怪談、創作、ストックなう

☯️青山藍明&トトちゃんとラブちゃんとリズさん @rangming

【電忌】「ソリティア」2真っ暗な部屋で、ぼんやり光る画面から伸びた腕はキーボードを叩き、ソリティアを夢中でプレイしていた。私は近づけぬまま再び靴を履いてドアを閉め、カギをかけるとその夜はネットカフェで時間を潰した。明け方、戻るとパソコンの電源はしっかり切れていた。

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【電忌】「ソリティア」1青山藍明 部屋に戻ると、電源を落としたはずのパソコンの画面が光っている。消し忘れたのかな、と玄関で靴を脱ぎ、リビングへ進むとカチャカチャ、カチャカチャとキーボードを叩く音がした。気配を消して近づくと、画面からニョキッと腕が伸びている。

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【電忌】むこうがわ 青山藍明4 誰かわからない嘲笑が、部屋で響き始める。本が出てからいつも、原稿を書こうとするとこの現象に苛まれるのだ。煩い、と右手を振って声を打ち消し、私は原稿に没頭した。重箱の隅をつつくような視線に耐えながら。（了)

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【電忌】むこうがわ3 青山藍明気のせいね、と私は何度か瞬きをしたが、先程閉じたはずの掲示板がまた開いていた。そこには、私の名前が書き込まれていた。○○の作品を糾弾するスレッド、と。物書きにはつきものだ、と溜め息を吐き出しながら再び画面を閉じようとすると、気配はさらに高まった。

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【電忌】むこうがわ２青山藍明 だめだ、と私は悪意に満ちた画面を閉じて、自分の作品を書こうとワードを立ち上げた。だが、ふと視線を感じて振り返る。独り暮らしの部屋なはずなのに、一斉にたくさんの視線が自分に降りかかっているような気がしたからだ。

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【電忌】むこうがわ1 青山藍明 批評なんて読み飽きているのに、私はまた掲示板に書かれた去る有名作家へ向けて放たれた、無数の酷評を読み、嫌気がさしていた。悪意と妬み、羨望が混じった内容を考える人たちは、いったい何が楽しくて生きているんだろう。