衝撃! NHKみんなのうた『算数チャチャチャ』(1973年)は最先端CG作品だった!
- shi_zu_ka_ni
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画像出典:http://dave.zfx.com
このように、スキャニメイトとは元ある映像をスクリーンに映し、それを一度アナログコンピューターに取り込んで、手動でエフェクトをかけ、その様子を映したモニタを再度フィルムやビデオに撮影する、という非常にアナログな感じの技術でした。それが映像に独特の“CGなのにどこか人間っぽい”感じを与えている気がします。
喩えるならば「テレビの前にラジカセを置いてマイクで録音する感じ」に似ていると言えるかもしれません。
タツノコプロにおけるスキャニメイト
ある年代より上の世代では、このスキャニメイトの画面といえば、前述の『ヤットデタマン』の動画にあるようなアニメのタイムトラベルシーンなどを懐かしく思う事でしょう。
“当時実用化されたばかりの『スキャニメイト』という技術を使って、画像をコンピュータで加工処理しているのである。
1974年のある日、タツノコプロに東洋現像所(現イマジカ)から、「スキャニメイトと呼ばれる新技術をテレビアニメにも利用してみませんか?」とセールスが来た。とりあえずは実験という名目で使用してもらっていいと言われ、そして作り出された映像が、あの御馴染みのタイムボカンのタイムトラベルシーンであった。この時作られた映像は『タンマー大混戦』のパイロットフィルムに使われ、それが後に、タイムボカンの本放映においても使用されることになった。”
“また、「タイムボカン」は極めて初歩的だが、初めてコンピューター・グラフィックが本格的に用いられた作品でもある。それはスキャニメイトというアナログ・コンピュータによるシステムで、すでに「タイムボカン」と同じタツノコプロ製作による「宇宙の騎士テッカマン」(1975年NETテレビ)のオープニング・シーンで用いられていた。本格的な使用は「タイムボカン」が最初。タイムボカンがタイムトラベルをするシーンで、タイムボカンが丸められ、波打つように変化する描写として、効果的に用いられている。その後、「ポールのミラクル大作戦」(1976~77年フジテレビ)でも用いられるようになったが、こうした点からも「タイムボカン」が画期的な作品であったことがわかる。”
東洋現像所のセールスマンがわざわざタツノコプロを訪れて売り込みに来るのですから、当時絶賛売り出し中の映像技術だったのでしょう。
第一作目が好評を博したのでしょうか、この後スキャニメイトはタツノコ・アニメでは定番の演出となってゆきます。
“日本のアニメでは、特にタツノコプロが多用した。
タツノコプロ作品
笹川ひろし監督がスキャニメイトの扱いに長けていたことからアニメではタツノコプロ作品での使用例が多い。なお、タツノコプロ作品のクレジット表示では、「スキャニメイト」ではなく「スキアニメート」と表記していた。
『宇宙の騎士テッカマン』 - オープニング
『タイムボカン』 - 時間移動の時
『ポールのミラクル大作戦』 - 不思議な国への出発&帰還
『科学忍者隊ガッチャマンII』 - 総裁Xの場面
『科学忍者隊ガッチャマンF』 - オープニングのタイトルロゴ
『ヤットデタマン』 - 大天馬登場シーン”
ですが、
タツノコプロ初のスキャニメイト使用作品『宇宙の騎士テッカマン』が1974年制作、1975年放映であるのに対し、『算数チャチャチャ』は1973年6月に放映されており、タツノコプロより実に1年以上も前にスキャニメイトが使用されていたことになります。他社がウリにするような技術をこんなところで他に先駆けて、しかもサラッと使ってしまう