『ベター・ア・フィッシュ・トゥデイ・ザン・ア・スシ・トゥモロー』

短編な。
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ジュセー @shiroboshi2

『ベター・ア・フィッシュ・トゥデイ・ザン・ア・スシ・トゥモロー』 #S57Ninja

2015-08-03 21:55:51
ジュセー @shiroboshi2

(これまでのあらすじ:トムコロ・ストリート近辺に社を構える中小企業ナマヤシ製薬。ナンシー・リーはこの企業がヨロシサンと繋がりがあると睨んでいた。確かな証拠を得るため、彼女は暗黒非合法探偵フジキド・ケンジを伴い侵入したが……) #S57Ninja

2015-08-03 22:02:06
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

これまでのあらすじスタートだ!? #S57Ninja

2015-08-03 22:02:42
ジュセー @shiroboshi2

「イヤーッ!」赤黒装束のニンジャは見張りのクローンヤクザの首をへし折った。「アバーッ!」そして物言わぬ亡骸となったそれを、物陰に移動させる。「……クリアだ」「さすがね」ブロンドのコーカソイド美女が彼の後ろへ向かう。そのバストは豊満であった。 1 #S57Ninja

2015-08-03 22:05:55
ジュセー @shiroboshi2

彼等は慎重な足取りで長い廊下を進む。「見張りの数も、監視カメラの数も少なすぎる。本当にヨロシサンの試作毒兵器がここにあるのか、ナンシー=サン」赤黒装束のニンジャ……暗黒非合法探偵フジキド・ケンジ、又の名をニンジャスレイヤー……は背後を歩く美女に問うた。 2 #S57Ninja

2015-08-03 22:10:18
ジュセー @shiroboshi2

「ええ、確かにここにある。ある程度はハッキングで把握しているわ。後は物理的証拠だけ」ブロンドのコーカソイド美女……ナンシー・リーは確信を持って答える。「見張りや監視カメラ、侵入者排除トラップが少ないのは、ここが小さい会社だから」 3 #S57Ninja

2015-08-03 22:14:07
ジュセー @shiroboshi2

「なるほど。絶好の隠れ蓑というわけか」ニンジャスレイヤーは独り言めいて呟く。「そういうこと。こんな小さい会社にヨロシサンの試作毒兵器が隠されているだなんて、誰も思わないわ」ナンシーはその呟きに返した。ニンジャスレイヤーは頷き、歩みを進める。 4 #S57Ninja

2015-08-03 22:17:45
ジュセー @shiroboshi2

二人は歩みを進める。道中幾度か見張りのクローンヤクザが居たが、ニンジャスレイヤーはこれらを殺害した。やがて彼等は『管理している』と書かれた扉の前で止まった。「イヤーッ!」フジキドはこれをカラテによって突破し、侵入。ナンシーも後に続く。「アイエエ!?」 5 #S57Ninja

2015-08-03 22:23:06
ジュセー @shiroboshi2

UNIX群の前に座っていた一人の男がホールドアップする。「アイエエ!侵入者!侵入……アイエエ!?ニンジャ!?ニンジャナンデ!?」フジキドは彼を素早く拘束した。その間にナンシーはハッキングを開始する。この管理室は、『表のナマヤシ製薬』の管理室だ。 6 #S57Ninja

2015-08-03 22:25:49
ジュセー @shiroboshi2

表のナマヤシ製薬会社に用はない。この管理室から、『裏のナマヤシ製薬会社』を把握する必要がある。高度に隠されたその情報を、ナンシーはあっという間に吸い出した。「ここから入り口を開けることは出来ないみたい。資料室に向かいましょう。そこに電子キーがあるはず」 7 #S57Ninja

2015-08-03 22:30:12
ジュセー @shiroboshi2

フジキドは頷き、拘束した男を床に置く。男は急性NRSにより、気を失ってしまったようだ。「資料室のどこかに、それは隠されている」ナンシーは言った。「そこから先は別行動になるわ。電子キーは二つ。片方は地下への入り口に、もう片方は倉庫に差し込み口がある」8 #S57Ninja

