◇黄昏町と私◇その7
- RiverInWestern
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私は肩を竦めた。「まあ、でも、そうですね。あのときのワンピース、結局ダメにしちゃいました。なので服は変わってますよ」言ってダッフルコードの前を開いて見せびらかしてみる。「ッ!?」その途端、鉱さんが大きく目を見開いた。え、なにその反応!?似合ってない、これ!?9 #4215tk
2015-10-06 19:30:03思わず狼狽する私を、鉱さんが巨大な手で抱き寄せた。「えと、その……!あ、あんまり、肌を見せるのは、よくない……!」「普段は隠してますよ。鉱さんみたいに仲のいい人にしか見せませんって」反論すると、なぜだか鉱さんが困った様に視線を彷徨わせ始めた。どうしたんだろ?10 #4215tk
2015-10-06 19:33:15彫像のように整った顔がころころ表情を変える様を見ていた私は、ふと思い出す。「そういえば鉱さん、また一緒に寝ようとか言わないんですか?」「ふえっ!?」「ほら、いつも寂しい寂しい言ってるじゃないですか。今回は違うんです?」ちょっと気を利かせてあげようじゃないか。11 #4215tk
2015-10-06 19:36:09「あ……う」あれ、なんでそこで言葉を詰まらすの?なにを葛藤するかのように頭を抱えているの?……ややあって、数度の深呼吸を経た鉱さんが笑みを見せた。「……ありがとう。ちょうど、人恋しいところだったんだ。一晩でいい。一緒にいておくれ」「ええ。喜んで」12 #4215tk
2015-10-06 19:39:17笑顔とともにそう返す。鉱さんの笑顔がやや引きつったように見えたのは、私の気のせいだろうか?「あ、ありがとう。それじゃ、行こうか」「はい。また新しい住処へ?」「ああ。最近は、あちこちに、避難所を作っているんだ……」他愛ない会話。今日はゆっくり寝れそうだ。13 #4215tk
2015-10-06 19:42:18八十五日目終了! 一緒に寝る。魂+2 異形:牙・蛇髪・竜尾・三ツ目・火玉(火耐性) 【魂33/力10/探索4】 【道具:犬笛】 【■怒哀楽】 #4215tk
2015-10-06 19:43:05[町]車掌鞄を引き摺った毛玉が君の足元へ来る。「発車時刻です、お急ぎください」《【異形強化の診断[電車](shindanmaker.com/547682)へ移動できる。しなくても良い。】》 #黄昏町の怪物 shindanmaker.com/541547
2015-10-07 00:05:03電車の中で君は、君自身と出会う。「強くなりたい?」《【異形『爪(力+2)』所持の場合、魂を3消費して『青爪(力+3)』に強化できる】》そして意識は遠ざかる…。《どの場合でも死亡【魂-1】》 #黄昏町の怪物 shindanmaker.com/547682
2015-10-07 00:06:47「では」「……さようなら」鉱さんに別れを告げて、私はまた町の散策に乗り出した。昨日も相変わらず一日べったりだった。時折なんだか切なそうに呻いたり、荒い息をはいたりしてたけど大丈夫だろうか。何か悪い病気にでもかかったのでは?『あんた、変なとこで鈍いわよね』14 #4215tk
2015-10-07 17:45:10明里ちゃんが呆れたように呟く。『鉱さんも大変ね』「え、明里ちゃんはなんか知ってるんですか?」『あの、本当に気づいてないんですか……?』『気づいてないと思うわ。こういう奴よ、こいつは』綾美ちゃんもなんか知ってるみたいだし。なんだよもう。教えてよ。15 #4215tk
2015-10-07 17:48:08悶々としているうちに、視界に見えてきたのは駅である。無人駅なのか、人の気配はない。ただ切符切りも立っていない改札があるだけ……「発車時刻です」「え?」突然の張りのあるバリトンボイスに、私は驚いて足元を見た。車掌鞄を引きずった毛玉がそこにいた。「お急ぎください」16 #4215tk
2015-10-07 17:51:06私は駅の方を一瞥し、さらに驚く。影も形もなかったはずの電車が、駅に止まっているではないか。いつの間に?……ふと気づくと、私はふらふらと電車に向かっていた。なぜかはわからない。けれど、そうしなければならない気がする。「ドアが閉まります」ぎりぎり間に合ったようだ。17 #4215tk
2015-10-07 17:54:07