病理医が使う「絶対」とは

ドラマ「フラジャイル」の決め台詞で使われている「僕の言葉は絶対だ」 病理医が使った時の「絶対」の意味を、病理医専門医・ヤンデル先生が解説してくれています
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病理医ヤンデル @Dr_yandel

病理医が絶対である場面と絶対でない場面があるのでその話をします

2016-01-21 14:41:20
病理医ヤンデル @Dr_yandel

病理診断書は「医師が作った書類」であり、そこに書かれている診断名は基本的に「definite」(「絶対」)です。病理報告書に書かれていた診断が間違っていた場合、訴訟になると病理医が間違いなく負けます。それは、「絶対こうだって言ったじゃん!」という証拠が紙になって残ってるからです

2016-01-21 14:43:05
病理医ヤンデル @Dr_yandel

ですから病理医の言う事は常に「絶対」でなければいけないのですが、これは少し説明が必要です。 我々は、 「組織診断だけでは絶対に決めてはいけない」 「病理だけで診断を決めては絶対だめだ」 という報告書も書くのです。

2016-01-21 14:44:03
病理医ヤンデル @Dr_yandel

病理医が「がん」と言ったら臨床所見がどれだけ合わなくても「がん」になります。ですから、病理医は臨床医や各種検査が示すものを見ながら「これを絶対がんと呼んで良いかどうか」を慎重に判断します。その結果「がんだ!」と書いたものは絶対にがんじゃなければいけません。

2016-01-21 14:44:52
病理医ヤンデル @Dr_yandel

病理医は(ぼくを含め)日頃から 「がんでほぼ間違いないと思うが、画像が合わない場合には連絡してくれ」 という診断書を書きます。病理医の言う事は絶対的な意味をもつからこそ、その怖さを使いこなし、「組織診断が100%真実ではない」ということすらふまえて「絶対」を届ける。それが病理です

2016-01-21 14:46:20
病理医ヤンデル @Dr_yandel

ドラマ・フラジャイルはセンセーショナルなので気づきにくいのですが、岸先生は「僕の言う事は絶対だ」とか「10割出しますよ」と言っていても、「確定診断を出しますよ」とは言っていないのです。実際、宮崎に向かって「わからないときはわからない、それで正解」と言っています。

2016-01-21 14:48:24
病理医ヤンデル @Dr_yandel

まあドラマ化でマンガよりもさらにセンセーショナル度があがったため、単なる「素人釣り医療ドラマ」になってしまう可能性ももちろんあるんですけど、臨床医の実状はともかくとして少なくとも病理側にはけっこうしっかりした監修がついていると思います。病理絡みのセリフはよく練られていると思います

2016-01-21 14:49:15
病理医ヤンデル @Dr_yandel

原作読んだほうがたのしめるとは思うけどな /) /) ( 'ㅅ') 毎日  医クラが怖い

2016-01-21 14:49:54