ミイラレ!SSその2(実況付き)
- RiverInWestern
- 1657
- 5
- 0
- 0
正月。新しい年の始まり。普通ならばゆっくり体を休める時期である。が、こと日条家にいたっては特に忙しくなる日と言っても過言ではない。特に年の変わり目などは……「ひとまずこれでいいかしらね」大広間の机に並べたおせち料理を見て一人頷くのは日条 冬夏(とうか)だ。1 #4215tk
2016-01-01 20:36:09時刻はまだ正月の数分前。新年まではまだ余裕がある。引っ越してくる前であったならば、彼女も普通の家庭と同じようにおせちを料理していたことだろう。が、こちらでは違う。なにしろこちらでできた息子の『友達』は、正月に入ってすぐにやってくるのだから。2 #4215tk
2016-01-01 20:39:07身なりを確認し、早々に玄関へ。上着を着込みながら来客を待ち受ける。もうそろそろやってくるだろう。なぜならほら、もう除夜の鐘が聞こえてくる……「もーし!」ほとんど鐘がなるのと同時、玄関の戸が叩かれた。「はい、ただいま!」冬夏は深呼吸をしてから来客を迎える。3 #4215tk
2016-01-01 20:42:33開けて真っ先に目に飛び込んできたのは豪勢な振袖。それだけある。背が高すぎて玄関から相手の顔が伺えないのだ。「あけましておめでとうございますー」屈み込むように振袖の主が入ってくる。「あけましておめでとうございます、八尺(やさか)様。お早いお着きで」4 #4215tk
2016-01-01 20:46:03丁重に挨拶を返すと、長身の美女……あまりに背が高いので、屈み込まないと家の中に入れないのだ……が微笑した。「迷惑だとは思うんだけど、やっぱり真っ先に挨拶したいからね。あ、これお土産。どうぞ」「ああ、ありがとうございます」手渡されたのは竹細工の籠である。5 #4215tk
2016-01-01 20:48:23「とりあえずあれかな?四季は起きてる?」「ああ、すみません。あの子ったら寝ちゃってて」「そっか。まあ元服もまだだしねー。しかたないか。うんうん」「あの、小雨様?」割り込んできたのは、まだ若い男の声。「手早くお入りください?あとが詰まっておりますので」6 #4215tk
2016-01-01 20:51:24