Weapon/#1 「イクシヴ」
「ねえ。あなた、今ツイてると思う?」「ひっ……!」「私さあ、この銃何発撃ったか覚えてないんだ。装弾数は6発なんだけど……5発撃ったかそれとも6発だったか覚えてないんだよね。もしこの銃が弾切れだったらあなたは私を間違いなく殺せる。でも、弾が入ってたら私はあなたが銃を撃つ前に殺せる」
2016-05-02 20:39:36「どうしよっか? 投降すれば悪いようにはしないけど、しないって言うんなら撃つよ」「ひ、くっ……!」「抵抗してみるのもアリかも。ああ、もちろん結果はあなたがツイてるかツイてないかによるけどね。どうかな? あなた、ツイてる?」
2016-05-02 20:40:55「……っくしょお……ちくしょおおおお!!!!」怯えた声で叫んで私に銃口を向ける。錯乱しながら引き金に力を掛ける。その瞬間、急に敵の身体から力が抜けた。胸から刃が突き出ている。まるで怪獣みたいだ。その刃がゆっくりと抜けると同時に、敵は糸の切れた人形のようにその場に倒れこんだ。
2016-05-02 20:42:38「……はい、おしまい」黒い装甲を身に纏った女の子が私に微笑むかけてきた。私の顔も緩んで、ふにゃってなって、にこっとなった。「エクシヴ」「ダメだよ、戦闘中にチャットなんてしたら」「えへへ。ごめんね」ぱたぱたと駆け寄って、ぎゅっと抱きつく。あったかい。
2016-05-02 20:44:46「もう。性格変わりすぎ」「え?」「イクシヴ、戦ってる時とそうじゃない時で性格すごい変わってるよ?」「そうかな?」「絶対そう」「うそ。どっちのが好き?」「んー……普段の性格の方がかわいい、かな」「そっかそっか。私、戦ってるときはどんなのになっちゃってるの?」「なんか……かっこいい」
2016-05-02 20:47:32「かっこいい?」「うん。かっこいい」「エクシヴの方がかっこいいよお」「そうかな」「うん。エクシヴはかっこよくて、かわいくて、それから……」「それから?」
2016-05-02 20:49:18「ええ、何それ?」「今日ちゅーした時イチゴの味したよ」「そっか。今どうなんだろ」きゅっと顔を寄せて、唇と唇を触れ合わせる。やわかい。あったかい。ぷにぷに。イチゴ味。
2016-05-02 20:51:46「うん。イチゴ味」「イチゴなんて食べてないんだけどなあ」「そうだエクシヴ、イチゴ食べたい! ロールケーキも!」「んー? じゃあ帰ったら食べよ。買って帰ろっか」「うん!」
2016-05-02 20:53:30こうして私達は何度かちゅーをして、抱き合って、くるくる回った。途中で何度か死んだアンドロイドを踏みつけた。途中で何十回も死んだアンドロイドを蹴り飛ばした。私達はこれまで何百機もアンドロイドを殺してきた。多分これからもたくさん殺す。
2016-05-02 20:55:56いっぱい殺せばお金がもらえるしお休みももらえる。ふふふ。いっぱいお金稼いで、美味しいもの買って、お休みもらって、エクシヴとぐーたらする。それが私の楽しみの一つ。今日も帰ったらお休みもらおう。甘いもの買って帰ってエクシヴと食べるんだ。
2016-05-02 20:58:45「ねえエクシヴ」「なに、イクシヴ?」「大好き」「はいはい」「大好き」「わかったって」「私の事好き?」「好きだよ」「大好き?」「大好きだって」「ふふふ、大好き!」
2016-05-02 21:00:30