#変態不知火さん I dedicate everything to you.

高峯みやび @sukamelancholy

足柄の改二改造の直後、彼女の大量の唾液を飲んでしまったラブホテル鎮守府の提督は未だ昏睡状態が続いていた。さらに、海軍本部からトラック泊地が大規模の深海棲艦に包囲、襲撃すとの入電。提督なしに海域に出撃すべきか否か悩む不知火を始めとする秘書艦たち。 #変態不知火さん

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そこに現れたのは、いつも鎮守府に一波乱起こす人物、海軍の『月影』が現れ、「出撃しなくても良い」と伝えられるが、その真意とは。 #変態不知火さん

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以前、ヨコスカアサイラムとの合同演習で見せたようなホログラフィックの状態ではなく、直接鎮守府に現れ助言した月影を訝しげに見る不知火。「司令官でもない貴女が何故そんな事を仰るのですか」「あらぁ、そんなに信頼ないの私。ちょっと残念」あからさまに肩を下げる月影。 #変態不知火さん

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「いい？ 提督の誠士郎クンがこんな状態で出撃したら軍規に背く事になる。〝好き勝手やっている鎮守府は沢山ある〟けど、私が関わっているここでそんな事はさせないわ」助言、というよりも警告。三人の秘書艦を順番に見て、月影はニコ、と笑って見せる。 #変態不知火さん

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軍規、という言葉に反応したのはビスマルク。彼女の故郷、しかも元将校であった彼女にとって軍規とは不可侵であり、絶対的なもの。こればかりはこの鎮守府に来て丸くなった彼女であっても諦めさせるのには十分であった。「けれど、トラック泊地はどうするの」ビスマルクが問う。 #変態不知火さん

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「見捨てる訳にもいかないわ」「そうです。見知らぬ方たちですけど、艦娘も、提督さんも護らなきゃです」龍鳳の手に力が入る。そんな彼女らに月影はうんうん、と頷き、「良い子ね。お母さん嬉しい。でも大丈夫なのよ。代理がトラック泊地を救うから」「代理……？」 #変態不知火さん

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月影はけらけらと笑い、まぁ気にしないでと気軽に言ってのけてから、ベッドで魘されたままの提督の瞼を開け瞳孔や口を開けて口内のチェックを行う。「んー、おかしな所はなんにもなさそうだけど……こうなってまだ二日目なのよね」「もう二日、です」龍鳳が訂正する。 #変態不知火さん

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そうね、と溜め息を吐き月影は「もっと精密な設備を持ってくるわね」と言い残し、その場を去った。残された三人の秘書艦は顔を見合わせ、やがて苦しそうに魘されている提督の顔を見る。秘書艦として、ケッコンした者として何が出来るのか。それがわからぬまま彼女達は俯く。 #変態不知火さん

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顔に汗を吹き出して苦しむ提督に、不知火はそっとタオルで汗を拭き取る。彼が昏睡状態になってからもう一週間。こうして苦しそうな顔を浮かべている。 「司令……どうして目覚めないのですか」 何も出来ない歯痒さに顔をしかめ、不知火は呟く。 #変態不知火さん

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顔だけでなく、身体と髪も綺麗に汚れを拭き取った不知火は苦悶の表情の提督の手を握る。 月影の用意した医療機器を持ってしても彼の昏睡の原因はわからずじまいで、今度は足柄の身体の調査を行っている。彼女曰くこの足柄モデルは特別製との事だが、それと関係があるのか。 #変態不知火さん

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昏睡状態でも提督は水分と栄養が必要である。点滴とスポイトを使った根気強い補給を不知火を始め、秘書艦のビスマルクと龍鳳も交代で看病している。鎮守府としての機能は停止しており、近海周辺までは警備として艦娘が航行し、指示は加賀が提督代理として勤めている。 #変態不知火さん

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提督がその業務に就けない間、その代理はいつも加賀がその役を買って出ている。それについては提督も文書に残しているし艦娘も納得している。そのおかけで秘書艦の三人は看病に集中出来ていた。 「……司令、おしめ、替えましょう」 不知火はそっと毛布をめくる。 #変態不知火さん

