ジグソウル

はち公。 @funkastic_8er

26 ･･･その横顔でなんか察した あぁ･･･そうか 杏子さんはあの男が好きなんや だから 好きな食べ物も 嫌いな食べ物もすんなり出てきたし 今日だってめかし込んで つーか、この店選んだのも ヤキモチ焼かせたかった だけちゃうか？ 「･･･杏子さん」 #ジグソウル

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27 声をかけた俺の方を見た時 彼女の目は少し潤んでて 「･･･ごめんね大倉くん 変なとこ見せちゃって」 そんな彼女を 俺は･･･どうにも出来ない 「あとは･･･デザートだよね？ 私ちょっと悪酔い･･･ 部屋で休んでるから 終わったら起こしに来て？」 #ジグソウル

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28 そう言って彼女は 店を出て行った 『･･･まじか』 追いかけたくてしょうがない 抱きしめたくてしょうがない あんな結婚する男やめて 俺にしたらええやん って押し倒したい･･･ そう思ってたら 肩をトントンと叩かれて 『へ？』 振り返ると #ジグソウル

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29 村『後は冷蔵庫の中のやつ 出すだけやろ？ ここは俺と亮に任せて 彼女･･･追いかけぇや』 勘のいい村上くんが俺の背中を押す 村『好きな女をあんな顔で帰したら 男がすたるで？ ･･･行け。たつ。』 #ジグソウル pic.twitter.com/jwR3xr8xvz

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30 『･･･ありがと！』 俺はダッシュで 彼女を追いかけた ────8階建ての雑居ビル 1階は俺らの店 2～4階がオフィスフロア そっから上が居住フロア 杏子さんが住むのは6階 『エレベーターぁぁ！』 なかなか来ないそれに切れて 階段を駆け上がる #ジグソウル

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31 ご飯を届けによく行くその部屋に こんなに息を切らして 向かうのは初めて 『はぁ･･･はぁ･･･』 やっとこたどり着いて 息を整えてから ピンポンを押す ────応答なし 『クソッ』 舌打ちして 無意識にドアノブを回したら カチャ･･･ #ジグソウル

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32 『あ･･･』 鍵、かかってへん 一瞬躊躇ったけど 息を飲んで中に入る 『･･･杏子･･･さん？』 中は真っ暗 だけど月明かりに照らされたソファに 彼女が座ってるのは すぐに分かった 「何しに来た大倉！ まだ起こしに来るには 早いでしょwww」 #ジグソウル

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33 声の調子はいつも通りやのに 『･･･やっぱ泣いてるやん』 見てられなくて 後ろから思いっきり抱きしめる 「あはは･･･飲み過ぎて･･･ 目からアルコールがwww」 『アホ･･･強がんな』 制すれば しばらくして また涙を流し出す #ジグソウル

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34 「ごめんね･･･あたし、最低･･･ 大倉くんが私の事 好きなの知ってて･･･ あんな所見せて･･･ ほんとごめん･･･」 『別に･･･ええよ 杏子さんの役に立てるなら 何でもええから･･･』 ほんとは辛い。俺も でも･･･せめてもの強がり #ジグソウル

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35 「なんでだろ･･･ 大倉くんを好きになりたいって 何度も思ったの でも･･･できなくて」 『もうええって･･･言わんで』 俺の傷を 広げんとって･･･ そう言う代わりに 抱きしめる手を強めた 俺にせえ 俺を好きになれ ･･･そんなん言えへん #ジグソウル

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36 「ねぇ･･･大倉くん」 『ん･･･？』 「こんな最低な女を ･･･抱いてくれないかな」 ドクン 「今は何も･･･考えたくないの」 ドクン･･･ドクン 「私の役に立つなら･･･ なんでもええんでしょ？」 ────はぁ 何言うてるんこの人 #ジグソウル

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37 俺は前に回り そのまま彼女を押し倒してキスをする 強引に舌を滑り込ませれば 応える杏子さんの舌 「ふぁ･･･」 唇が離れた時 彼女に囁く 『そんな悪い女ぶらんでええよ ･･･寂しいから抱いて それだけ言って 俺で紛らわしたらええ』 #ジグソウル

