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自由に旅する国―蒼穹の旅団―③

蒼穹の旅団の5日目~8日目の話。おまけの可愛い団長のコーナー復活 前回⇒http://togetter.com/li/906378 次回⇒http://togetter.com/li/910157 #蒼穹の旅団
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悪いたわわお姉さん @nyamakinu

@yoshikacrazy 腰を落ち着けた方が話しやすいと思ったのもある。だが、いざ向かい合って座り、忍びは心底後悔した。 すぐ目の前に団長が座っている。椅子から床へ伸びた足、座席の上で落ち着きなくそわそわしている体。……正直、死ぬほど申し訳ないがその服の下を思い出してしまう。

2015-12-04 18:27:09
悪いたわわお姉さん @nyamakinu

@yoshikacrazy めっちゃ恥ずかしい。いや団長はもっと恥ずかしいんだがんばれ拙者。 「あ、あー……その……」 視線をそらし、げふんげふんと咳払いをして、なんとか言葉を絞り出す。 「……あのこと、なら、大丈夫でござる。拙者、きちんと忘れるゆえ」

2015-12-04 18:28:00
よ鹿🍅 @yoshikacrazy

@nyamakinu 「あ、いや大丈夫!その……無理に忘れろとかは言わないしさ。その、あの……」 少しの間わたわたしていたが、決心がついたらしく、頭の帽子を取った。そこから出てきたのは、三つ編みにして纏められた長い髪。 「見ての通り、俺……ううん、"私"女なんだ」

2015-12-04 18:34:49
悪いたわわお姉さん @nyamakinu

@yoshikacrazy ーーやはり、なのか。 はらりと落とされた長い髪、男にしてはあどけない外見。まさしく団長は“女”であった。 「……そう、ですか」 出てきたのはそれだけ。何故ですかとは言えなかった。きっとこの人にもやむをえない事情がある。勝手にそう判断して。

2015-12-04 19:01:04
よ鹿🍅 @yoshikacrazy

@nyamakinu 「それでなんだけどさ。君って私の秘密知っちゃった、でしょ?だ、だから放っておけなくてね」 しどろもどろに話す彼女の目は泳いでいる。 「それであまりこのことバレたくないから、出て行ってほしくないなって思って……」 そこまで言うと彼女は突然シュンとなった。→

2015-12-04 19:28:44
よ鹿🍅 @yoshikacrazy

@nyamakinu 「うん。私の我儘だってことはわかってる。でもお願い!旅団には残って!」 手を頭の上で合わせて、懇願してみる。ダメならすぐに諦めよう。ここは自由の旅団なのだから。

2015-12-04 19:29:32
悪いたわわお姉さん @nyamakinu

@yoshikacrazy 「……うん? えと、それは……黙っててくれ、ということで良いですな?」 いきなり旅団に残ってくれと言われ、やや戸惑う。 「それは、もちろん。もとより誰にも話すつもりはござらん。団長にも事情がおありの御様子ですからな。ですが……」

2015-12-04 19:51:27
悪いたわわお姉さん @nyamakinu

@yoshikacrazy 「拙者はいずれ、ここをあとにする。それは旅団に同行する前から決めていたことでござる。それだけはどうかお目こぼしいただきたい。先に述べた通り、決して口外は致しませぬゆえ」

2015-12-04 19:51:40
よ鹿🍅 @yoshikacrazy

@nyamakinu 「ありがとう。う、うん……わかって、る。それでその、ちょっと話……聞いてほしくてさ。こっちの不注意だったけど、話せる相手……やっとできたし」 いつもの自信に溢れた顔とは違う、しおらしい表情のまま話す。 「……いいかな?」 上目遣いで空蝉丸を見上げた。

2015-12-04 19:56:57
悪いたわわお姉さん @nyamakinu

@yoshikacrazy 「……話」 内容はおおよそ察しがつく。 悩む必要もない。誰にも話せずにいたのならば、自分がしかと聞き届けよう。 「もちろん。お話くだされ」 やわらかく笑みを返した。

2015-12-04 19:58:28
よ鹿🍅 @yoshikacrazy

@nyamakinu 「ありがとう。えっとまずなんで男のままでいるかっていうのは、気持ちの問題なんだ。女だと舐められるから。あとは……私の生まれたところが原因かな。私はある国の4兄妹の末っ子として生まれてさ。上3人は全員男で、唯一の女だったからさ、母上も兄上も凄く過保護だった」→

