普天間移設問題のこれまでの経緯と今後の見通し

1/18、政府が辺野古の普天間代替施設についてV字案を採用するとのニュースが流れたことで、普天間問題が再び動き出す気配が見えてきている。政府の目指す方針はV字案でほぼ決まりと見られ、今後、春の何時かに行われる日米2+2と5月に行われると見られる日米首脳会談で(少なくとも日米間では)普天間問題が決着する見通しである。
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fj197099 @fj197099

辺野古V字案で調整 I字案断念へ 沖合移動も検討(http://bit.ly/ex7FxR)…普天間移設の話、経緯を知らぬ人の為に振り返るが、鳩山政権が「最低でも県外」を訴えて既存の移設計画を白紙化した後、紆余曲折を経て昨年5/28の日米合意で辺野古移設への回帰が決まっていた。

2011-01-18 23:02:49
fj197099 @fj197099

2006年5月の元々の移設案では辺野古沿岸にV字型の二本の滑走路を持つ代替施設を作ると言うものであった。だが昨年5/28の日米合意は場所は辺野古沿岸としたが、詳しい位置・配置・工法については8月末の専門家協議に先送りした。そしてその専門家協議でv字とI字の二つの案が示されたのだ。

2011-01-18 23:05:18
fj197099 @fj197099

関連資料を示しておく。まず2006年5月の元々の日米合意(http://bit.ly/7uc01o)。「再編のための日米のロードマップ」が正式名称だ。普天間基地の移設問題は1996年まで遡る更に長い経緯があるがそれは割愛する。とりあえずこれが鳩山政権の否定しようとした日米合意だ。

2011-01-18 23:19:49
fj197099 @fj197099

その鳩山政権は嘉手納統合だの徳之島移設だの専門家から見ればとっくの昔に検討されて可能性ゼロ、廃案となったものを再度持ち出して愚にもつかぬ笑劇を演じて見せたが、結局は昨年5/28にオリジナルの日米合意に回帰した。これがその合意である(http://bit.ly/9iTOEA)。

2011-01-18 23:22:14
fj197099 @fj197099

ところがこの合意は素直に2006年5月の合意に回帰したのではなく、代替施設の位置・配置及び工法については昨年8月末の専門家協議において決めるという形で決定を先送りした。その専門家協議報告書がこれである(http://bit.ly/aujmUo)。ここでI字案が新たに追加された。

2011-01-18 23:24:55
fj197099 @fj197099

民主党政権としては他にどうしても選択肢がないのでしぶしぶ2006年の「辺野古=県内移設」合意への回帰を決めた訳だが、それでも「自民党の合意」とは距離を採りたいという妙な自己主張の念は残っていた。それに七月の参院選で菅政権が大敗して政治的求心力が乏しくなったとの背景もあった。

2011-01-18 23:28:03
fj197099 @fj197099

そこで菅政権は専門家協議において米側の求めるオリジナルなV字案に加え、ヨリ海側に寄せて総埋め立て面積を縮小したI字案をわざわざ加えたのである。これは民主党が米側にせめてもの抵抗を示したというアリバイ工作のためであったと言ってよい。事実上、V字案しかないのは当時から明らかであった。

2011-01-18 23:31:15
fj197099 @fj197099

詳しい事は報告書に書いてあるので省くが、V字案は滑走路が二本あるため、航空機が集落の上を飛ぶリスクを避ける事が出来たが、I字案はそうは行かず問題が大きかった。しかもI字案では環境アセスをやり直すために工期が試算で九ヶ月延びてしまうという弊害もあり、実現の見通しは低かった。

2011-01-18 23:33:44
fj197099 @fj197099

かくして民主党のアリバイ工作として昨年8月にI字案が加えられたものの、その後は普天間移設の話はパッタリと途絶えた。これは9月に民主党の代表選があってそれ所でなかった事と、9月、11月にそれぞれ名護市長選、沖縄県知事選があって沖縄を刺激したくなかった政府が問題を先送りした為である。

2011-01-18 23:36:08
fj197099 @fj197099

そのため、昨年秋に開かれるとされていた普天間移設の計画を日米で最終決着するための日米2+2は見送りとなり、11月のオバマ大統領来日でも日米安保共同宣言の発出は見送りとなったのだ。鳩山政権に続き菅政権でも普天間問題のために日米関係は犠牲となったのである。だが11月に情勢は変わる。

2011-01-18 23:38:02
fj197099 @fj197099

11/28、沖縄県知事選で苦戦が予想された現職の仲井間知事が再選を決めた。仲井間知事はかつては辺野古移設を了承しており、現在は県内移設反対を政府に求めるとはしているが、それを絶対に拒否するとまでは主張しておらず、県内移設に絶対反対とする対立候補との比較を考えれば違いは大きかった。