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38 頬についた涙の痕を そっと拭えば その手を握り返して また泣きじゃくる 「大倉く･･･寂しい 辛い･･･キツイよぉ･･･ ･･･助けて」 『────了解』 俺はまた 唇を重ねて 悲しい言葉を 彼女が吐かなくて済むよう 俺で満たす #ジグソウル

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39 別にいい 今この瞬間は 俺の恋が報われなくても 今はただ 君が どうしようもない感情から ひととき解放されますように ────願わくはいつの日か 俺で満たされて 俺でいっぱいになって ･･･俺なしじゃダメな 女になればいい #ジグソウル

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40 「大倉く･･･」 『忠義･･･名前で呼んで』 だってそうやろ？ 『俺はあんたの共犯になるんやから』 そう、今日はめでたい日 ただの友達から 寂しさを紛らわす共犯者に 昇格した日 ────笑え、俺 #ジグソウル pic.twitter.com/t6ddiHterf

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41 ────色んな感情が渦巻く夜 俺と杏子さんが 身体を重ねて 噛み合わないパズルゲームが 幕を開ける 『ん･･･』 気づいたら朝 ･･･傍らには眠る杏子さん いつもの すっぴんモードの彼女に 心が温まる ────♪♪ と、スマホが鳴って #ジグソウル

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42 ［忠義おはよー！ 仕入れの時間ですよー？］ 『うぁ･･･里緒うるさい 今降りるから黙って』 ［うるさいとは何よ！ 取引業者に向かって！！］ 『はいはいw切るで？』 通話を切断して 服を羽織ると 『またね･･･杏子さん』 俺は部屋を後にした #ジグソウル

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43 『んーっ･･･』 外に出て伸びてから 階段で店まで駆け下りる すると店の前に止めた車のとこに 視界が隠れるほどの 箱を持った女の子が1人 『ぶっ･･･』 フッと笑ってから近づいて 『チビが無理したらアカンで？』 言いつつ箱を半分取り上げる #ジグソウル

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44 すると箱の向こうの彼女が ［ありがと忠義！］ って笑う 『どういたしまして♡ 今日も新鮮な野菜 持ってきてくれた？』 ［もちろん♪］ 『そりゃ楽しみや』 話しつつ店に入れば 先に掃除をしてる亮ちゃんがいて 亮『おはよー大倉！ おはよー里緒！』 #ジグソウル

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45 ［『おはよー！』］ ────そうやって 昨日の夜が嘘みたいに いつも通りの朝が始まる 今だけは 杏子さんへの 狂おしい熱情に蓋をして この穏やかな輪の中で 穏やかな時間を･･･ ────そんな呑気なことを 考えてたのは 俺だけだった #ジグソウル

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46 その時の俺は こんなに苦しい片思いをしてるのは この世で俺だけのように思ってた でも･･･本当は違ってて うまく噛み合わないパズルに悩む そんな人が ほんとは山ほどいる事を 思い知ることになる──── #ジグソウル pic.twitter.com/gQyQTjwryV

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47 なんやろなぁ うまくいかん時はうまくいかん 面白いくらい 感情の矢印が一方通行 こーゆう時貴方なら 闇雲に歩いて出口を探す派？ ────俺はねぇ とりあえず座って待つ派 誰か迎えに来ないかなーってね #ジグソウル pic.twitter.com/2tjhf4GA8e

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48 倉『今日もええ野菜ありがとー♪ 見てたらテンションあがるわー！』 「やったね！ そろそろ夏野菜も増えるから カラフルになるね！」 大倉と里緒の会話を 盗み聞きしつつ 黙々と里緒リクエストの スムージーを作る俺 ･･･このヤキモキする時間が 俺の日常 #ジグソウル

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49 『ん、出来たで』 「わーい！ありがとう亮！」 いただきまーすと嬉しそうに それを一気飲みする里緒 （惚れ薬でも入れといたろか） 「よし元気でた！ この後の配達もがんばろー♡」 『ん。安全運転なw』 そうして今日も 彼女を送り出す･･･ハズだった #ジグソウル

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50 ────カランカラン･･･ 店のドアが開く音にふと顔を上げれば そこにいたのは 『あ･･･杏子さん』 ［あ、亮ちゃんおはー 大倉くんいる？］ 『おるけど･･･』 タイミング最悪やな 倉『ん･･･何？』 そこへ･･･ 厨房から出てくる大倉 #ジグソウル