羊君主と白き民Ⅱ~歌う魔法師~

グランクレスト大戦番外編、大禍災のキャラのRPまとめ。 長くなってきたので分けました。
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情報収集

猫憑ノコ🍄@トリトリVol.2対応中 @okurisuzume

@yoshikacrazy ーー次の日。 ライモンドの前に現れたシャロレーは、いつも通りの鎧姿だった。さすがに屋内で兜までは被っていなかったが。 「……さて、情報収集といったところだろうか」 いつものような気難しい顔で、机上を見つめる。 ⇒

2015-09-21 22:29:57
よ鹿🍅 @yoshikacrazy

@okurisuzume 「そうだね。まあでも、あまり思い詰めるのもよくないし気軽に行こうよ。気軽にさ」 ライモンドは難しい顔をしているシャロレーの前に、トーストの乗った皿を出した。まずは腹ごしらえだ。自分もトーストをかじりながら、前に座る。⇒

2015-09-21 22:37:44
猫憑ノコ🍄@トリトリVol.2対応中 @okurisuzume

@yoshikacrazy 「ああ、すまない。世話をかけてしまった」 シャロレーは顔を上げると、トーストを皿から取った。昨夜も思ったことだったが、「人間らしい」食事をするのも久々だった。 トーストをかじり、反芻して飲み込む。ほんのり甘かった。

2015-09-21 22:42:43
猫憑ノコ🍄@トリトリVol.2対応中 @okurisuzume

@yoshikacrazy 「……気軽にとは言っても、さほど時間が残されているわけでもあるまい。嵐がどこから来ようと、誰が企んでいようと、民だけは必ず守り通さねばならぬ」 ⇒

2015-09-21 22:44:53
よ鹿🍅 @yoshikacrazy

@okurisuzume 「それもそうだけど、無理をしすぎるのもよくはないからね。それと君が民を守るというのなら僕は君を守るよ。だって君を守る人がいないからね」 残ったトーストをミルクで流し込む。さすがにこの食べ方は美味しくないな。 「とりあえずどうやって情報を集めようか?」⇒

2015-09-21 22:51:52
猫憑ノコ🍄@トリトリVol.2対応中 @okurisuzume

@yoshikacrazy 「……私を?」 トーストの欠片を飲み込み、聞き返した。この魔法師は、予想外のことばかり言ってくる。 「……貴方も私の民の一人だ。私も貴方を守らねばならぬ」 ――暫く沈黙してから、それだけ言った。 「……情報収集だが」

2015-09-21 23:11:34
猫憑ノコ🍄@トリトリVol.2対応中 @okurisuzume

@yoshikacrazy コップに残ったミルクを飲み込み、少し窓の外に目をやってから口を開く。 「……私は民の背を借りて、この町周辺の様子を探りに行きたいと考えている。嵐について何か感じ取れるかもしれないし、何か知っている者がいるかもしれぬからな」⇒

2015-09-21 23:16:44
よ鹿🍅 @yoshikacrazy

@okurisuzume 「そうだね。じゃあ僕は町の中で色々聞いてみるよ。分担した方が捗るだろうからね」 さっきまで見せていた笑顔を崩す。 「それに人為的なものであるなら、街にも痕跡がないとも言い切れない」⇒

2015-09-21 23:22:16
猫憑ノコ🍄@トリトリVol.2対応中 @okurisuzume

@yoshikacrazy 「……そうだな。では、町の中はライモンド殿にお願いするとしよう」 ライモンドの言葉を受けて、はっとする。そうだ。町の中でも、完全に安全とは言い切れない。 ……自らが民から離れ、町の外に行くことが少しためらわれた。

2015-09-21 23:25:14
猫憑ノコ🍄@トリトリVol.2対応中 @okurisuzume

@yoshikacrazy ……いや、町には我が国のメイジとなったライモンドがいるのだ。彼を信じよう。 心の中で頷き、席を立つ。 ⇒

2015-09-21 23:29:25
よ鹿🍅 @yoshikacrazy

@okurisuzume 「うん。彼らのことは僕が引き受けるよ」 この国の民は羊といえど賢いことは、昨日一緒に過ごしただけでもう十二分に分かった。ただ不安なのは僕が彼らの言ってることを理解できないことだ。でもまあ大丈夫だろう。 「じゃあまた後で。そっちも気をつけて」⇒

