雨の日のみほゆか

ちょっとした空き時間に書き連ねたもの。思いつくがままに書き,推敲もしていないのでお見苦しい点が多々あるとは思いますがご容赦を。
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鞄莫迦 @kaban_baka

前日帰り際にひどく降られてしまったので,近かったみほさんの家で休むことにした二人。ずぶ濡れになってしまったので風邪をひく前にシャワーを浴びて着替えてしまうことにする。 「では,西住殿から先に。」 「いいよ,優花里さんから入って。着替えとか準備しちゃうから。」 →

2016-04-28 08:22:10
鞄莫迦 @kaban_baka

→ 「それでは西住殿が風を引いてしまいます…」 「けど,早く入らないと二人して風引いちゃうよ?」 「それはそうですが…」 お互いに譲らず。 「それなら,一緒に入っちゃおうか。」 「え?」 「着替えは用意しなきゃいけないから,優花里さんは先にどうぞ。」 →

2016-04-28 08:32:29
鞄莫迦 @kaban_baka

→ 混乱したまま,言われるがままに脱衣所に赴く優花里さん。もちろん,普段の練習後にも皆でお風呂にはいることもあるので,一緒に入ることはそれほどおかしいことではない。しかし,ここはあの広い大浴場ではなく,一人暮らしの学生の部屋である。妙に緊張してしまう優花里さん。 →

2016-04-28 08:38:51
鞄莫迦 @kaban_baka

→ 「優花里さーん,制服乾かしちゃうから貸してー。」 「はいぃぃ!」 唐突に声をかけられ,素っ頓狂な声を上げてしまう。 「す,すみません。よろしくお願いします。」 制服を持って,下着姿で現れた優花里さん。見慣れた部屋とその非日常感の差にくらっときてしまうみほさん。 →

2016-04-28 08:49:30
鞄莫迦 @kaban_baka

「ありがとう。お風呂も沸かしちゃうから温まっていって。」 「何から何まですみません。」 改めて浴室に足を踏み入れる。一人暮らしの浴室のため,お世辞にも広いとはいえない。蛇口をひねり,温かいお湯が出てくるのを待つ。やがて出てきたお湯に安心感を覚える。 →

2016-04-28 08:58:49
鞄莫迦 @kaban_baka

→ お風呂をいただくからには,ただシャワーを浴びるだけではなく,きちんと体を清めないと。風呂場の中で,シャンプーを探す。すると,入口の方からみほさんの入ってくる気配がした。慌てて頭からシャワーを浴びる。何も慌てる要素などないはずだが,気分はまるで修行僧。 →

2016-04-28 09:04:45
鞄莫迦 @kaban_baka

→ 水の流れる音の中でも衣擦れの音が耳を捉えて離さない。一体どうしてしまったというのだろうか。もはや顔の熱がお湯によるものなのか,内因性のものなのかもわからない。なんとか平常心に戻そうと四苦八苦する。 「優花里さん,入るね?」 「は,はい。」 顔は赤くても問題無いだろう。 →

2016-04-29 09:02:50
鞄莫迦 @kaban_baka

→ 入ってきたみほさんは手にシャンプーを持っていた。 「ごめんね,優花里さん。ちょうど昨日シャンプー切らしてまだ出してなかったの。」 なるほど,探そうとしてもそもそもなかったのだ。みほさんは少々逡巡した後にこういった。 「洗いっこしようか。」 「えっ」 →

2016-04-29 09:08:22
鞄莫迦 @kaban_baka

→ 「だって,まだお風呂湧いてないし,それにシャワーも一つしかないでしょ?」 なるほど,確かに合理的(?)だ,と,パンク寸前の頭で考える優花里さん。 「それでしたら,西住殿が先に」 「いいの,そのまま座ってて。」 しぶしぶもとのように座る。その様子を見て微笑むみほさん。 →

2016-04-29 09:13:11
鞄莫迦 @kaban_baka

→ 「それじゃ,髪から洗うね。」 「よろしくおねがいします。」 みほさんの手が髪をかき分ける。自分で洗うのとはまた違う,なんとも言えないこそばゆさ。だが,嫌な感覚ではない。しばらくその感覚に浸っていると, 「それじゃ,流すね」 とみほさん。名残惜しいが,そんなことは言えない。 →

2016-04-29 09:21:29
鞄莫迦 @kaban_baka

→ シャワーで丁寧に泡を流す。いつもふわふわしている髪が濡れてペタンとしている所に何処か愛らしさを感じるみほさん。 「それじゃ,リンスも。」 「そこまでしていただかなくとも。」 「いいの,私がしたいんだから。」 そう言われてしまうと,無下にするのも申し訳ない。 →

2016-04-29 09:28:09
鞄莫迦 @kaban_baka

手にリンスを取り,なじませていく。シャンプーとはまた違う感覚を楽しむ二人。まるで犬をわしゃわしゃ撫でるようで楽しくなってしまった。流し終わった後, 「じゃあ次は背中ね。」 「おねがいしますー。」 最初の緊張はどこへやら,すっかりとろけてしまった優花里さん。 →

