雨の日のみほゆか

ちょっとした空き時間に書き連ねたもの。思いつくがままに書き,推敲もしていないのでお見苦しい点が多々あるとは思いますがご容赦を。
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鞄莫迦 @kaban_baka

「えっ、あっ、わ私は問題ないですが西住殿にご迷惑をかけてしまうのでは…」 「そんなことないよ、むしろ…」 ゴニョゴニョとにごさせるみほさん。 「とっ、とりあえず髪を乾かさないとね。ドライヤー一つしかないから、また乾かしあいっこしようか?」 「そ、そうですね。」 →

2016-04-30 00:23:56
鞄莫迦 @kaban_baka

互いに髪を乾かし合う2人。ドライヤーの音もあり、聞こえづらいという建前で、なんとなく言葉に詰まる2人。温風と、頭を撫でる指の感覚に意識を集中させる。 「それじゃあ、どうぞ。私電気消しちゃうから」 「わかりました。」 先に優花里が布団に入り、みほがスイッチの方にむかった。 →

2016-04-30 00:31:56
鞄莫迦 @kaban_baka

みほの指がスイッチに触れようとしたとき、唐突に窓の外が光り、間髪入れずに至近距離で砲撃を受けたような爆音がした。それと同時に部屋が真っ暗になる。 「西住殿、大丈夫ですか?」 返事がない。優花里は慌てるが、目がまだ暗闇に慣れず、ほとんどものが見えない。 →

2016-04-30 00:36:02
鞄莫迦 @kaban_baka

ようやく目が暗闇に慣れてきたので目をこらすと、壁際で身を蹲らせたみほの姿が目に入った。なんとかみほに近づく。 「大丈夫ですか?」 みほは返事をせず、首を振るばかり。その体に触れると、小刻みに震えていた。 「大丈夫ですよ、大丈夫。」 抱きかかえるように肩に手をまわす。 →

2016-04-30 00:42:08
鞄莫迦 @kaban_baka

最初は息も荒く、体も震えてばかりだったが、少しずつ落ち着いていく。 「ベッドに入りましょう。ほら、足元に気をつけて。」 体を支えるようにして、なんとかベッドまで誘導する。なんとか寝かせた後、ブレーカーを戻しに行こうとする。しかし、みほは固く袖を掴み、離そうとしない。 →

2016-04-30 00:47:00
鞄莫迦 @kaban_baka

優花里はブレーカーを諦め、みほの隣に体を横たえる。みほは優花里の胸に押しつけるようにして震えている。優花里は包み込むように腕を回す。 「大丈夫ですよ、西住殿。」 声を掛けるが、まだ遠雷も鳴いており、なかなか落ち着かない。 優花里は思考を巡らせ、逡巡したのちに、声をかけた。 →

2016-04-30 00:54:35
鞄莫迦 @kaban_baka

「みほ」 みほは体を大きく震わせた。 「大丈夫です、私はここにいますよ。」 荒かった息も少しずつ落ち着きを取り戻し、体の震えもおさまっていった。雷も、だいぶ遠くへ行ってしまったようだ。 「ごめんなさい、私…」 「いいんですよ。落ち着きましたか?」 わずかに頷くみほ。 →

2016-04-30 01:02:00
鞄莫迦 @kaban_baka

「優花里さん。」 「何ですか?」 「もういちど、名前を呼んで?」 言葉に詰まる優花里。先程は、とっさに名前を呼んだが、改めて呼ぶとなると別の気恥ずかしさが襲ってくる。しかし、まだ弱っているみほのために意を決して、呼びかけた。 「みほ」 →

2016-04-30 01:11:55
鞄莫迦 @kaban_baka

また身を震わせるみほ。心配して見下ろすが、どうやら笑っている様子であった。 「何なんですかもう。」 「ごめんね。でも、嬉しくなっちゃって。」 「え?」 「やっと名前で呼んでくれたから。」 「あ、えーとその…」 「これからもそう呼んでくれると嬉しいな。」 →

2016-04-30 18:11:54
鞄莫迦 @kaban_baka

「善処します…」 「はい、それじゃもう一回。」 「もういいじゃないですかぁ。」 「だめ。」 「うー、み、みほ…どn」 「殿禁止。」 「も、もう今日はおしまいです!」 「えー?」 と言いつつも、そのことについてはもう言及せず、再び優花里の胸に顔を埋める。 →

2016-04-30 18:34:52
鞄莫迦 @kaban_baka

もう大分落ち着いたようで、呼吸も深い。先程はみほの様子がおかしいことで頭が一杯で気づかなかったが、かかる息が気になってしまう。 「くすぐったいですよぉ。」 「ん〜。」 どうやら離れる気はないらしい。説得を諦め、腕を頭と背中に回す。髪から漂うシャンプーの香りが鼻をくすぐる。 →

2016-04-30 18:52:41
鞄莫迦 @kaban_baka

改めて考えると、同じシャンプー、リンス、そしてボディソープを使い、同じ湯船に浸かったわけで。格好としては優花里がみほを包み込んでいるようであるが、優花里はまるでみほに包み込まれているように感じる。何とも言えない安心感を覚え、自然と意識が遠くなる。 →

2016-04-30 18:59:48
鞄莫迦 @kaban_baka

ふと優花里が目を覚ますと、窓の外はわずかに白み始めていた。体を動かそうとしたが、動かせない。よく見ると腰に腕が回されており、がっちりとホールドされている。解こうかとも思ったが、眠るみほの顔があまりに安らかなので、それも憚られた。たまにはこんな朝もいいだろう。 →

2016-04-30 19:09:41
鞄莫迦 @kaban_baka

戦車道の授業に2人揃って遅刻したのはまた別のお話。

2016-04-30 19:10:22