忍殺二次創作お題カラテ【ギター・サウンズ・ライク・サンダーボルト】(原文のみ)
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「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」ナ、ナムアミダブツ!?45 #4215tk
2015-06-27 15:21:55その時である。ペリノアのニンジャ第六感は接近してくる新たなニンジャの存在を感じ取った。「イヤーッ!」カラテを中断しバック転退避!そこへ「ゴアアアアア!」轟音と黒い蒸気を纏った異形の獣が飛び込んできた。「なんと?」ペリノアは目を丸くする。予想外の動きだ。46 #4215tk
2015-06-27 15:24:16獣は、ぐったりと大剣に背をよりかからせたシューゲイザーを一瞥した。そしてペリノアを睨み、大きく息を吸う。ペリノアは身構えた。次の瞬間「ゴアアアアアアアアアッ!」「む……グワーッ!?」衝撃波さえ伴う咆哮。ペリノアが吹き飛ばされ、背後にあったバイオパインに衝突!47 #4215tk
2015-06-27 15:27:06その間に獣はシューゲイザーを咥えあげた。そして背中のサイバネエンジンをフル稼動!マフラーから煙幕代わりの黒い蒸気を放出し、宙を舞う!……「ヌゥー、コシャク」復帰したペリノアが唸った。彼は己の得物である大剣の元に歩み寄り、担ぎ上げる。そして獣の去った方角を見る。48 #4215tk
2015-06-27 15:30:08「……彼奴等、初めから組んでいたのか?それとも一方的なセンチメントか」呟いたペリノアは、ゆっくりと歩き出した。(いずれにせよ、俺のやることは変わらん。粛々と追い詰め、狩る。それだけよ)その眼差しははっきりと、遠のく二つのニンジャソウルを捕捉していた。49 #4215tk
2015-06-27 15:33:34「ヌゥーッ……」体を軋ませる痛みに呻き、シューゲイザーは目覚めた。蛇めいた眼差しの獣と目が合った。「ウオッ!?」思わず飛び起き、離れようとして……体の痛みに顔をしかめる。「GRRRR」どこか心配げに獣が唸った。敵意はないのか?シューゲイザーは訝しむ。51 #4215tk
2015-06-28 13:55:52「どうなってんだ、こりゃあ」シューゲイザーは周囲を見渡す。どうやらネオサイタマへ繋がるコクドウ付近か。「あのブルシット野郎……なんだ、クソ、どうなった」ペリノアの容赦ないカラテを思い出し、顔を歪める。彼は側に立つ獣を見やった。「お前が助けてくれたのか?」52 #4215tk
2015-06-28 14:03:45「GRRR」獣が頷く。こちらの言葉を解する程度には賢いらしい。「そうか。悪いな、助かったよ」頭を撫でてやる。獣の目が一瞬だけ丸くなり、やがて細まる。「ああ、お前もあのブルシット野郎どもに追われてたんだっけか?それでか。サイオー・ホースってやつかね、これも」53 #4215tk
2015-06-28 14:08:30軽口を叩いたシューゲイザーは、ギターの状態をチェック。演奏には問題ない。「よォし」獣に背を向けた彼はカラテ警戒し、周囲の気配を探った。「あいつが来たら教えてくれよ」彼は背後の少女に声をかけ、警戒に戻り……慌てて背後に視線を戻した。少女?いつの間に?54 #4215tk
2015-06-28 14:11:04少女の風体は異様だ。煤で汚れた白い髪。首から下げられた砂時計のペンダント。コルセットめいて体に巻き付いたいくつもの排気マフラー。おそらく背中にはサイバネスチームエンジン……そこに思い至ってようやくシューゲイザーは理解した。「お前もニンジャだったのかよ!?」55 #4215tk
2015-06-28 14:16:04「GRRR」獣めいて唸った少女は、困ったように顔を歪めた。マッタのポーズをした後、額にかけていたサイバーサングラスを装着する。そこに文字が表示された。『ドーモ、クエスティングです』「ドーモ、クエスティング=サン。シューゲイザーです」56 #4215tk
2015-06-28 14:20:58いかなる状況であれ、アイサツは大事だ。古事記にもそうある。『こういう形でのアイサツを許してほしい』『ニンジャになってから声がうまく出せない』「そ、そうなのか……いや、気にするこたあないけどよ」内心かなり動揺しつつも、シューゲイザーはなんとか言葉を返す。57 #4215tk
