大井浩明さんPOC第5回(本シリーズ最終回)

シリーズのトリとなるにふさわしい、聴衆の顔ぶれも豪華絢爛、演奏も感嘆あり笑いあり、の、溜息の出るようなよい会となりました。初回作成時は打ち上げまっただ中の時刻につき、のちほど沢山追加になると予想されます。お気づきのツイートを適宜加えて頂けましたら幸いに存じます。
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(続き)b.134~b.140に現れるクラスターは、掌を(水平に)90度回転し、黒鍵から白鍵へグリッと素早く撫で下ろす。b.153は《傘》冒頭、同様にb.110は《傘》b.124と較べられよう。音域が広過ぎるので、残念ながらフォルテピアノでの演奏は無理。

2011-02-03 19:34:49
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(続き) 田中吉史:《松平頼暁のための傘》では、POC#1野村誠《六つの新しいバガテル》第4曲における「ビールなのか日本酒なのか」「ここちょっと残念なんだよね」と同様に、松平頼暁・西村朗両氏のラジオ番組における会話が、生のまま素材となっている。クセナキス作品と同じく、(続く)

2011-02-03 19:42:35
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(続き) 無理矢理ほぼ4分の4拍子に落とし込んであるものの、メトリックは32分音符(約0.1秒)単位で前後にズレまくっているため、存外に読みにくく、元々の素材音声を聞かずしてフレージング(音の包括的身振り)を辿るのは難しい筈である。b.102の高音域の音型とb.103の低音域の

2011-02-03 19:50:50
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(続く) 音型が、同じ「放射線遺伝学」という言葉を移し変えたものだとは、譜面からだけでは判じ得ないだろう。音だけ聞いていると、b.125のff/agitatoあたりで松平頼暁と西村朗が殴り合いの大喧嘩でもしているようだが、勿論元の会話はそんな内容では無い。

2011-02-03 19:52:36
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松平頼暁:《エテュード集》(1970/71)は、その一部が雑誌「トランソニック」の「学習」特集号付録として全音から出版されていたものである。オリジナルの曲目解説には、「文字通り”練習”用のピアノ曲であって、演奏会場の演奏には適さない」事、「現代音楽は古典・ロマン派音楽の応用問題…

2011-02-03 19:57:51
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(続く) …では無いので、ツェルニーを終わった人がこれを練習するのではなく、例えばもう一つのツェルニーとして練習して欲しい」旨が書かれている。ただ、いきなり第II曲に総音列技法風の「難解」なエチュードが充てられており、初学者に不向きなのは間違い無い。強弱やアーティキュレーションを

2011-02-03 20:02:17
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(続く) 色々変えて練習せよ、との指示は、前近代的教則本の悪しきパロディ以上のものでは無い。第VIIに出て来る「弦を押さえながらはじく」ピツィカートは、片手で行わなければならないが、(i)指に装着出来るピックで (ii)ダンパーと弦留めの間に十分なスペースがある場合にのみ可能。

2011-02-04 01:15:19
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(続き)「ミュート音」(「+」)は、手前の弦止めのすぐ近くを右手で軽く押さえる左手で打鍵する音色をイメージされている。よって、しばしばピックで撥弦する時間的余裕はなく、指先ではじかなければならない。既にこのアカウントで述べたように、爪先を防御するにはアロンアルファが一番である。

2011-02-04 01:26:33
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(続き) E♭5は、しばしばそのすぐ横にバーがあるため確保がしやすいが(ダンパーの向こう)、頻出するC4、F4、B♭4をはじく場所がダンパー手前なのか向こう側なのかは、楽器によって決まり、かつ致命的である。「エチュード」にしては強いる労苦が多すぎるので、カウエルや・・・

2011-02-04 01:32:17
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(続き) 譚盾「C-A-G-E-」あたりをお奨めする。第VIII曲「打楽器のように」第1曲では、右手は手の甲(=knock)、左手は手の平(=slap)で、上蓋・楽器側面・鍵盤蓋・鍵盤側面・鍵盤下部を叩く。ことに楽器「側面」を叩くのは、かなりの腕の長さと柔らかさを必要とする。

2011-02-04 01:35:06
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(続き) 第VIII曲第3曲では「In Homage to John Cage」なるプリペアド曲(約20秒)があり、ボルト・ゴム・スクリューによるプリペア作業に速くても3~4分、取り除くのに1~2分かかるため、後半最初にプログラミングした。上蓋・鍵盤蓋すべて閉めておき、

2011-02-04 01:38:57
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(続き) 第1曲演奏→上蓋のみ開ける→第2曲演奏→鍵盤蓋も開ける→第3曲演奏、とした。小太鼓のスティックは一組2本安売りで500円程度。第2曲で「ブリッジ」とは手前ではなく楽器の奥の弦留めである。フレームはスティックの先端で平面に「垂直」に「突く」こと(音色が違う)。