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昏睡していても排泄は変わらずだ。その為彼はおしめをしており、秘書艦の三人はそれを嫌な顔せずこなしている。綺麗に拭き取り、また新しいおしめをつける。一週間も続けていたら動作も慣れたもので、あっという間に替えは終わる。 #変態不知火さん

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嫌な顔はしないが、それでも、彼は若くそんな事をしなければならないその悲痛さが胸を刺す。それを紛らわすように不知火は提督に話しかけながら済ませる。 「トラック泊地から入電がありました。貴公らの迅速な深海棲艦の撃滅に感謝する、と。不知火たちは何もしていないのにです」 #変態不知火さん

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「新人の艦娘も着任しました。駆逐艦朝霜さん、練習巡洋艦香取さん、正規空母天城さん、潜水艦U-511のユーさんです」 捲った毛布を同じようにそっと戻し、不知火は微笑む。 「特にユーさんはドイツの海軍が製作したアンドロイドなのだそうです」 #変態不知火さん

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「日本の文化、鎮守府の環境を学習、記憶する事でユーさんの性格も変わるのだそうです。ドイツ海軍の技術は目を見張るものがありますね。もしかしたら、不知火のようなクローンを使用したモデルはもう古いのかもしれませんね。……不知火は新世代に負ける気は全くありませんが」 #変態不知火さん

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「何せユーさんは性行為が出来ないのだそうです。それよりも艦娘の性能を優先した結果、と。それでは司令の猛々しい肉棒も挿入出来ません。……あぁ、それでも、口内を使えばあるいは。機械の身体に精液が混入したら壊れてしまいそうですが」 #変態不知火さん

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そんな事を話ながら不知火は提督の手を握る。 「……司令の突っ込みが恋しいです。そもそも来ていきなりやると思うか、とか。セックス前提で着任した子を見るのはやめろ、とか。そんな辺りでしょうか。…………何も、仰らないのですね。……少し、寂しいです」 #変態不知火さん

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「誠士郎さん……私を叱ってください」 提督の右腕に手を触れて、龍鳳は一粒の涙を流す。 「今こうして看病をしていて、嬉しいと感じている私がいるんです。本当の私は貴方を独占して、誰にも邪魔されない二人だけの空間に居たい。……永遠に、貴方と一緒」 #変態不知火さん

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「誠士郎さんは私を必要として、私も誠士郎さんを必要として。片時も離れずに」 一粒、また一粒。龍鳳の頬を伝いスカートに染みていく。 「依存して、共存して、一秒も離れたくない。そんな素敵な世界を」 そしてついには眠り続ける提督の胸に顔を埋める。 #変態不知火さん

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「駄目な私を叱ってください。自分勝手な私を。貴方になら何をされたって逃げませんから。私にしてくれるなら、暴力だって甘んじて受け入れます。……誠士郎さん。お願い、起きて……っ。こんなの、やっぱり耐えられない……！」 #変態不知火さん

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声を抑えて静かに泣き続ける龍鳳の耳に、ノックの音が入った。慌てて龍鳳は身だしなみを整えて返事をする。すると入室したのは陸奥であった。 「……大丈夫？」 その意味はどちらに向けられたものなのかはわからないが、まだ瞼に残っていた涙を拭き取り龍鳳は頷いた。 #変態不知火さん

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陸奥は眠る提督の前髪を指先で撫で、手を頬に添える。 「気持ち良さそうにしてるのね」 「今は、ですけれど。時々苦しそうにしていて……」 「そうなのね……」 親指で撫でてから、その頬にキスをした後陸奥は立ち上がる。 「お邪魔よね、また来るわ」 「ま、待ってください」 #変態不知火さん

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「けど」 その陸奥の表情から、先程の龍鳳の懺悔を偶然聞いてしまったのだと悟った龍鳳は首を振った。 「いいんです。そういう私は、誠士郎さんが起きて元気になってから……です」 「そう。……そうね」 空いている椅子に座った陸奥は提督をじっと見詰める。 #変態不知火さん