#北方鎮守府精神病棟　回覧診察＃３

荷重さん @MGLover_nijyu

「止めろ、撃つんじゃない。―羽黒」 そう言われ、艤装に手が添えられました。 女性らしい線の細い指や手首。その先の第2種軍装。 止めてくれたのは、この鎮守府の司令官さんでした。 彼女に気付いて、皆が艤装を広げようとしましたが、背後に現れた駆逐艦が遮りました。 #北方鎮守府精神病棟

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「抵抗はしないでくれ、危害は加えない。 　…もし、反抗するというなら対処をしなければいけないが」 その言葉と共に、皆の後ろの駆逐艦達の腕が、三人の首に掛かります。 何時でもお前達の首を圧し折れる―。そう言ったメッセージでしょう。 「話をしたい、同行してくれ」 #北方鎮守府精神病棟

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勿論、抵抗する気なんてありません。 こうなってしまった以上、私達には逃げ場はありませんから。 　 そう告げると、司令官さんは不気味に笑い始めました。 まるで的外れだと嗤うように。 「ああ、心配するな。三番ドックでの会話を盗聴させてもらっていた」 #北方鎮守府精神病棟

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全てバレていたのですか。 「まあな、元々勘は多少良いんだ」 何故直ぐに殺さなかったのですか。もしかしたら、本当に撃っていたかもしれないんですよ。 「人を見る目には自信がある。長門も、お前も、信じていた」 たった一週間ほど共に居ただけなのに？ 「充分すぎる」 #北方鎮守府精神病棟

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「それに何よりも」 何ですか？ 「お前等の提督が、お前達を『道具』だと思っていると聞いて頭にきた」 …たったそれだけの理由で？ 「充分すぎる。感情を持ち自我を持つお前達が道具であって良い訳が無い。 　お前達は自由に生きてより洗練される兵器で、人間だろう」 #北方鎮守府精神病棟

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「所詮は私のエゴだ、我侭だ。だが、決めた。お前らを救ってやろう」 何をする気ですか。 私達の鎮守府は、数だけならどこにだって負けません。練度こそ低くても、物量で攻め立てるのが私達の司令官のやり方です。 　 …だからこそ、私達は此処で捨て駒にされたんですから。 #北方鎮守府精神病棟

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「その一言で決めた、ぶっ潰す」 …え、そ、そんな事！ 「止められんよ、私達は狂人の集まりだ、狂人には狂人のやり方がある。数でどうにかできるほど私達は甘くない。そうだろう不知火」 そう言って後ろを振り向いた司令官さんの視線の先。 そこには鬼の形相がありました。 #北方鎮守府精神病棟

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「何人殺せばいいですか」 「逆らう奴全員だ」 「良いでしょう、不知火の本気を御覧になってください」 目に宿るのは怒りの炎。彼女も、私達の為に怒ってくれているのでしょうか。 「艦娘は殺すな、戦闘不能にしておけ」 「重々承知しています」 #北方鎮守府精神病棟

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ああ、Hotline MiamiのBGMはやっぱりイイ…。 聞こえる、爆ぜる音、砕ける音、断ち切れる音…。 これがあるから、彼女達を死ぬほど暴れさせたくなる…。

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「…羽黒、お前の所は轟沈はあったか」 え…あ、はい。数日に一度、周期的に。 「確定だな、叢雲。こいつらを執務室に。時雨は今から言うメンバーを集めてくれ。陽炎、黒潮、夕立、瑞鳳、五十鈴、木曾…」 そう言って指示を出す司令官さんは、覚悟を決めた目をしていました。 #北方鎮守府精神病棟

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うちのメインを張れる艦娘って誰になるんだろうか。 描写が一番濃いのは今のところ夕立だけど書きやすいってだけって言っちゃうとそうだし。

荷重さん @MGLover_nijyu

「お前等、覚悟は決めておけよ。私達はこれから本気で大本営に喧嘩を売りに行く。 　…同業殺し、楽しみにしておけ！」 そう言って歩き出した司令官さんの表情は、苦々しげに歪んだり辛そうに俯いたりでしたが。 ―最後に見せた表情は、殺意に満ちた正に狂人の笑顔でした。 #北方鎮守府精神病棟

