ミイラレ!SSその2(実況付き)
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その言葉にほっとしたか、美咲が顔を上げる。安堵の表情が浮かんでいた。「そのへんのことは全然知らなくてなぁ……でも、あたしと怜はあれだ、もう友達なわけだろ?それでも駄目なのか?」思いがけない言葉に、怜はまじまじと美咲を見つめる。友達。もうそういう認識だったとは。87 #4215tk
2016-03-24 21:56:07「……うん。友達。だけどまだ私たち知り合ったばかりだから。いきなりそういうのは、ちょっと控えてほしいかな」「そっか。気をつける」存外素直に頷く美咲に、怜は顔を綻ばせた。なんというか、打算まみれではあるけれど。それでも彼女の誘いに乗ってよかった。そう思えた。88 #4215tk
2016-03-24 22:00:19「でもこう、知らずとはいえそういう失礼なことしちまったかー……うーん」「そんな、気にしなくてもいいよ」「いや、そういうのはキチッとしとかねえと。しかし……うー、そうだな。よし、あたしの胸も揉んでいいぞ」「は?」唖然とする怜の前で、美咲は胸を張って見せた。89 #4215tk
2016-03-24 22:04:07「目には目を、歯には歯をっていうし、じゃあ胸には胸だろ」「それ、そういう論理で使う言葉かな」圧力すら感じさせる美咲の胸を見やりながら、怜は言った。「仕返すときは七倍返しっていうし、遠慮しなくていいぜ!あたしの胸でかくできてるから、怜のよか揉みがいあると思うし」90 #4215tk
2016-03-24 22:08:06笑顔で言われ、怜は反射的に拳を握った。「うん、胸とかどうでもいいから一発殴らせてくれる?顔面を」「落ち着け、怜」背後から蛇神の静止がかかる。当の美咲は不思議そうに首を傾げるだけだ。……そのときである。まったく唐突に、どこか遠くで悲鳴が響いた。91 #4215tk
2016-03-24 22:12:15「ん?ありゃ頭領の声か?」美咲の声は怜の耳を素通りする。彼女は反射的に動いていた。四季になにが。「これ、待て怜!おい小童、ちと浴衣を用意せい!」美咲に命令を飛ばしてから、朽縄御前が怜の後を追ってきた。その頃にはもう、怜は浴場から脱衣所に飛び込んだところだ。92 #4215tk
2016-03-24 22:16:09「待てというに!怜!……ええい!」御前の姿が朧に歪む。細長い煙のように変化した彼女は、棚の中に用意されたバスタオルに憑依。裸で脱衣所を飛び出すところだった怜の体に巻きついた。『ちと落ち着かんか、阿呆が!はしたない!』「それどころじゃないかもしれないでしょ!?」93 #4215tk
2016-03-24 22:20:18怒鳴り返し、怜は駆ける。廊下で顔を見合わせていた御狐衆の間を突っ切り、驚きと好奇の目を振り払いながら四季たちがいる客間へ!「四季!大丈夫!?」勢いよく襖を開け……部屋の中の光景を見て硬直した。やたらに暗い部屋。なぜかいる悪魔のトリル。が、問題はそれではない。94 #4215tk
2016-03-24 22:25:37問題は。トリルが四季に馬乗りになっていることと、なんだか白目を剥いた四季が幽体離脱しているらしいということだ。全体的に白みがかった幼馴染の霊体が本体の口から抜け出ている。彼は驚いたような顔で怜を見返していた。霊体も服着るんだな、と彼女は変なところで感心する。95 #4215tk
2016-03-24 22:32:06妙に冷静になった自分が、今の状況を整理し始める……主に今の自分の格好などを。彼らはしばし見つめ合い……ほとんど同時に驚愕の悲鳴を上げた。彼女が落ち着くには、美咲が浴衣を持って駆けつけるまでかかったことをここに記しておく。96 #4215tk
2016-03-24 22:36:11