自由に旅する国―蒼穹の旅団―⑦

よ鹿🍅 @yoshikacrazy

@Kaga_Byakuya ある日、シグマとリューンの部屋の扉が叩かれた。 「シグマー？いる？」 その主はルチアーノだった。

小人白夜@ほぢょ狩の人 @Kaga_Byakuya

@yoshikacrazy 「ん？ああ、いるよー？」 ナイフに毒を塗り終えて、リューンの紅茶でも飲もうとしていた時の事。扉から音を聞いた僕は、カップではなくその戸の取っ手を掴んで回した。 「リューンもいるけど、いいかな？」 「…邪魔なら出るが」 部屋に案内すれば紅茶の香りがする

よ鹿🍅 @yoshikacrazy

@Kaga_Byakuya 「ううん。丁度いいからいてほしいな」 中に入って二人に向き合うように座る。さりげなく紅茶を出してくれたリューンにありがとうと言って、本題に入った。 「蒼穹の旅団も人が減ってるけど、この後二人はどうするつもりなのか聞きたいんだ」

小人白夜@ほぢょ狩の人 @Kaga_Byakuya

@yoshikacrazy 「そうだな…俺は少なくともシグマの無事が確認出来たし、記憶も問題ないから元の雇われ魔導士業をしようと思うが……シグマは？」 「僕は君主とかいないからねぇ。何もなければリューンに着いて行くし、まだこの旅団が続くなら着いて行くし」

小人白夜@ほぢょ狩の人 @Kaga_Byakuya

@yoshikacrazy シグマはわざとらしく、でも真剣に口を開きカップを口へ運ぶ。 「僕に決定権がない訳ではないさ。単にまだ何も考えてない、とも言うね」 その口元を隠すように紅茶を口へ含んだ。＊

よ鹿🍅 @yoshikacrazy

@Kaga_Byakuya 「そっか。一応これは全員に聞いてることでね、まあなんでかって言うと、旅団を解散しようと思ってるからなんだ」 口元は見えない。相手がどういう思いでいるのかわからなかった。＊

小人白夜@ほぢょ狩の人 @Kaga_Byakuya

@yoshikacrazy 「…人が少なくなってるって言うから、何と無く察してたけど……解散ねえ」 カップを机の上に、飲み干したそこには何もない。 「団長はどうするんだい？国に……戻るの？そうは見えないけど。」 そんな君がいるのがこの旅団なのだろう？言葉に吐かず問い掛ける瞳。＊

よ鹿🍅 @yoshikacrazy

@Kaga_Byakuya 「そうだなぁ……最初は自分の国作ろうかとも思ってたんだけどね。まだシグマ達と一緒にいたい」 紅茶の水面を見ながらそう呟く。我ながら恥ずかしい発言だと思った。 「だ、だからさ！シグマ達について行っちゃダメ……かな？」＊

小人白夜@ほぢょ狩の人 @Kaga_Byakuya

リューン(あ、これ、告白かな…？) #蒼穹の旅団

小人白夜@ほぢょ狩の人 @Kaga_Byakuya

@yoshikacrazy 「…ふぁあ！？」 国には帰れないとは知っていた。でもどうするかと聞いてみたところ出た答えに僕は変な奇声をあげていた。(相手には失礼だけど) 「ふむ…俺は条約に書斎を置かせて貰っている身だ。俺の所くるならアッサム領……紅茶の名産国になるな」

小人白夜@ほぢょ狩の人 @Kaga_Byakuya

@yoshikacrazy リューンは僕の顔をちらりと見て、そして微笑する。 「とはいえ俺は雇われ魔導士。実際には中立で生活をしている。シグマはどうなんだ」 「ええっ？…うーん、今までみたいに旅もいいなぁって思ってるけど、旅団解散ならリューンの手伝いかなぁっては思ってたかな」

小人白夜@ほぢょ狩の人 @Kaga_Byakuya

@yoshikacrazy 同じくちらり。僕はルチアーノを見て、考えるんだ。 「リューンのお手伝いになると、条約に加担することになるみたいだけど、いいのかな。」 首を傾げて。本当に僕らとでいいのかいって聞くんだ。あと、その、水面から顔をあげてみる顔…その、恥ずかしい。

