【俺タワー】王国騎士団団長の憂鬱

俺タワーの王国騎士団団長トラッククレーンが密かに抱える悩みとは?
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ソート@永遠の桐生会 @sort_sJ1116

@rinnmutuki 私はいつか団長のような素晴らしい騎士に、誰からも愛されるようなそんな存在になりたいと思ってな、出動も訓練も必死に頑張ったんだ。 そしてどれくらい経っただろうな。荒れていた国内は治まりを見せ始め、平和な時間が流れるようになった頃だ。

2015-03-31 05:54:18
ソート@永遠の桐生会 @sort_sJ1116

@rinnmutuki 私は王国騎士団の次期団長に任命された。憧れていた団長の後継者になったんだ。 驚いたよ。まさか自分が団長に選ばれるだなんて思いもしていなかったから。 同時に自分なんかが団長になっていいのだろうかと悩みもした。

2015-03-31 05:57:18
ソート@永遠の桐生会 @sort_sJ1116

@rinnmutuki だが、周りの仲間は日々の努力を認められたんだ。だから頑張ってきた自分を誇ってもいいと言ってくれた。団長も、お前が後継としてこの王国騎士団を引っ張っていくのを期待していると仰ってくれた。 多くの人たちの期待を受けて私は団長になったんだ。

2015-03-31 06:02:29
ソート@永遠の桐生会 @sort_sJ1116

@rinnmutuki 最初は苦労したよ。団長の重責に押し潰されそうになった。やはり自分は団長の器なんかじゃないと挫けそうになったことも決して少なくなかった。 だがその度に前団長の、憧れていたその姿を、求め続けた理想の姿を諦めたくないと奮い立たせて頑張ったんだ。

2015-03-31 06:11:28
ソート@永遠の桐生会 @sort_sJ1116

@rinnmutuki そうして気付けば、個性的な団員に囲まれ私は王国騎士団の団長になっていた。今の私だ。 団員達は団長の私を慕ってくれ、昔ほど団長として思い悩むこともなくなった。 私が理想としていた騎士に、前団長に近付けたと私は思っていた。

2015-03-31 06:15:10
ソート@永遠の桐生会 @sort_sJ1116

@rinnmutuki でも、それは私の思い過ごしだった。現実は理想とはかけ離れていたんだ。 あれは騎士団で国境近くの警備に行った時のことだった。 国境近くということもあってか平和になった今でも小さな小競り合いが頻発していてな、私達が向かった時もちょうど騒動が起こっていた。

2015-03-31 06:21:20
ソート@永遠の桐生会 @sort_sJ1116

@rinnmutuki 私達は当然その騒動の沈静化に向かった。程なくして騒動は治まったんだが、その時に騒動の中心にいた者から言われたんだ。 「騎士だからって偉そうにするな。何様のつもりだ」 と。

2015-03-31 06:28:33
ソート@永遠の桐生会 @sort_sJ1116

@rinnmutuki 私達は職務を実行したまでだが、当人には面白くないのだろう。そんなことはよくあることだ。無論、そのようなことは幾度となく言われ続けて来た。大した問題ではない。 だが、問題はそれだけでは終わらなかった。

2015-03-31 06:39:44
ソート@永遠の桐生会 @sort_sJ1116

@rinnmutuki その者の発言を皮切りに、周囲の者からも批判の声が挙がり始めたのだ。それは私への批判だけでなく、団員、騎士団、挙げ句の果てには王国への批判になっていった。 騒動は沈静化するどころか更に大きなものへとなっていき、私はその騒動を止めることができなかった。

2015-03-31 06:45:31
ソート@永遠の桐生会 @sort_sJ1116

@rinnmutuki 私が何を言っても火に油を注ぐ状態。結局、地元の警備隊が出動して事は終わりを迎えたのだが、私は何もできなかったのだ。 団長として、団員達を守ることも、騎士として国を守ることも出来なかった。 それなのに理想の騎士に近付けた?何を思い上がっていたんだ

2015-03-31 06:49:11
ソート@永遠の桐生会 @sort_sJ1116

@rinnmutuki 私は何もすることが出来ないじゃないか。誰も何も守れずして何が団長だ、何が騎士だ!私は・・・私はっ!!

