「x→0のときsin(x)/x→1となる」ことは、高校数学まででも循環論法なしに証明可能である

通説に対する、黒木玄(@genkuroki)氏による反論 ※まとめた私は数学科専攻ではありませんので、厳密な検討はしていません……すみません……
14

高校の教科書では、「x→0のときsin(x)/x→1となる」ことを面積を用いて証明しています。
sinxの微分公式の3通りの証明 | 高校数学の美しい物語

ただ、扇型の面積の導出には三角関数の積分が必要になるので、これは循環論法ではないかというのが通説となっています。

しかし、方向性を変えれば高校数学まででも証明可能ではないかという黒木氏の主張をまとめました。


黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

#掛算 ←これの視聴率が高そうなので、高校数学の三角函数に関する循環論法都市伝説について、 #三角函数 タグで連ツイします。過去に少なくとも2回した話なので、またあれかと思う人もいると思いますが、適当に読み飛ばして下さい。この都市伝説は大学の数学の先生が広めたいるという印象あり。

2015-11-09 23:13:55
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

@genkuroki #三角函数 件の都市伝説とは「高校数学におけるx→0のとき(sin x)/x→1となることの証明は循環論法になる」という都市伝説のことです。実際には高校数学IIIにある「速さの時間積分は径路の長さになる」という意味の公式を使えば循環論法になりません。続く

2015-11-09 23:18:55
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

@genkuroki #三角函数 続き。高校数学IIIにある公式(径路の長さ)=∫_a^b √((dx/dt)^2+(dy/dt)^2) dt が積分変数の変換で不変なことを使えば、この公式を使って曲線の長さを定義できます。たとえば円弧の長さの定義が得られます。続く

2015-11-09 23:25:45
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

@genkuroki #三角函数 続き。単位円周上の弧の長さの積分による定義が得られたので、高校数学流のラジアンの意味での角度を積分で表す公式が得られたことになります。|y|≦1のとき単位円周x^2+y^2=1上の点(1,0)から円周に沿って点(√(1-y^2),y)まで〜続く

2015-11-09 23:32:16
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

@genkuroki #三角函数 続き〜進むときにまわる角度をθと書くと、ちょっとした計算でθはθ=∫_0^y dt/√(1-t^2) と表されることがわかります。高校数学における正弦函数の定義は角度θに単位円周上の点のy座標を対応させる函数なので〜続く

2015-11-09 23:37:23
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

@genkuroki #三角函数 続き〜、yに角度を対応させる函数θ(y)=∫_0^y dt/√(1-t^2)の逆函数はy=sin θになる。θ(y)の導函数は1/√(1-y^2)なので、その逆函数sin θの導函数は√(1-(sin θ)^2)=cos θになる。続く

2015-11-09 23:43:43
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

@genkuroki #三角函数 続き。このようにsin θがθ(y)の逆函数になることを、高校数学IIIにある曲線の長さを積分で表す公式を用いて示しておけば、sin θの導函数は逆函数の導函数として容易に求まるわけです。全然循環論法になりそうもない!続く

2015-11-09 23:47:11
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

@genkuroki #三角函数 ラジアンの意味での角度を積分で表示できること(もしくは積分で定義できること)は高校数学IIIまで判明しないことです。そこまで行けば循環論法になりようがないのです。なぜかこのやり方が普及していないようなので繰り返し紹介しています。続く

2015-11-09 23:50:06
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

@genkuroki #三角函数 実は、もともと循環論法になるはずがない話なので、循環論法にならないという事実自体はまったくつまらない話です。真に面白いのは以上で紹介した方法を使えば楕円積分とその逆函数としての楕円函数に高校数学の範囲内で容易に到達できることです!続く

2015-11-09 23:54:41

ここから、楕円関数へと話が膨らみます。

黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

@genkuroki #三角函数 #楕円函数 角度を表す積分∫_0^y dt/√(1-t^2)は楕円積分 ∫ dy/√(yの3次もしくは4次関数) に容易に一般化されます。さらに分母の平方根の中身をさらに高次の函数に一般化して得られた積分は超楕円積分と呼ばれています。続く

2015-11-10 00:00:26
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

@genkuroki #楕円函数 続き。楕円函数は楕円積分で表される函数の逆函数として定義できます。積分で表された角度θ(y)と三角函数の関係はそのまま楕円積分と楕円函数の関係に一般化されるのです。楕円函数の本性は複素函数論をやらないとわかならいのですが〜続く

2015-11-10 00:03:31
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

@genkuroki #楕円函数 続き〜、ちょっとした応用のためには高校数学の範囲内で展開できる楕円積分と楕円函数の理論で十分です。たとえば振り子の周期がどれだけ等時的でないかを計算することは高校数学の範囲内で可能です。適当にぐぐれば解説文は容易に見付かると思います。

2015-11-10 00:06:49
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

@genkuroki #楕円函数 「高校数学の範囲内で三角函数の微積分論は循環論法になっている」というようなつまらないデマを信じるのはやめて、高校数学でも楕円積分と楕円函数の話をやるようにした方がみんな楽しいんじゃない? 数学デマは数学をつまらなくすることに貢献していると思う。

2015-11-10 00:10:04

つまり、面積から証明するのではなく、円弧の長さから証明する方向というわけです。

もっとも、上で上げた説明3にもあるように、曲線の長さを積分で定義できる=図形的な定義に頼らず収束すると示せるということになりますので、そこに三角関数の極限が絡んでくるのでは……といった問題が出てきますが、逆にそこさえ納得してもらえれば解決しそうです。