ミイラレ!SSその2(実況付き)
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「あー、うん。わかってるよう。まったく衣笠ってば口うるさい……」「こ・さ・め・さ・ま?」「はいはい、今入る今入る!……それじゃお母様、積もる話はまたあとで」優雅な笑みを残しながら、長身の美女……裏山の山神、八尺 小雨はのそのそと家に上がりこんだ。7 #4215tk
2016-01-01 20:54:07その後に入ってきたのは、和傘の傘部分を帽子のごとく被った少年である。水も滴る、という形容が似合う艶やかな美貌の持ち主。外見だけで言えば最近中学に入ったばかりの四季よりも上に見える……が、怪異である以上、実際の年齢は自分よりも上なのだろう。「どうも、衣笠様」8 #4215tk
2016-01-01 20:57:54「あけましておめでとうございます、日条さん。いつも小雨様がお世話に」「いえいえ、うちの子もご迷惑を」「……むしろうちの人が振り回してるだけかと思うのですが。なんにせよ、小雨様ともども今年もよろしくお願いいたします。では失礼」そう言い残し、主人の後を追う。9 #4215tk
2016-01-01 21:01:46さて、溜息をつく暇もない。次に玄関に上がりこんできた『息子の友達』は、先の二人に比べるとやや異様だ。まず目につくのは一本だけしかない足。事故でそうなった、というわけでなく、元からそうなのだろう。人間と比較すると逞しく、太い。「どうも」客人が笠を脱ぐ。10 #4215tk
2016-01-01 21:06:34小雨ほどではないものの、長身であるその存在が声を発する。右目しかない隻眼。左目には眼帯がつけられている。「あけましておめでとうございます、目浦(めうら)様。どうぞおあがりください」「うむ」短く答えると、一本足の怪異は跳ねるようにして家に上がりこんだ。11 #4215tk
2016-01-01 21:09:13「はいはい、お邪魔しますよ〜」「ああ、これは真中様!あけましておめでとうございます」「どうもどうも」にこやかにお辞儀をしたのは、黒い着物姿の女性。その顔には大きな一つの目しかない。「お母様も大変ですね〜。私みたいな疫病神のお出迎えまでしてくださるなんて」12 #4215tk
2016-01-01 21:12:15冗談ともつかぬ客人の言葉に、冬夏は笑顔で答える。「いえいえ。いつも息子が世話になっておりますので。ちょっとぼんやりした子だから、そっと見守ってくださるだけでもありがたいことですわ」「そういってくれると嬉しいです〜。さ、みんな〜?ちゃんと挨拶してから入ろうね」13 #4215tk
2016-01-01 21:15:37『はーい』外からの返事は綺麗な四重唱。とたとたと駆け込んできたのは、真中と同じく黒い着物姿の四人組。いずれも真中と比べれば小柄であり、顔が見えぬほどに伸ばした前髪も一緒だ。しかし冬夏はしっている。この四人の子供達には、真中とちがって目が存在しないことに。14 #4215tk
2016-01-01 21:18:35『あけましておめでとうございます!』「はい、あけましておめでとうございます。ではお上がりください」「どうもどうも。さ、行くよ〜」真中が四人組の子供……本人曰く『妹たち』を引き連れ上がりこんでいく。これでひとまず最後だろうか?息をついた冬夏は、ふと視線に気づく。15 #4215tk
2016-01-01 21:21:34