2015-03-31 06:52:41
ソート@永遠の桐生会 @sort_sJ1116

@rinnmutuki そう言い切ると団長は強く拳を握りしめ俯き黙り込んだ。オヤカタも何も言えずに再び静寂が二人の間を包む。 しばらくして、いつもの力強い声とは違いか弱い震えた声で団長が呟いた。 「オヤカタ……私は…私は今まで何を頑張ってきたのだ…?私は……」

2015-03-31 06:58:28
ソート@永遠の桐生会 @sort_sJ1116

@rinnmutuki 「団長……」 「私が……私が目指してきたものは……なんだったのだ……?」

2015-03-31 07:00:27
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@rinnmutuki そう呟くとまた黙ってしまう団長。その肩は小さく震えていた。 それを見たオヤカタは団長のそばに行きそっとその震える方に手を置いて言った。

2015-03-31 07:06:38
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@rinnmutuki 「団長がどれほどの思いをしたのか、それは正直俺には分からない。きっと想像以上に大変だったのだと思う。でも、俺もオヤカタという、人の上に立つ仕事をしているから、部下を、仲間を守れない悔しさはよくわかる。」 「・・・・・・」

2015-03-31 07:11:02
ソート@永遠の桐生会 @sort_sJ1116

@rinnmutuki 「ただ、団長は"団長"として本当によく頑張ったと俺は思う」 「・・・慰めはやめてくれ」 「慰めなんかじゃなく本当にそう思ってる。上に立つ者として精一杯のことはしたと本気で思ってる。」 「…でも守れなかったんだぞ?私はあいつらを守れなかったんだ!!」

2015-03-31 07:15:57
ソート@永遠の桐生会 @sort_sJ1116

@rinnmutuki オヤカタ「そんなことは・・・」 団長「そうなんだっ!!・・・私はもう…団長としてあいつらの上に立つ資格なんて・・・」 ???「「「「そんなことないよ(ねえぜ)(ありません)(です)団長!!」」」」

2015-03-31 07:26:55
ソート@永遠の桐生会 @sort_sJ1116

@rinnmutuki 突如ドアが開き、部屋になだれ込んできた騎士団員の4人。 団長「お、お前達…なんで…」 クローラ「団長は悪くないよ!!…あの時私達ずっと非難されて…何も言い返せなくて…でも!団長だけは最後まで私達を庇ってくれた!守ってくれた!!」 団長「クローラ……」

2015-03-31 07:31:33
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@rinnmutuki 姉御「騎士じゃないなんて言わないでくれよ!!あたいは団長の姿を見て騎士を志したんだ…団長はあたいの憧れなんだよ!!だから…騎士じゃないなんて悲しいこと言わないでくれよ!!!」 団長「ホイール……」

2015-03-31 07:34:33
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@rinnmutuki 参謀「私が参謀として作戦を立案出来るのはそれを指揮し実行することが出来る団長あってこそです。団長がいなければ私は……」 団長「ジブ……」

2015-03-31 07:37:23
ソート@永遠の桐生会 @sort_sJ1116

@rinnmutuki ダンプ「私達団員は団長の部下であることを、団長が率いる王国騎士団の一員であることを誇りに思っています。私達にとって貴女は最高の団長なんです」 団長「ダンプ・・・」

2015-03-31 07:39:49
ソート@永遠の桐生会 @sort_sJ1116

@rinnmutuki クローラ「私達にとって"団長"は団長だけなんだよっ!」 姉御「例えどんなに悪口言われようが団長が一緒にいる限りあたいは騎士をやめねえ!」 参謀「私は団長の傍で参謀としてもっと作戦を立てていきたい」 ダンプ「みんな団長が、この騎士団が好きなんですよ」

2015-03-31 07:47:29
ソート@永遠の桐生会 @sort_sJ1116

@rinnmutuki 団長「お前達……。…全く…しょうが…ないやつらだ……」 俯いて小さく肩を震わしながら呟く団長。しかし先ほどとは違いその声色は何処か暖かく感じられる。 すると、 クローラ「だんちょおおおおおお!!!」 泣きじゃくりながら団長に抱きつくクローラ

2015-03-31 07:50:52
ソート@永遠の桐生会 @sort_sJ1116

@rinnmutuki 団長「ちょっクローラ!?」 するとそれを合図に次々と団長に抱きつく団員達。 団長「なっ、お前達まで!?」 クローラ「やめちゃだめええええ!!うええええん!!」 団長「・・・全く。世話のかかる奴らだ。これじゃ当分団長はやめられないな」

2015-03-31 07:55:15
ソート@永遠の桐生会 @sort_sJ1116

@rinnmutuki そう言うと抱きつくみんなをそっと抱きしめる団長。 オヤカタ「言っただろ?そんなことはないって。…みんな団長が、騎士団が好きなんだ。そして、それを作り上げたのは間違いなく団長。団長は紛れもなく王国騎士団長の器だと俺は思うよ」

2015-03-31 07:58:40