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ついに人殺し容認するまで行っちゃったけどどうしよう。 　 マジでどうしよう………（頭抱え pic.twitter.com/pHoxJEslma

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…Disconnected. #北方鎮守府精神病棟

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Linked for 1207 fireteam. And sent for protocol... completed. #北方鎮守府精神病棟

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「全ての戦いが、終わっていたら良かったのに」 　 #北方鎮守府精神病棟

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――― よし、点呼を取る。 叢雲「居るわ」、陽炎「はい」、不知火「ここに」、黒潮「はいな」、時雨「…」、夕立「ぽい（ﾄﾞﾁｬｯ」零すんじゃない。 五十鈴「万全よ」、瑞鳳「ん、んひゅぅっ？」此処で九九艦爆補給すんな。 木曾「おう」、浦風「んー」、夕張「はい」 #北方鎮守府精神病棟

荷重さん @MGLover_nijyu

さて、諸君らに集まってもらったのは談笑する為ではない。 私達に牙立つ愚か者共を特定した。 ここに居る彼女達の居た鎮守府、第95鎮守府が該当する。 　 艦娘数は多く、正面からは全面戦争になる可能性も有り得る。 なので、機敏な駆逐軽巡で暗殺していく戦法で行く。 #北方鎮守府精神病棟

荷重さん @MGLover_nijyu

まあ、暗殺と言っても要はウイルス戦法、中から破壊して詰めに外からも攻撃を加える。 そうすれば脱出時の安全も確保でき、やり残しも残らないという訳だ。 ここまで質問は。 　 そう言うと、離れていた羽黒達が手を上げる。 「あの、出来れば、艦娘は殺さないでください」 #北方鎮守府精神病棟

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その言葉に、木曾が口を挟む。 「その辺は心配無いぞ、ウチの指揮官はお人好しだ。 　…だが、理由は聞いておきたい」 他の艦娘達も同調する。 それを確認した羽黒はぼそぼそと喋り出した。 「…皆、あの鎮守府に不満を持っているんです、目先の利益しか考えないって」 #北方鎮守府精神病棟

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「元々、司令官さんは利益勘定で動く人でした。＋になることのために、犠牲を惜しまず戦力を投入しました」 そう呟く羽黒の目は暗い。 「私達以外の部隊が、深海棲艦を殺し、評価されていきました。―彼女達の気持ちも知らず」 羽黒の瞳が、潤み始めた。 #北方鎮守府精神病棟

荷重さん @MGLover_nijyu

「皆、苦しんでいたんです。来る日も来る日も殺して殺されて。艦娘ですから、仕方ないとは思っていても。 　だから、私は直訴したんです。彼女達に休暇をあげて欲しいと」 幾粒の雫が、ぽろぽろと毀れ出した。 「でも、司令官さんは言い放ったんです」 #北方鎮守府精神病棟

荷重さん @MGLover_nijyu

「『お前達に人権など無い。休みなんぞいらんだろう。唯の道具でしかないくせに人間面をするな。ほら、任務だ。この鎮守府を潰してこい』って…！」 ―その言葉に、一気に空気が凍りつく。 ああ、ブチ切れた。これでこいつ等は憂い無く。 『敵』を嬲り殺す兵器に変貌する。 #北方鎮守府精神病棟

荷重さん @MGLover_nijyu

「…オーケー、それ以上は必要ない。辛いだけだ」 怒りに燃える木曾が呟く。 羽黒の仲間達は、突然変わった空気に顔を青くするだけだ。 　 「安心しろ、助け出してやる。俺を…俺達を信じろ」 木曾の瞳は、慈悲と憤怒をない交ぜにしたように恐ろしげだった。 #北方鎮守府精神病棟

荷重さん @MGLover_nijyu

「バラしましょ、いいよね」「酸素魚雷でもいいわね」「一思いに脳天撃ち抜いて」「どうでもいいけどそのてーとくさん食べていいっぽい？」「骨までいいぞ夕立」 　 駆逐艦達が、殺し方を考えて姦しくなる。 まあその辺は後で考えろ。話を続ける。 #北方鎮守府精神病棟