- gologoro13
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アイコンは @mi_suke15_さん作 アナログ/デジタル様々なゲームや中世ヨーロッパとファンタジーとおいしい料理を愛し、ゲーム、歴史、料理、料理クラスタ周辺をうろつく。RT多目。副垢@tensinplay /TRPG、ボードゲーム、ファンタジー、食材、料理 【緊急連絡先】discord 🆔tenpurasoba4
昨日こちらのツイートで紹介されている論文に興味ありとの反応が幾つかあったので、簡単に解説しようと思います。 「なぜノルウェーにだけやたらとヴァイキング時代の剣が見つかるか?」アンヌ・スタルスバイク著 twitter.com/Medievalists/s…
2015-05-17 09:57:44Why so Many Viking Age Swords in Norway? buff.ly/1JkkF9l pic.twitter.com/g638po5Gq1
2015-05-17 01:00:31Why so Many Viking Age Swords in Norway? buff.ly/1JkkF9l pic.twitter.com/g638po5Gq1
2015-05-17 01:00:31こちらの論文は2010年にトランシルヴァニアで開催された中、南東欧州の中世の軍事に関する国際学会の発表論文集に掲載されています。他にも、ビザンチン時代のルーマニアの剣、十字軍の剣、中世初期のポーランドの飾り斧、南欧の防衛設備や築城など様々な発表がなされたようです。
2015-05-17 10:08:19「なぜノルウェーにだけやたらとヴァイキング時代の剣が見つかるか?」 現在見つかっているヴァイキング時代(9,10世紀)の剣の数は、ノルウェーとそれ以外では大きく違うようです。様々な調査を総合すると、ノルウェーでは3000本。それに対し、スウェーデン700本、デンマーク80本(続
2015-05-17 10:13:21承前)アイルランド90本、ポーランド220本、ロシア47本、ウクライナ26本 また別の調査ではフランク王国領内で275本(内訳:オーストリア11本、ベルギー5本、スイス4本、フランス37本、オランダ41本、西ドイツ184本となります。 いずれにしろ、ノルウェーだけが一桁多いです。
2015-05-17 10:16:01本論では、この数の差がなぜ生まれるかについて1.人口比の差によるもの、2.キリスト教/北欧の異教という宗教の違いから説明を試みていますがいずれもうまくいかず、最後に同僚の鉄器時代専門家に仮説を述べてもらい締めています。 つまり、具体的な証拠を発見したのではなく仮説の段階の話です。
2015-05-17 10:19:04人口比については当時ノルウェーだけが人口が突出していたとは考えられず、むしろフランク王国に比べるととても少なかったと推測しています。
2015-05-17 10:24:56宗教の違いについては、北欧神話にもとづくスカンジナビア半島の宗教では(ヴァルハラ信仰のためか?)剣や装備も含めた豪華な副葬品を用意する習慣があるのに対し、キリスト教ではそのような副葬品を嫌い、剣などは水辺に打ち捨てていたと言う事のようです。しかしこの説にもとづいても、(続
2015-05-17 10:25:44承前)同時代に同じく異教が強かったデンマークやスウェーデンで見つかる剣の数がとても少なく、うまく説明できてないとしています。 そこで、同僚だった鉄器時代の専門家O.FARBREGDに仮説を述べてもらってます。彼によると、ノルウェーとそれ以外の異教国との社会体制の違いが大きい(続
2015-05-17 10:28:42承前)その社会体制の違いが、今日発見される剣の数の違いに繋がっているのではないかという説です。 当時、デンマークやスウェーデンに比べてリアス式海岸だらけのノルウェーでは王権の確立が難しく、その分自由民が多かったと考えられます。
2015-05-17 10:33:34ノルウェーではそれぞれが一国一城(城はありませんでしたが)の主たる自由民は副葬品としてそれぞれの剣を用意できる一方で、それ以外では王を中心とした身分制的な社会体制によってそのような「贅沢」ができるのは一部の人々だけだった。それが結果的に出土数の差に繋がっているのでは、と。
2015-05-17 10:36:15発表論文の内容は以上です。あくまで仮説でしかないのでなんともいえません。 本論で他の地域の例として挙げられている、後年墓所が農地化されるなどによってその時代に副葬品が「発見」され、考古学が発展する近代まで残らなかったケースもあるかもしれませんね。いずれにしろちょっと面白かったです
2015-05-17 10:41:30