よ鹿🍅 @yoshikacrazy

@Kaga_Byakuya 「私はもう連合の人間じゃないし大丈夫だよ。条約にも何度も行ったことあるしね」 二人のことを交互に見て答える。連合に未練がないかと言われれば嘘になるけど、バルカス領は戻りたくないし、未練のある国なんてアヅマ領くらいだもの。きっといつでもいけるよね。

よ鹿🍅 @yoshikacrazy

@Kaga_Byakuya 「うん。だから条約に行くのは問題ないよ。二人の都合が悪いならいいんだけど」 ちょっと不安になってくる。もしかして邪魔だったりしないかな？

小人白夜@ほぢょ狩の人 @Kaga_Byakuya

@yoshikacrazy 「いやいや！悪くないよ！むしろこっちが申し訳ないというか、団長とこれからも一緒に入れるなら僕嬉しいなって。」 僕はケラリと笑う。その横でリューンがお茶を飲んで咳き込んでいたけど、なんで？ 「けほっ…アッサムは血争う事もない小国だ。心配はせんでいい」

小人白夜@ほぢょ狩の人 @Kaga_Byakuya

@yoshikacrazy 「寧ろ俺が邪魔か？」 「えっ何言ってんのリューン」 僕は首を傾げて、でもすぐ言葉を続けるんだ。 「団長がそれでも構わないっていうなら、僕は構わない。僕を拾ってくれた君を支えたい気持ちは変わらないさ。」 それも、悪気はなく。＊

よ鹿🍅 @yoshikacrazy

@Kaga_Byakuya 「えっ何言ってるの」 リューンに対しての言葉がハモった。 「そっかありがとう。私もね、シグマ達に助けてもらったから力になりたいんだ」 ついつい照れ笑いを浮かべてしまう。こういうことを言うのはやっぱり慣れてないや。＊

小人白夜@ほぢょ狩の人 @Kaga_Byakuya

@yoshikacrazy リューンは「此奴ら自覚がらないのが恐ろしい」と考え、だが、発言はしなかった。シグマに関してはいつも通りだ。 「へへへっ！お互い様だねぇー。あ、でもそしたら団長って呼ばない方がいいのかな。」 領への参入はリューンが手配をしてくれると考えて。

小人白夜@ほぢょ狩の人 @Kaga_Byakuya

@yoshikacrazy 「ええっと…ルチアーノ、これからも宜しく？」 手を取ってパァっと笑顔。軽く上下に手を振って、笑うんだ。 「領行ったらどうしよっかー、まずは……うん、婚活してる君主に会って…」＊

よ鹿🍅 @yoshikacrazy

@Kaga_Byakuya 「う、うん！よろしくシグマ」 自分もはにかんでみせる。男の人と直接手を結ぶのは初めてかも。ただの握手とわかっていても照れてしまう。 「…………」 手を離したあと、繋いだ方の手を膝に置いてじっと見てた。顔上げられないよ。だって今、顔絶対赤い。

小人白夜@ほぢょ狩の人 @Kaga_Byakuya

@yoshikacrazy リューンは顔が真っ赤なルチアーノと、無邪気に笑うシグマの双方をみた。なんとまぁ、ほっこりするなと。 「…話は決まったようだな。そしたら俺が案内する」 窓の外から他の団員の目線を感じたが、無視をしておこう。

小人白夜@ほぢょ狩の人 @Kaga_Byakuya

@yoshikacrazy 察せない僕は彼女の顔を覗き込むんだ。 「ルチアーノ、やりたい事は残してないかい？」 そんで顔が赤いのを見て、キョトン。そんでまた僕悪いことしたかなって、変な事言ったかなって慌てるんだ。＊

小人白夜@ほぢょ狩の人 @Kaga_Byakuya

シグマは天然たらし気質なのかもしれないなと、リューンは無言で考えていた。 #蒼穹の旅団

よ鹿🍅 @yoshikacrazy

@Kaga_Byakuya 「え！？あ、いやないよ！あ、でも……ううんなんでもない！」 顔を覗かれて視線を横にズラす。そういう不意打ちはやめてよね！それに思わず凄い恥ずかしいことを言いそうになってなってしまった。うん。これを言ったら絶対友達に戻れない気がするからやめよう。＊