親をなくし、ひとりで暮らしていた村娘高森藍子はある日道端で弱りきった猫を拾う。家に連れ帰り、風呂に入れ、手厚く世話をするとその薄汚れた猫は金色の美しい猫だったとわかった。
2016-01-30 11:10:27「わぁ……あなた、こんなに綺麗な毛並みの子だったのね。」って言って少し元気になったその猫をなでなでする藍子ちゃんなんだけど、「……あなた、私と一緒に暮らしてくれる?あなたがいてくれたら私、」寂しくないわって続けようとしたその時その猫は光に包まれて「な、何!?」
2016-01-30 11:15:19しばらくして光が収まり、目を開けた藍子ちゃんの前には 「ありがとう、お嬢さん。あなたのお陰で助かりました。」 そう言って深くお辞儀をする女の子が現れていて 「…………へ?」
2016-01-30 11:17:04「獅子、神……?」 「そう、神様。」 「神様……、えっ、神様!?」 「そうだよー。いやー、ちょっとばかし仮の姿で遊んでたらがきんちょに遊ばれちゃってさ……もう散々だったよー」 「お嬢さんが助けてくれて助かったよー」 「は、はぁ……」
2016-01-30 11:23:25『 藍子、この村にはね守り神がいるんだ』 『 ……まもりがみ?』 『 ええそうよ、この村をね見守ってくれている神様なの』 『 かみさま!すごい!どんなかみさまなの!?』 『 金の鬣をなびかせて空を翔けるライオンさ。とっても優しい目をしているんだよ。』
2016-01-30 11:28:37『 うわぁ……きっとキレイだねお父さん。』 『 ああ、それはそれは美しい姿なんだそうだよ。』 『 いつか、わたしもあえるかなぁ?』 『 ええ、いつかきっと会えるわ。神様はおちゃめでもあるみたいだから。』 『 おちゃめ?』 『 ちょっとイタズラ好きなのよ。』
2016-01-30 11:30:28「ふー、お風呂も気持ちよかったよー。」 拝啓、天国のお父さんお母さん 「あ、さっき言ってたこと間に受けちゃってもいい?」 どうやら私は 「私、この家もあなたも気に入っちゃった。ほんとはあんまり姿を見せちゃいけないんだけど」 この村の守り神さまと、一緒に暮らすことになりそうです。
2016-01-30 11:34:12鮮烈な出会いで驚く藍子ちゃん。「この家もあなたも気に入っちゃった!一緒に暮らしてもいい?」ときかれ、こくこくと首を縦にふる。
2016-01-30 19:18:24「やったーー!じゃあしばらくよろしくねっ!その間、お礼と言っちゃなんだけどこの家はこの獅子神本田未央がバッチリ守っちゃうから!」 「よ、よろしくお願いします……?」 「あいさー!」
2016-01-30 19:20:26その時ちょうどお客さんが藍子ちゃんの家を訪れる。 「藍子ちゃーん。いるかい?」コンコン 「あ、隣のおばさん……」 「おっと、いけね」 未央ちゃんはすっと瞳を閉じると光を放ち、光が収まると綺麗な毛並みの猫が1匹。 「普段はこの姿でいるからさ。安心してよ。」 「え、ええ?」
2016-01-30 19:22:52「ほら、お客さん。きてるよ?」 「あっ、は、はーい!」 「あぁ、藍子ちゃん!こんにちは。煮込み料理作ったんだけど、ちょーっと作りすぎちゃってねぇ。良かったら貰ってくれないかい?」 「あ…ありがとうございます、嬉しいです!」 「いーっていいって。あら、この花……」 「え?」
2016-01-30 19:24:39そう言われて窓辺に目をやると、枯れかけてしまっていたはずの花が力強く咲き誇っていた。 「まぁまぁ!元気になったんだねえ!綺麗だこと……」 「えぇ、そうですね……」 ほんとうに綺麗。でも一体なぜ?
2016-01-30 19:26:31しかしそこでハッとする藍子ちゃん。もしかして………… 「あぁ、そうだ。洗濯物を干しっぱなしだった!あたしはもう行くね。ありがとうね、藍子ちゃん!」 「いっ、いえ!こちらこそ!ありがとうございました。」 笑顔で去っていくおばさん
2016-01-30 19:27:57バタンと扉がしまった後、そっと後ろを振り返ると、そこにはくあーとあくびをする猫の姿が。 「あの、未央ちゃん?」 「ん?なーにー?」 「もしかしてあのお花……」 「ああ、ちょっとね。元気なかったから。」 「まだ僕咲けるよ、って声も聞こえたし」 そう言って細められる瞳は優しくて
2016-01-30 19:30:16思わず藍子ちゃんも笑顔になっていると 「ああ、そうだ!忘れてたよ!」 「な、何がですか!?」 大きな声に少し身構える 「あなたの名前。」 「……へ?」 「あなたの名前、聞きそびれてた。教えてくれる?」
2016-01-30 19:31:37「私は藍子、高森藍子です。」 「高森藍子……んー、じゃああーちゃんだ!」 「あー、ちゃん?」 「うん、藍子ちゃんだからあーちゃん!どうかな?」 「…………」 「うぅぇ、もしかして嫌だった?」 そう言って女の子の姿に戻ると目に見えてうろたえ出す未央ちゃん。
2016-01-30 19:33:21「……ふふっ」 「…へ?」 「うふふっ、ごめんなさい、嫌なんじゃないです」 「ただ、そんな呼び方はじめてでなんだか嬉しくって。」
2016-01-30 19:34:33