ゆうさみ鎮その5 ~風邪をひきました~

1
色んなゆうさみ @yubarisamidare

パジャマの着替えとタオル、お湯をはった洗面器を持って夕張さんの部屋に戻ります。 「夕張さん、残さず食べましたか?」 「(こくん。)」 夕張さんは私と目も合わせずに頷きます。 「夕張さん、体温を計りますよ。」 体温計を渡すと、わきにさして計り始めます。

2015-09-28 01:19:19
色んなゆうさみ @yubarisamidare

ピピピ 「…はい。」 夕張さんが渡してきます。 +43.3 °?またですか。この体温計なんなんですか? 「うーん、ダメですね。もう一回お願いします。」 ピピピ 「37.8 ℃、熱自体は下がってますね。」

2015-09-28 01:23:53
色んなゆうさみ @yubarisamidare

「それじゃ、身体を拭きますので脱いでください。」 「…ヤダ。」 「ダメですよ?汗でびしゃびしゃなんですから。それとも、脱がされたいんですか?」 「うう…。」 夕張さんが大人しく脱ぎ始めます。 自分で促したんですが、なんだかすごくドキドキします。

2015-09-28 01:31:18
色んなゆうさみ @yubarisamidare

あれ? 「夕張さん、ノーブラなんですか?」 「ふっ、普段はしてるわよ!寝る時だけ!」 普段…、本当にしてるんでしょうか? 「背中向けてくださいね。」 脱いだ上着で前を隠している夕張さんに背中を向けるよう促す。

2015-09-28 01:38:23
色んなゆうさみ @yubarisamidare

手袋を脱ぎ、タオルを洗面器のお湯で濡らします。 「何から何までやってくれて、ありがとね。」 タオルを固く絞っていると、夕張さんがそんなことを言います。 「いえ、夕張さんのことが好きでやってますから。」

2015-10-03 21:31:38
色んなゆうさみ @yubarisamidare

「ふふ、ありがと。」 あぁ、伝わってない。 やっぱり、わかるように伝えないとダメですかね。 『狼モードの夕立くらい攻めなさい。』 村雨の言葉がまた頭に浮かびます。 でも、さっきはやりすぎて目も合わせてくれなくなりました。 時雨も『それはちょっとやりすぎだと思う。』って言ってたし。

2015-10-03 21:39:13
色んなゆうさみ @yubarisamidare

改めて夕張さんの背中を見つめます。 いつも頼もしいから気づかなかったけど、こんなに小さいんですね…。 「なしたの?」 つい、そのまま背中に触れてしまいました。 「夕張さん。」 「なぁに?」 「由良さん達より小さいのに、いっぱい積んで…大変じゃないんですか?」

2015-10-03 22:08:29
色んなゆうさみ @yubarisamidare

「兵装実験軽巡だからね、大変じゃないよ。それに」 「それに?」 「その分、みんなを守れるでしょ?」 みんな…睦月ちゃん達のことかな。 「そうですか。あぁ、早く拭いちゃわないとですね。」

2015-10-03 22:40:25
色んなゆうさみ @yubarisamidare

肩から腰に向かって優しく拭いていきます。 「んー、温かくて気持ちいい。」 背中を拭き終わり、一度タオルをお湯で洗ってまた固く搾る。 「はい、次は前ですよ。」 「え!?前は自分で拭けるって!」

2015-10-03 23:08:04
色んなゆうさみ @yubarisamidare

夕張さんがこちらを向いて私からタオルを受け取ると、また背中を向けてしまいました。 夕張さんが身体を拭き終えたら今日の私の役目は終わりです。 残された時間はあと少し…。 「夕張さん、相談したいことがあるんです。」 「私で良ければいいよ。」

2015-10-03 23:28:30
色んなゆうさみ @yubarisamidare

「私、お付き合いしたい軽巡の先輩がいるんです。」 「だれだれ!?由良?由良だったらねー、たぶん断られないから告白しちゃった方が早いわよ?」 「由良さんじゃないです。」 「じゃあ大井?大井はダメね。基本的に北上しか見えてないわ。」 「大井さんでもないです。」

2015-10-03 23:57:04
色んなゆうさみ @yubarisamidare

「じゃあ誰だろう…ってか、由良じゃないなら由良に相談した方がいいわよ?」 「夕張さんじゃないとダメなんです。」 夕張さんのお腹に手を回し、背中に胸を押し当てます。 「五月雨ちゃん?」 「夕張さん、私の心臓の鼓動わかりますか?」

2015-10-04 00:17:33
色んなゆうさみ @yubarisamidare

「うん。すっごく速いね。」 「私がお付き合いしたいのは…夕張さんなんです。夕張さんと一緒にいるだけで、どきどきが止まらないんです。」 少しの間、沈黙が流れます。 「…ごめんね、今まで気付いてあげられなくって。」 「今わかってくれれば、それでいいんです。夕張さん、お返事は…?」

2015-10-04 00:54:23
色んなゆうさみ @yubarisamidare

「本当に私なんかでいいの?」 「夕張さんでいいんじゃありません。夕張さんがいいんです。」 「ありがとう。それじゃあ断る理由はないかな。」 「それじゃあ!」 「これからよろしくね、五月雨ちゃん。」

2015-10-04 00:55:23
色んなゆうさみ @yubarisamidare

「やった!!!」 「うっ…五月雨ちゃんちょっと離れて…」 喜びのあまり夕張さんを強く抱きしめてしまいました。 お腹を圧迫してしまったようです。 「ごめんなさい!嬉しくってつい。」 「戻しかけたけど大丈夫よ。」

2015-10-04 01:02:06
色んなゆうさみ @yubarisamidare

夕張さんから離れると、夕張さんは着替えの上着を着ました。 夕張さんからタオルを受け取り、ベッドに寝かせます。 「恋人らしいことは明日からですね。今日はゆっくり休んでくださいね。」 おかゆの食器と洗面器を持って部屋を後にします。

2015-10-04 01:07:26
色んなゆうさみ @yubarisamidare

部屋を出る時に『戻ってきて!!!お願い!!!』と言われたので、食器と洗面器を片付けて夕張さんのところに戻ります。 「夕張さん、戻ってきましたけど、もう私が出来ることはありませんよ?」 「眠りにつくまでそばに居てほしいだけ。ダメかな?」

2015-10-04 01:15:54
色んなゆうさみ @yubarisamidare

「そういうことだったら、喜んで!」 --- 結局、お話してたら私の方が先に眠ってしまったみたいです。 立ち上がろうとすると、ふらふらっと倒れそうになり夕張さんに受け止められます。 「あ、れ???」 --- 「由良どうしよう!?五月雨ちゃんが風邪ひいちゃった!!!」 …完

2015-10-04 01:24:18
色んなゆうさみ @yubarisamidare

作者注:+ 43.3 ° = 北緯43.3度。夕張川・夕張市役所を通過します。

2015-10-04 01:29:34