『白妙の徒花』の感想まとめ

2015年4月19日に開催された名華祭に『DreamTale』の新作として発表した『白妙の徒花』の感想ツイートのまとめになります
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すうネ. @suune_

続き) ようにもとれるんですが、そう解釈されるのを防ぐための虞美人草の例でしょうか。決して虞美人(草)自身が美しいと言っているのではなく、それを通して見える彼女の生き様が美しいと言っているのですから。(その辺りの丁寧さは、読むうえで非常にありがたかったですね…。)原作の幽香は確か

2015-04-23 02:15:22
すうネ. @suune_

続き) 枯れた花を元どおりに咲かせたりする能力も持っていたはずですが、花の手入れを怠らないこと(P46)や、老いたひまわりの最期を見届けたこと(P58〜P60)を考えると、やはりこれが妖怪である彼女の美意識なのでしょう。 さて、それに対して、人間は基本的に花そのものの美しさしか

2015-04-23 02:17:10
すうネ. @suune_

続き) 見ない訳です。P84での幽香が言う「木綿花は枯れずにずっと美しいままだから、繁栄の象徴にもなっている」という台詞がまさにそのことを表しています。「ある物を美しいと感じられる状況・状態を保持する」のではなく、単に「ある時に美しかったものを、そのまま保持する」ということ

2015-04-23 02:18:20
すうネ. @suune_

続き) ですが、そこには変化が生じないので、妖怪にとっての美は存在しえません。(←こんな話は、前の感想でも述べた覚えが…?)「木綿子が「幽霊のゆーちゃん」とからかわれるのも、彼女がその点に関して妖怪寄りの考えを持っていたからでしょうか。 惜しむらくは、そんな彼女でもやはり人間性を

2015-04-23 02:19:46
すうネ. @suune_

続き) 捨てることが出来なかったということです。P48での会話では、ほどなくして訪れるであろう己の死を割り切れない木綿子の様子がひまわりから間接的に描写されていますし、P87では「やっぱり妖怪だったのか、やっぱり私は人間として独りなんだ」と、自分が異端であることを納得したうえで、

2015-04-23 02:21:33
すうネ. @suune_

続き) 幽香の誘いを断っています。人間であるプライドとだけでなく、人間と妖怪との大きな隔たりを意識してしまったのだと思います。 幽香についても同じです。自分の日傘に同化させようとする程に純粋な魂に出会って、人の心に近づいていくものの、最後には人と妖怪の本来の関係と、妖怪としての

2015-04-23 02:23:01
すうネ. @suune_

続き) 矜持を意識せざるをえず、最後の決断を下す。ここが本当に悲しいところで、最後まで読むと、それまでの幽香の木綿子に対しての心の砕きようがとても胸にくるのです。涙目になりながら読み終えて、そのまま読み返して泣きました。(そういえば、ここの日傘の解釈は非常に自然で良かったです!)

2015-04-23 02:24:06
すうネ. @suune_

続き) では、二人の出会いは初めから意味のないことだったのか、これはただの悲しい物語なのかというと、そうではないように思いました。というのも木綿子が描いた絵、幽香が作った木綿花に(当然ですが)意味があるからです。このあたりは読者によって捉え方が異なりそうですが、自分は「木綿花」

2015-04-23 02:25:07
すうネ. @suune_

続き) からは幽香を、タイトルでもある「白妙の徒花」からは木綿子をイメージしました。幽香は木綿子に、永遠に枯れない花を、すなわち「木綿花(ゆうか)」を渡したのです。「白妙の徒花」についてはそのままですね。白妙は白い布ですから、死装束を連想してしまいますし、徒花は咲いても儚く散って

2015-04-23 02:26:13
すうネ. @suune_

続き) しまう花、つまりは木綿子。 しかしP96にある幽香の疑問をよく考えてみると、違った答えが見えてきました。実はひまわりの花言葉として「あこがれ」「私はあなただけをみつめる」というものがあります。また、「木綿花」は木綿で造られた花を意味するだけではなく、木綿の白さを花に例えた

2015-04-23 02:27:20
すうネ. @suune_

続き) 語でもあるのです。つまり、木綿子がひまわりを一輪も描かずに幽香だけを描いたのは、美に対して自分と同じ考え(感覚)を持ちながら、自分のように人間に囚われることなく生きている幽香に憧れ、彼女だけを見ていたから。そして、幽香を白のみで塗ったのは、「木綿花(ゆうか)」の純白さを

2015-04-23 02:28:20
すうネ. @suune_

続き) 表現したから。(本来絵を描いている時点では、木綿子は「木綿(ゆう)」のことを知らないので、後半については微妙な部分もありますが、P30の「絵は心を映す」ということを踏まえれば、木綿子の心が無意識に幽香の純粋さを憧れと共にキャンバスに映し出していたとも考えられます。)

2015-04-23 02:29:32
すうネ. @suune_

続き) 白い服装といい木綿といい、文章の流れから純白のイメージを当然の如く木綿子だけに当てはめてきましたが、上のように、幽香本人にも当てはめるとすれば、タイトルの意味も変わりますね。「白妙の」を枕詞と同じような意味で捉えれば、「白妙の徒花」は「私の、人間にかける儚くも純粋な

2015-04-23 02:30:20
すうネ. @suune_

続き) 思い」、すなわち幽香を表すこともできるのです。 終わりが定まっているにも関わらず、幽香と木綿子が各々の「白妙の徒花」を咲かせんとする。それはとても悲しいことですが、同時にとても美しいことでもあると思いました。 非常に深い内容でありながら、まるでセイキロスの墓碑銘の

2015-04-23 02:31:14
すうネ. @suune_

続き) ように、人間から一歩引いたような立場で表現することで、逆により一層人間臭さを引き立てているというのは、さすがみぞれさん、ヒューマンドラマを得意分野とするだけはありますね…! 総じて、本当に良い本でした!!

2015-04-23 02:45:04