2011-01-18 23:41:12
fj197099 @fj197099

つまり県内移設を容認する可能性のある仲井間氏の県知事再選によって、民主党政権はこれ以上普天間問題の決着を先送りする理由を失ったのだ。そしてこれ以降、水面下で普天間の話を進めろとの米国の強い要請を受ける事となった。米国としてみれば決着が一年以上も先送りされているのだから当然である。

2011-01-18 23:43:17
fj197099 @fj197099

こうした経緯の中で出てきたのが今日1/18のI字案断念、V字案で最終決着という方向性である。注目して欲しいのはこの結末がそもそもの2006年5月の日米合意の内容と全く変わらないものだと言う事である。民主党政権交代からの1年と数ヶ月は全くムダに費やされたのだ。その代償は大きかった。

2011-01-18 23:45:20
fj197099 @fj197099

このニュースの中で現在の環境アセスの範囲内で沖合い50m程度を移動させることもあるとしているが、これは米国がそもそも容認していた事であり、民主党政権の功績ではない。よって本日のこのニュースは民主党政権の1年数ヶ月の取り組みが完璧に無駄なものであった事を最終確認する内容なのである。

2011-01-18 23:49:20
fj197099 @fj197099

無駄、というのがマイナスではなくゼロであればまだ良いのだが、実際には日米の信頼関係が大きく損なわれ、同盟が空白化して近隣諸国の挑発行動を誘発したばかりか、同盟改定50周年という歴史的な機会に同盟関係の再定義をする機会さえ逸した訳であるから、実際には大きくマイナスである。

2011-01-18 23:51:12
fj197099 @fj197099

その辺りの事情は言い尽くされているのでよいとして、今後はどうなるかといえば、恐らく春の何時かのタイミングで昨秋やるはずだった日米2+2を行い、日米公式の形で代替施設をV字案に絞るということをやることになる。そして今年5月と言われる日米首脳会談で普天間問題を最終決着させる事になる。

2011-01-19 00:00:09
fj197099 @fj197099

日本の政府関係者は沖縄を刺激することを恐れて「決着期限は定めない」と言っているが、それは建前の話である。実際には次の日米首脳会談がデッドラインであることはこの問題をフォローしてきた人間なら誰でも分かっている。首脳会談を何回も開いて決められないことは、未来永劫決められないのである。

2011-01-19 00:01:27
fj197099 @fj197099

だからこの問題は遅くとも今年5月までには決着するのである。それは規定路線だが、問題は日本政府が未だに非現実的な到達目標に拘っている事だ。元々の2006年合意は2014年までの移設完了という期限を設定していたが、これは昨年の合意でも踏襲されている。しかし現実問題、それは無理なのだ。

2011-01-19 00:04:29
fj197099 @fj197099

あらゆる政治的障害を回避して最高のスピードで物事が進んだとしても物理的な工期の観点からもはやその目標は達成不可能である。なのに日本政府は未だにその期限を現実的なものに修正していない。これは一種の国民に対する欺瞞であり、非現実性という点では普天間「県外移設」の主張に近いものがある。

2011-01-19 00:06:39
fj197099 @fj197099

故にこの点では政府の問題を指摘しない訳には行かないが、その辺りの点も春の日米2+2で是正されるものと思われる。長くなったが、普天間を巡る話は再び動きだしているということである。民主党の日米合意修正の愚かな試みは最終的に破綻が決定し、辺野古沿岸移設に向けた日米協議は進んでいる。

2011-01-19 00:08:50
fj197099 @fj197099

日米間では2010.5.28.の合意に基づき、移設先は辺野古沿岸、配置はV字型、工法は埋め立てという方向でほぼ決着しているが、今後の問題は政府が沖縄にどうこれを受け入れさせるかだ。結局yes or noしかない。沖縄がnoと言うなら普天間恒久化の決着になる。残された時間は少ない。

2011-01-19 00:11:11
fj197099 @fj197099

引き続き、この問題をフォローしたい所だが、今日のニュースではちょっと他に面白い話題があった。昨夜(17日)の関係閣僚会議で前原外相と北澤防衛相がこの問題を巡り揉めたというのである。前原外相はV字決着を強く主張し、北澤防衛相は沖縄の頭越しには決めないと不快感を示した由である。

2011-01-19 00:12:58
fj197099 @fj197099

一見政府内に足並みの乱れがあるかの如く見えるが、これは煙幕である。背景事情として19日からの北澤大臣の沖縄訪問があることを指摘すれば十分であろう。前原外相が沖縄の憎まれ役を買っているだけだ。政府内の方針はもはやV字案で日米間の最終決着をするとの方向で固まっていると見てよい。(終)

2011-01-19 00:15:09