2016-04-29 09:36:29
鞄莫迦 @kaban_baka

タオルにボディーソープをとり、泡立ててから背中を洗っていく。背格好はそれほど変わらないはずだが、改めて見るとこれほどまでに小さいものかと感じてしまう。何もまとっていないこともあるだろう。愛おしい。 「そしたら…」 「前は自分で洗いますよ。お手を煩わせるわけにはいきません。」 →

2016-04-29 23:04:56
鞄莫迦 @kaban_baka

すっかりいつもの調子に戻った優花里さん。鼻歌交じりに体を洗っていく。 「それじゃ、流しちゃいますねー。」 そのまま、手際よく泡を流してしまった。 「それじゃ、次は西住殿の番ですねー。」 今度はみほが座り、優花里が髪を洗う。 「母に習ったので、自信はありますよ。」 →

2016-04-29 23:21:06
鞄莫迦 @kaban_baka

なるほど確かに、手際よく髪を洗っていく。みほもその清々しい感覚に身を委ねる。 「西住殿の髪は綺麗ですね。」 「そんなこと…」 「いえいえ、そんなことありますって。私は癖っ毛なので、西住殿のようなまっすぐでサラサラな髪に憧れちゃいます。」 「私は優花里さんの髪好きだけどな。」 →

2016-04-29 23:26:29
鞄莫迦 @kaban_baka

髪を洗う手がわずかに止まる。 「そう言っていただけると、私もこの髪を好きになれそうです。」 照れくさそうにはにかむ優花里さん。 「では、一度流しますね。」 照れ隠しもあるのか、少し乱暴に、しかし優しく泡が流されていく。 「リンスをしますね。」 →

2016-04-29 23:32:29
鞄莫迦 @kaban_baka

優花里の指が、みほの髪を梳くように流れていく。清々しくも、少しくすぐったいその感覚に、言い知れない幸福感を覚える。 「じゃ、流しますよ。」 やはり、理容店の娘は上手いのか、いつもよりスッキリしたように感じる。 「背中流しますねー。」 →

2016-04-29 23:37:56
鞄莫迦 @kaban_baka

背中はやはりなかなか手が届かないもので、いつもはあまりしっかり洗うことができていないところまで行き届くので、気持ちよさと少しのこそばゆさが背筋を伝わる。 「よし、洗い終わりました。」 「優花里さん、あのね?」 「どうしました?」 「ん…いや、やっぱりなんでもない。」 →

2016-04-29 23:41:19
鞄莫迦 @kaban_baka

小首を傾げたまま、タオルをみほに渡す。みほは前を向き、粛々と体を洗う。 体を流していると、ちょうど風呂も沸いたようだった。 「それじゃ、入ろうか。」 「はい。」 2人で浴槽に入る。いつもは溢れたりしない浴槽が、一人分の体積が増えたが故に、決壊する。

2016-04-29 23:45:52
鞄莫迦 @kaban_baka

そこに、相手がそこにいるという実感を覚え、心が満たされる。 向かい合わせに座るように入っており、2人の視線は自然と天井に向かう。 「温かいですねぇ。」 「うん…」 雨で冷えた2人の体は温められ、しばらく夢心地のように、2人は過ごした。 →

2016-04-29 23:54:09
鞄莫迦 @kaban_baka

「そろそろ上がりましょうか。」 「そうだね。2人で一度に上がると、狭くて着替えづらいから、私先に上がるね。」 「了解!」 着替えて部屋へ戻ったが、濡れた服がそう簡単に乾くわけもなく、雨もまだ止みそうにない。 「何から何まですみません。」 髪を拭きながら、優花里が出てくる。 →

2016-04-30 00:00:48
鞄莫迦 @kaban_baka

「いいえ。それで、このあとなんだけど、雨も止んでないし、制服もビショビショだから、今日は泊まっていかない?」 「! いいんですかぁ?! あ、いえ、お邪魔になってしまうのでは…」 表情を目まぐるしく変える優花里さん。頭の上に耳が見えるよう。 →

2016-04-30 00:06:46
鞄莫迦 @kaban_baka

「そんなことないよ。むしろ、泊まってくれると嬉しいな。」 「で、では、親に一度確認してみますね!」 一度部屋の外に出て電話をかける優花里さん。少々押し問答が聞こえたが、なんとか説得できたようだ。 「大丈夫ですって。母がみほさんによろしくと。」 「よかった…」 →

2016-04-30 00:12:01
鞄莫迦 @kaban_baka

「それで、寝るところなんだけれど」 「大丈夫です!いつも寝袋を…」 「ビショビショだよね。」 意気消沈する優花里さん。しかし、みほさんにとってはむしろ好都合。 「それでね、布団もないし、風邪ひくといけないから、もし優花里さんが嫌じゃなければ、少し狭いけどベッドで一緒に…」 →

2016-04-30 00:17:41