2015-08-03 22:36:27
ジュセー @shiroboshi2

フジキドは管理室を出て歩き出した。ナンシーも後に続く。「私は倉庫のキーを。あなたは地下への入り口のキーを。倉庫のキーが作動すれば地下への入り口のキー差し込み口が作動するから、開けて頂戴。そしたらそのまま侵入して件の試作毒兵器を持って帰ってきて」「了解した」 9 #S57Ninja

2015-08-03 22:42:31
ジュセー @shiroboshi2

「お父さんまだかなぁ」サヤコは独房じみた狭い個室の中で呟いた。そして、扉についた円窓から廊下を覗き込む。白衣を着た社員達が何か話をしながら歩いていく。そこに感情はない。カロウシ寸前の消耗した顔だけがあった。「……今日は遅いなぁ」 11 #S57Ninja

2015-08-03 22:48:31
ジュセー @shiroboshi2

サヤコのいる独房じみた個室の扉には、『285』と書かれたカケジクが掛けられている。右隣の個室には『286』のカケジク。左隣の個室には『284』のカケジク。この独房じみた個室は、長い廊下の端から端までビッシリと並んでいる。 12 #S57Ninja

2015-08-03 22:52:30
ジュセー @shiroboshi2

この異様な光景は、ナマヤシ製薬の秘匿された地下空間で広がっている。独房じみた個室の中には空きが一切ない。そこに入っているのは人間達だ。それは社員の家族であったり、社員の友人であったり……兎角、社員を逃さぬ為に、或いは口止めの為に監禁された、謂わば人質達だ。13 #S57Ninja

2015-08-03 22:58:52
ジュセー @shiroboshi2

「……はぁ」サヤコは溜息を吐き、窓から顔を下ろすと、独房じみた個室の隅にある小さなベッドの上に寝転がった。「……もうすぐご飯の時間だなぁ」彼女は固く閉ざされた扉の下部に設けられた、食事提供用小型扉をチラリと見る。昨日の残飯が残っていた。「お腹すいた……」 14 #S57Ninja

2015-08-03 23:02:59
ジュセー @shiroboshi2

「よし。バイオパンダを出したまえ、カジイ=サン」屈強な大男が白衣を着た社員へ命令した。その顔は禍々しいメンポで覆われており、そこから覗く赤い目には隠しきれぬ残虐性が秘められている……メンポ?そう、メンポ。彼はニンジャなのだ。その装束には鱗が刻まれている。 16 #S57Ninja

2015-08-03 23:10:32
ジュセー @shiroboshi2

「ヨロコンデー!」カジイと呼ばれた社員はスイッチを押す。彼等がいるフロアの眼下に広がる広大なアリーナにバイオパンダが放たれた。獰猛な鳴き声を挙げながらバイオパンダはアリーナの真ん中に置かれたフードに向かっていく。そして、それを食べた。 17 #S57Ninja

2015-08-03 23:14:28
ジュセー @shiroboshi2

途端にバイオパンダは痙攣し、そして倒れた。息は無い。僅か一秒の出来事。危険な毒だ!コワイ!これこそが、ヨロシサンの試作毒兵器『クラウチ』!このような危険な毒が正規開発されれば……!「はっはっは!これはいいものだな。あれの死体の回収後、もう一匹放したまえ」 18 #S57Ninja

2015-08-03 23:20:22
ジュセー @shiroboshi2

「ヨロコンデー!」カジイは頷き、死体回収班へ連絡をする。そんな彼の肩に、ニンジャが手を置いた。カジイはビクリと震え上がる。「なに、そう怯えることは無い。君は優秀なのだから、危害を加えはしないよ」「アッハイ」「この実験が終われば、子供に会いに行きたまえ」19 #S57Ninja

2015-08-03 23:24:01
ジュセー @shiroboshi2

子供。その単語を聞いた瞬間、カジイの顔に希望の色が。「ハイ! 」「いつもより長く残らさせているからね……実験が終われば直ぐに会いに行って、存分に時間を使うんだ。君は優秀なのだから」ニンジャは手を離し、後ろに置かれた椅子に座った。「再現性の確認。重要だよ」20 #S57Ninja

2015-08-03 23:28:30