2015-12-04 20:13:08
よ鹿🍅 @yoshikacrazy

@nyamakinu 「ずっと城の中で育てられて、滅多に外には出してもらえなかったんだ。外に出たいって言っても、危ないからダメって言われて、町の子や兄上達は外で遊べるのに私だけ部屋で1人。ずっと思ってたよ。私も男だったら自由に生きれたのかなって。お姫様になんてなりたくなかった」→

2015-12-04 20:13:39
よ鹿🍅 @yoshikacrazy

@nyamakinu 「だから17歳の時に国を飛び出して、旅をするって決めたんだ。その時に名前も性別も偽って、兄上達にバレないようにしたんだ。私の本当の名前はルチアーノ・バルカス。連合所属バルカス領の第1王女」 初めて彼女は自分の正体を、10年隠してきた正体を告げた。

2015-12-04 20:14:02
悪いたわわお姉さん @nyamakinu

@yoshikacrazy 「……ルチアーノ、バルカス……」 連合の、王女。図らずも自身と同じく連合所属の人間であったことに親近感を覚える。 確かに女の一人旅ではあらゆる悪党から狙われるだろう。こうして旅団が大きくなるまで並々ならぬ苦労を重ねたに違いない。

2015-12-04 20:18:25
悪いたわわお姉さん @nyamakinu

@yoshikacrazy 衝撃的な告白は未だなお彼の中で響き、そして、ひとつの疑問を生み出した。 「……兄上に黙って抜け出した、と。では……その聖印はどこから?」

2015-12-04 20:18:34
よ鹿🍅 @yoshikacrazy

@nyamakinu 「うん。そうだよ。これは一応元々受け継いでた分。あとは聖印狙ってくる国の君主を撃退してたら増えていった感じ」

2015-12-04 20:21:47
悪いたわわお姉さん @nyamakinu

@yoshikacrazy 「受け継いでた……ちょ、ちょっと待ってそれじゃあ団長のお国に聖印はないということでござるか……!?」

2015-12-04 20:23:39
よ鹿🍅 @yoshikacrazy

@nyamakinu 「あ、もちろんあるよ!これは母上の方の聖印。兄上達が正式に受け継ぐ正式な方が父上の方。父上は色んな人と結婚してて、その中で母上が女の君主の人だったんだ。もちろん、母上も私にほんの少し授けてくれただけでまだまだ健在だったよ!」

2015-12-04 20:27:50
悪いたわわお姉さん @nyamakinu

@yoshikacrazy 「……あ、ああ……従属聖印……なら……よかったでござる……」 思わず乗り出していた身を戻す。だよな、うん。よかった。 と、ここで咳払いをまたひとつ。 「して、だいぶ、話が逸れてしまいましたな、申し訳ない」 「拙者はこのことを誰に話すつもりもござらん」

2015-12-04 20:33:15
悪いたわわお姉さん @nyamakinu

@yoshikacrazy 「……されど、いつまでも隠しておくこともできまい。今もただでさえギリギリの状態。団長、貴女はこの先、どうするおつもりでござるか」

2015-12-04 20:33:28
よ鹿🍅 @yoshikacrazy

@nyamakinu 「国を……作ろうかなって、思ってる。私みたいな人がいないような自由な国。そうやって、1人でも大丈夫っていうのを示して国に帰ってこの聖印を返すの。一応、それが私の旅の終わり」

2015-12-04 20:38:30
悪いたわわお姉さん @nyamakinu

@yoshikacrazy 「……国を」 「ご自分の性別を、本当の身分を旅団の皆に話すおつもりはない、と?」

2015-12-04 20:42:20
よ鹿🍅 @yoshikacrazy

@nyamakinu 「今はまだ。だって今本当の名前出したら、きっと兄上達が来るもん!」

2015-12-04 20:44:46
悪いたわわお姉さん @nyamakinu

@yoshikacrazy 「……そうでござるか。では、そのように」 少し不安を覚えながら、うなずく。三たび、咳払い。 「して、明日からは今まで通りに接してもよろしいだろうか。あまり長い間二人の間に変な空気を漂わせておくとその……最悪痴話喧嘩したのかとか思われそうで……」

2015-12-05 03:08:31
よ鹿🍅 @yoshikacrazy

@nyamakinu 「ち!?ちちち痴話喧嘩!?あ、う、うん!そうだね!明日からは今まで通りね!」 顔を赤くして若干焦る。この手のことへの耐性は皆無らしい。 「……それと、言うにしてももう少し待ってほしい……あと3、4ヶ月。やっぱり隠してたこと言うのって、勇気いるから……」

2015-12-05 07:40:13
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