2015-06-28 14:25:50「しかしニンジャとはな!さっきの姿、あれジツか」『そう。ヘンゲヨーカイ・ジツ』「そうなのか。クールだな」本心からの言葉。クエスティングは複雑な顔をする。『そう。私はあまり好きじゃない』「アー……悪い。けど俺は本当にそう思ったんだよ」『本当に?』「マジだって」58 #4215tk
2015-06-28 14:32:22慌ててシューゲイザーは言い繕う。「そりゃ、最初はびっくりしたよ。仕方ねえよ。けどよく見るとその……スチームエンジン?すごくいいよ。パンクだよな」『……あなたの趣味の問題じゃない、それ?』「まあ、そうだな。でもいいと思ったんだから仕方ねえだろ」少女が苦笑する。59 #4215tk
2015-06-28 14:35:51シューゲイザーも笑いかけ……状況を思い出してその笑みを引っ込める。「まあ、その話は後でいい。とりあえずお前、なんで追われてたんだ」クエスティングがやや躊躇い、それでも結局はサイバーサングラスを操作した。『私はヤクザ事務所を襲撃した。だからだと思う』「ワオ」60 #4215tk
2015-06-28 14:40:59クエスティングはそのままサイバーサングラスの操作を続け、経緯を説明し始めた。彼女はもともと一種のジェット・パンクスで、気ままに暮らしていたのだという。そんな彼女がヤクザ事務所の襲撃を決意したのは、彼女の母が重い病気でフートンに伏せってしまったからだ。61 #4215tk
2015-06-28 14:45:56当然のごとく、パンクスだった彼女に治療費など出せるわけもない。以前のジェット事故でニンジャになっていたクエスティングは、それを利用しヤクザ事務所を襲撃。見事カネをせしめて母親を病院に預けることに成功した。しかし。『ヤクザどもの報復が来るのは速かった』62 #4215tk
2015-06-28 14:50:58「それがあの、ムエボーランとペリノアか」シューゲイザーは腕組みする。そして首を傾げた。「つまり、アマクダリとかいうのはヤクザってことなのか?」『それがよくわからない』「だよなあ。なんかどっかで聞いたことがある気もすんだ……アニキが言ってたのかな……」63 #4215tk
2015-06-28 14:55:48しばし考え込む二人。先に我に返ったのはシューゲイザーだ。「いや、それも後でいいんだよ!とりあえず逃げるなりなんなりしねえとマズイ。あのペリノアってブルシット野郎、めちゃくちゃ強えんだ。ムカつくけど!」『逃げるって、どこに?』クエスティングの無機質な質問。64 #4215tk
2015-06-28 15:14:27「……ダイジョブだ、アテがある。アニキならなんとかしてくれる!」「ほう。頼れる大人がいるというのは実際ありがたいものだ」背後から響く声に、シューゲイザーが硬直した。「GRRR……!」クエスティングがサイバーサングラスを外し、追跡者を睨みつけ唸る。65 #4215tk
2015-06-28 15:15:10「ドーモ、少年少女諸君。ペリノアです。そちらのお嬢さんはあの唸る獣に相違なしか。化けるものだな、女というものは」余裕の笑みを浮かべ、大剣を背負ったニンジャが悠々とこちらに歩み寄ってくる。「だがどこへ逃げようと無駄だ。貴殿らは私に狩られる獲物にすぎん」66 #4215tk
2015-06-28 15:16:52「ジツ使えるか、クエスティング=サン」背後を顧み、シューゲイザーが問う。クエスティングは憔悴した表情で首を横に振り、首にかけた砂時計のペンダントを指し示した。さらさらと砂が下へこぼれ落ちる。シューゲイザーは理解した。彼女はヘンゲヨーカイ・ジツを連発できぬ。67 #4215tk
2015-06-28 15:18:35砂時計が完全に時を刻み切るまで、彼女はヘンゲができぬ。血中カラテが足りないのだろう。そして人の状態の彼女の足で、この恐るべきニンジャから逃れられるだろうか?それは無理だ、とシューゲイザーは判断する。ならば取るべき道は一つのみ。彼はペリノアに向き直った。68 #4215tk
2015-06-28 15:21:07