2015-09-21 23:35:26
猫憑ノコ🍄@トリトリVol.2対応中 @okurisuzume

@yoshikacrazy 「うむ。ライモンド殿も、どうか気をつけてくれ」 兜を被り、羊小屋へと向かう。いつもシャロレーを乗せている4本角の羊を呼び、そっとその頭を撫でる。 「連日ですまない。私を乗せてはくれぬか」 羊は頷く代わりに小さくメエと鳴き、シャロレーに背中を向けた。⇒

2015-09-21 23:40:33
よ鹿🍅 @yoshikacrazy

@okurisuzume 「じゃあ僕も行くか」 シャロレーが行った後から羊小屋へと向かった。改めてこれだけの数の羊達を目にすると圧巻だった。 「え、ええとごめんね。今日はシャロレーじゃなくて僕なんだ」

2015-09-21 23:45:11
よ鹿🍅 @yoshikacrazy

@okurisuzume するとあちこちからメエエと鳴き出す。それがいったい歓迎を意味しているのか。はたまた不満なのか。羊の言葉を勉強したことないライモンドにはわからなかった。⇒

2015-09-21 23:46:55
猫憑ノコ🍄@トリトリVol.2対応中 @okurisuzume

@yoshikacrazy 女騎士は、羊に跨って町を出た。蹄の音を響かせて駆けながら、感覚を研ぎ澄ませつつ、人を探す。 暫く走り続けていると、町から離れたところで畑を見つけた。このあたりで暮らす人々が、畑を作り、作物を育てているようだ。 ……ここで聞き込みをしてみるとしよう。⇒

2015-09-21 23:54:07
よ鹿🍅 @yoshikacrazy

@okurisuzume 一方ライモンドは大勢の民を連れて、街を歩く。行儀よく2列で街を歩く彼らの姿は、遠くからでもよく分かるだろう。そんな羊達の方を振り返る。 (引き受けたはいいが、これでどうやって聞き込みとかをしよう) 一番目の前の羊と目が合った。

2015-09-21 23:58:47
よ鹿🍅 @yoshikacrazy

@okurisuzume 「メエエ」 しばらくにらめっこのように目を合わせ続けていたが、彼の声で我に返った。 「まあなんとかなるか」 歩きながらリュートを弾く。それに合わせて羊達も合いの手を入れてきた。それが楽しくて思わず自分も歌い出す。

2015-09-22 00:02:28
よ鹿🍅 @yoshikacrazy

@okurisuzume その姿を見た人々は羊の軍楽団だと言った。⇒

2015-09-22 00:04:52

情報収集~シャロレーサイド~

猫憑ノコ🍄@トリトリVol.2対応中 @okurisuzume

「すまない、そこの方。聞きたいことがあるのだが」 シャロレーは、畑を耕していた老人に声を掛けた。老人が振り向き、まるで畑から魚が生えてきたような顔をして、大きな羊に跨った女騎士を見た。 #羊君主と白き民

2015-09-22 00:31:09
猫憑ノコ🍄@トリトリVol.2対応中 @okurisuzume

まるで牧草地からニンジンが飛び出して来たような顔をされた、とシャロレーは思った。だが、いちいち突っかかっているわけにはいかない。今は情報が優先だ。 「……お尋ねしたい。最近、このあたりで何か変わったことはなかったか」 #羊君主と白き民

2015-09-22 00:37:09
猫憑ノコ🍄@トリトリVol.2対応中 @okurisuzume

「……今のお前さんの格好が一番変わっとるよ」 老人はそう言って不審そうな目を向けたが、女騎士に鋭い目で睨まれたような気がしたので、一歩引いてから口を開いた。 「……変わったことと言われても、儂は畑を耕しておるだけでの」 #羊君主と白き民

2015-09-22 00:42:46
猫憑ノコ🍄@トリトリVol.2対応中 @okurisuzume

「ううむ」 老人は暫く俯いて女騎士の顔を見ないようにしていたが、ひとつ思い出したように顔を上げた。 「最近、変わった虫を見たかもしれぬの。蟻のような、顎の大きなやつで……」 老人はその蟻について話してくれた。要約すると、変わった形の蟻がいた、それだけのようだ。 #羊君主と白き民

2015-09-22 00:48:52
猫憑ノコ🍄@トリトリVol.2対応中 @okurisuzume

老人は女騎士の鋭い視線に押され、何か話さなければと思ってその話を絞り出したようだったが。 「変わった蟻がいたと……ふむ」 「最近変わったことと言えばそのくらいじゃよ」 「そうか。老人よ、ありがとう」 女騎士は頷き、その場を去る。 「……何だったんじゃ」 #羊君主と白き民

2015-09-22 00:53:48