2011-02-04 01:44:47
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(続き) プリペア作業で物を弦間に挟む際、ダンパーペダルを押し下げるのは必須。弦間を押し広げるのは、100円ショップの菓子用ヘラ等。松平氏発見&御推奨の練り消しゴムは、長時間の作品では「中へ落ちない」「撤収簡単」という素晴らしい利点があるものの、音色は今ひとつの印象。

2011-02-04 01:48:19
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(続き) (i)内部に落ちない限度で出来るだけ軽く振動しやすい物体を、(ii)最も適切な倍音ポイントを探し挿入、(iii)打鍵タッチも柔らか目、というのが、いわゆる美しい音色のコツであろう。第IX曲「アレアトリックな練習曲」は、ブーレーズ第3ソナタ・シュトックハウゼンXI同様、

2011-02-04 01:52:59
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(続き) 「断片の最後に次の断片の速度表示がしてある」方式のもので、いまや順番を事前に確定してしまうのは、新たな演奏習慣として定着済みと言って良い。それぞれの断片が音楽的に最も特徴付けられるテンポというものがあり、特にこの作品の場合、「スティック握る」「置く」などに手間取ることも

2011-02-04 01:56:39
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(続き) 大きい。第IIIエチュード「狭い音域内で」は後半に不規則な連打が発生するためテンポ設定に制限があるが、IX-断片Bは「出来るだけ速く」弾くことが可能である。断片F「ピックで巻線を縦にこする」では、100円ショップの金属製靴ベラを非常に軽く奥から手前へ這わせた。

2011-02-04 02:00:03
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第Xエテュード第2曲は、イヴェント作品《Why not?》の原曲にあたる。「トランプを1組用意する。演奏前によく切り、裏返しに置く。1枚ずつ表返しながら、次の要領でピアノを演奏する。/ダイヤ(d)鍵盤奏法、クラブ(c)外枠の演奏、ハート(h)内部奏法、スペード(s)休止。/

2011-02-04 02:20:57
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(続き) /各絵柄は13回ずつ出現するが、その度に異なった音型を見つけることが望ましい。このエチュード集I~IXまたは既存の楽曲からサンプリングしてもよい。/数字は時間(テンポ自由)。Aは1、Jは11、Qは12、Kは13。/休止に関しては持続を短縮して良い。/

2011-02-04 02:25:40
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(続き) ピアノまたは他楽器と合奏してよい」。アンコをサンプリングするにせよ、都合よく秒数を1単位~13単位でバラバラにするには、やはり事前設定が必要であろう。「カードをくる」「カードをめくる」というアクションが視覚的なミソなので、外枠演奏・内部演奏との切り替えが厄介ではあるが、

2011-02-04 02:29:15
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(続き) 前もって乱数でイヴェント順を決定してしまうのは良く無いであろう(第IX曲とのコントラスト)。1~52の通し番号で乱数を用いると、しばしば同じ絵柄(例えば沈黙)が連続しがちである。これを避けるには、おおよそ違う絵柄が次々に現れる乱数にすれば宜しい。

2011-02-04 02:38:16
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(続き) 例えば、s3 d8 c11 h8 c12 s6 h10 d9 h1 s1 d12 c4 d6 c3 h6 s10 c10 s11 h7 d7 h12 d11 c1 s12 c6 d5 h11 s7 s9 d13 c2 h4 h3 d10 c8 s2 s8 h2 c9

2011-02-04 02:39:06
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(続き) d4 c13 d2 h5 s13 c7 s5 d3 h9 c5 h13 d1 s4、といった具合。カードのくり方もこれに準ずる。1970年頃の「引用ネタ」の定番といえば、泰西クラシック名曲(たとえば椿姫)とあとはせいぜいビートルズ(たとえばTicket to ride)

2011-02-04 02:43:40
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(続き) がまるで暗黙の了解のようであった。今回の公演では、1970年~71年に作曲・初演・放映開始されたものを集めた(たとえば「天才バカボン」「帰ってきたウルトラマン」「ルパン3世」「On the keyboard」「Synaphai」等)。演奏直前に何度かカードを混ぜ合わせた

2011-02-04 02:47:30
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(続き) ため、イヴェント順序は全くの偶然であったが、面白いことにリハ・ゲネで一番都合の良い順番が発生した。特に、「d1/一柳慧《ピアノ・メディア》冒頭1秒間」の直後に、「c2/拍手2秒間」のカードが出たときは、我ながら笑いそうになった。

2011-02-04 02:49:06
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松平頼曉は日本現代音楽協会元委員長、ISCM名誉会員、ということで、長めにツイートさせて頂きました。今年80歳をお迎えになられます。前記カード作品はどなたでも楽しめるものですので、是非お試しを。

2011-02-04 02:53:28