n)] が無限大の例と書いてありましたが、これを示そうと思います。 即ち 「任意の自然数kに対し k <ω」 ( k = [(k, k, k, …)]で同一視すると言う事に注意) 。

2010-12-15 00:48:39
エヴィン・ラティエ @evinlatie

[3. #NA_alg ] R^*上の順序を以下のように定める:[(a_n)], [(b_n)]∈R^*に対して、[(a_n)]<[(b_n)]⇔(c_n)∈m' ただし、(c_n)は、b_n - a_n > 0ならc_n = 0、そうでないならc_n=1と定められる数列。

2010-12-14 13:29:38
V-alg-d(ZZ) @alg_d

定義に当てはめると 「 [(k, k, …)]<[(1, 2, …)]⇔(c_n)∈m' ただし、(c_n)は、n - k > 0ならc_n = 0、そうでないならc_n=1 」 #NA_alg

2010-12-15 00:54:40
V-alg-d(ZZ) @alg_d

よく分からないかもしれませんが、最初に注意したとおり「c_nが有限個のnを除いて0 なら (c_n)∈m'」 です。つまり「(固定してあるkに対し)有限個のnを除いて n-k > 0 なら (c_n)∈m'」 #NA_alg

2010-12-15 00:57:13
V-alg-d(ZZ) @alg_d

直感的に言うと、m'と言うのが全ての判断基準を与えてくれます#NA_alg (先にこれ言った方が良かった…?)

2010-12-15 00:58:22
V-alg-d(ZZ) @alg_d

今は実数数列の空間R^∞ なるものを考えているわけで、例えば大小関係を(a_n), (b_n)の間に定義したい場合、「∀n∈N, a_n < b_n 」 であれば(a_n) < (b_n) だと自然に定義できます。しかしこんな事は稀。#NA_alg

2010-12-15 01:00:36
V-alg-d(ZZ) @alg_d

そこでm' が登場です。 気持ち的には 「十分たくさんのnについて a_n < b_n」の時 (a_n) < (b_n) と定めるわけです。 #NA_alg

2010-12-15 01:04:28
V-alg-d(ZZ) @alg_d

するとさっきの例(a_n) = (k) = (k, k, k, …) と (b_n) = (n) = (1, 2, 3, …) の場合明らかに 「高々有限個のn、即ち十分たくさんのn、 に対し a_n < b_n 」です。 なので (a_n) < (b_n) #NA_alg

2010-12-15 01:07:42
V-alg-d(ZZ) @alg_d

同じように例に書いてある無限小 [(1, 1/2, 1/3, 1/4,... )] も説明できます。 即ち「任意の正数ε> 0 に対し 0 < [(1, 1/2, 1/3, …)] <ε 」 #NA_alg

2010-12-15 01:14:46
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