◇黄昏町と私◇その4

『黄昏町の怪物』(http://t.co/f5TaRfDRkz)を用いたテキストカラテめいたなんか。時々進行に関係ない幕間劇も挟まります
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鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「ふふ、あたしを見てもなンにもならないわよ?」微笑混じりの言葉で注意されてしまった。「……すいません」ひとまず頭を下げておく。寧子ちゃんはといえば、きらきら光る目で並べられたりんご飴を見ていた。花より団子か。かわいい。「どちらの色がお好きかしら?」13 #4215tk

2015-08-23 13:03:08
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

微笑ましげに寧子ちゃんへ尋ねる店主。あ、待て。まだ買うと決まったわけでは「僕、赤いのがいい!」あー。とびっきりの笑顔で寧子ちゃんが答えてしまった。これ、買わなきゃダメなパターンだな……「そう、ならどうぞ。100圓よ」「わーい!」寧子ちゃんが代金を支払う。14 #4215tk

2015-08-23 13:06:09
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「それで?あなたはどちらの色がいいと思う?」小首を傾げて、木のお姉さんは尋ねる。いちいち色っぽいなこの人。「……じゃあ、青の方ください」「はい、毎度あり」笑みとともに手渡される青りんごの飴を受け取り、私たちはまた縁日へと戻る。うん、りんご飴美味しい。15 #4215tk

2015-08-23 13:09:02
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

しばらくは飴を舐めるのに時間をかけよう……そう思っていた私の耳に、あの透明な音色の合奏が聞こえてきた。「きれいな音」今の私より耳のいい寧子ちゃんにも聞こえたのだろう。彼女も足を止め、音の出所を探っている。私はといえば……ああ、いた。見覚えのある店主を発見。16 #4215tk

2015-08-23 13:12:08
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「やあ」近づいた私に気づいたのか、山高帽を被った店主が片手を上げる。その体は硝子細工のように半透明だ。「お久しぶりです。えっと……切子さん」「あれ、名前教えてたっけ?」「金魚屋の人から聞きました」「ははあ、鈴(りん)のやつか」切子さんが苦笑する。17 #4215tk

2015-08-23 13:15:04
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「ここで再会できたのも何かの縁。よかったらまた新しい子を」にこやかに売り込みを始めようとしていた切子さんが、ふと言葉を止める。「……その子は?」「僕、寧子!」「町で偶然出会って、それからなんとなく一緒に」「……ふぅん」彼女は僅かに目を細めた。不愉快そうに。18 #4215tk

2015-08-23 13:18:05
@hiiragi_r_t_d

そりゃ不愉快だよね。強者は孤高であって欲しいもんね #4215tk

2015-08-23 13:20:50
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「切子さん?どうかしました?」私は首を傾げる。なんだろう、やけに寧子ちゃんを見る目が冷たいような。彼女はハッとしたように私に向き直ると、誤魔化すように笑みを浮かべた。「ああ、ごめん。いい子を紹介するって話だった」「前のも気に入ってるんですけどね」19 #4215tk

2015-08-23 13:21:11
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

そう言うと、彼女は心底嬉しそうに頷く。「うん、そう言ってくれると私も嬉しい。けど、人の心は移ろうもの……だから、そのたびに最適な子を進めるようにしてるんだ」「商売上手なんですね」「あはは。さ、今度はこの子なんてどうだろう」渡してくれたのは、うっすら赤い風鈴だ。20 #4215tk

2015-08-23 13:24:10
@hiiragi_r_t_d

人の心は移ろう……切子さんにも恋の遍歴があるのだ #4215tk

2015-08-23 13:25:01
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

……結論から言うと、私はその風鈴を買った。こう、音を聞いてしまうと思わず手が伸びてしまう魔力がある。「寧子ちゃんにお薦めはないんです?」「え?うーん」切子さんは不意を突かれたように唸りだす。「そこの子には、うちの子達よりも美味しい食べ物を薦めたいね」21 #4215tk

2015-08-23 13:27:05
@hiiragi_r_t_d

ネコちゃんはアウトオブ眼中 #4215tk

2015-08-23 13:28:14
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

言われて私は寧子ちゃんを見る。彼女はりんご飴に悪戦苦闘していた。なるほど、道理で静かだと思った。「わかりました。じゃあ、また」「……本当に、ここに留まる気はない?」「ありませんってば」言い残し、私は寧子ちゃんとともに縁日へ。りん、と風鈴が涼やかな音を立てた。22 #4215tk

2015-08-23 13:30:06
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

四十一日目終了! 青いりんご飴と新しい風鈴を買った。 異形:牙・蛇髪・竜尾・三眼・火玉(火耐性) 【魂19/力10/探索4 所持金:300圓】 #4215tk

2015-08-23 13:31:15
@hiiragi_r_t_d

切子さん……この後寂しさを押し隠して鈴さんに絡みに行くんだろうね #4215tk

2015-08-23 13:31:57
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

[縁日]駄菓子を並べた的屋のトカゲは、君を値踏みするように見ている。「1回100圓だよ」《異形『猫目/虎目』『三ツ目』のどれかがあれば成功、なければ「賽子」を使い偶数が出れば成功【魂+1】/-100圓》 #黄昏町の怪物 shindanmaker.com/553567

2015-08-24 00:01:34
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

私は一度縁日に来たことがある。だからと言うわけではないが、露店の店主にもある程度の顔馴染みができているわけだ。「お久しぶりです」「……よう」例えば、駄菓子を並べていたこの的屋のトカゲさんのようにである。「寧子ちゃん。ちょっと遊んで行きませんか?」23 #4215tk

2015-08-24 19:42:02
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

猫のような目を瞬かせた寧子ちゃんが、満面の笑みを浮かべる。「やるー!どっちがいっぱい倒せるか、競争!」「いいですよ」笑い返した私は、指で100圓硬貨を弾き飛ばした。トカゲの店主が仏頂面でそれを受け取る。「……遊ぶんなら一回100圓だよ。連れのお嬢ちゃん」24 #4215tk

2015-08-24 19:45:01
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

寧子ちゃんも嬉々として代金を差し出す。代わりに放られたおもちゃのライフルを、私たちは同時に受け取り、構える。私はかっと三ツ目を開いた。おお、見える!あのときは薄暗くて見えなかったはずの的がよく見える!私は迷いなく照準を合わせ、引き金を引いた。25 #4215tk

2015-08-24 19:48:17
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

……「はい、まいどあり」どこか疲れたようなトカゲの店主に見送られ、私たちは的屋を後にした。両手にいっぱいの駄菓子を抱えて。「いっぱいもらえてよかったですね」「うん!」寧子ちゃんがとびきりの笑顔で答えた。うんうん、今日はとても運がいい。26 #4215tk

2015-08-24 19:51:11
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

四十二日目終了! 三ツ目持ちのため成功。魂+1。 異形:牙・蛇髪・竜尾・三ツ目・火玉(火耐性) 【魂20/力10/探索4 所持金:300圓】 #4215tk

2015-08-24 19:52:07
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

[縁日]「嬢ちゃん坊ちゃんお面だよ~」ひょっとこ顔の男は陽気だ。「どうだいおひとつ」《100圓でアイテム「お面(毎日診断後に魂+1/死亡時に消失)」を得ることができる》 #黄昏町の怪物 shindanmaker.com/553567

2015-08-25 00:04:18
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