昨日発生していたサイトログインできない不具合は修正されております(詳細はこちら)

【Lancer】Beginning of Rebellion -後編-

これは仮面ランサーがシンキというハンターだった頃の記録。覚醒への道程、運命を変えたその事象をしかと見届けよ。
0
仮面ランサー @MaskedLancer

「そ、そんな……」  そこには、晒し者にされているアレックス、カイル、セインの無残な姿があった。クエストに出ていたはずの彼らが何故こんなことになっているのか、目の前の光景に対する理解が及ばなかった。-107

2016-07-06 00:35:04
仮面ランサー @MaskedLancer

「奴らは何度もギルド軍の輸送隊を襲撃していた反乱分子だよ。近年脱法ハンターが増加する一方だからな、見世物にするいい機会だ」  背後から何者かが語りかけてくる。振り向くとギルドナイトの正装に身を包んだ男が立っていた。-108

2016-07-06 00:36:05
仮面ランサー @MaskedLancer

「……あなたは?」  シンキは平静を装いつつ尋ねる。 「私はギルド軍特務官ラサラス。この度の輸送隊護衛及び反乱分子掃討作戦の作戦立案を務めさせてもらった」  特務官ラサラス。名前は聞いたことがあった。-109

2016-07-06 00:37:01
仮面ランサー @MaskedLancer

特務官とは特殊任務管理官の略称で、通常のハンターに広く依頼することができないような特殊性、危険性の高い任務などの委任管理や、そういった任務で必要になる専門性の高い役割を持つ部隊の新設承認といった権限を持つギルド軍上層部の人間だ。-110

2016-07-06 00:38:01
仮面ランサー @MaskedLancer

「これは失礼いたしました。しかし、何故このような場所に?」 「この作戦で部下が在らぬ疑いをかけて君に迷惑を掛けてしまったからな。部下に代わって非礼を詫びよう」  そう言うとラサラスはシンキに向かって深々と頭を下げる。-111

2016-07-06 00:39:04
仮面ランサー @MaskedLancer

「あ、頭を上げてください! 私が彼らの勧告を断ったからこそあのような事態を引き起こしてしまったのです!」 「いや、そもそも嫌疑の段階でハンターと交戦するのは禁じていたのだ。如何なる事情であれ命令違反していたのは彼らだ」-112

2016-07-06 00:40:11
仮面ランサー @MaskedLancer

先程の兵士達とは違って話の分かる人物のようでシンキは少し安心した。だが、未だに三人の件については納得できていない。 「彼らは脱法ハンターの多くと同じ理由で反旗を決意してしまったのだよ」  シンキの心中を察してか否か、ラサラスは唐突に話し始める。-113

2016-07-06 00:41:04
仮面ランサー @MaskedLancer

「私も長らく脱法ハンターの取り締まりに携わってきたが今年は現在把握しているだけでも例年以上の脱法ハンターで溢れかえっている。何故だと思う?」 「いえ、私には分かりかねます」-114

2016-07-06 00:42:01
仮面ランサー @MaskedLancer

本当はおおよその理由を察せるが、上層部の人間を目の前にしては到底口にできないので分からないフリをした。 「簡単な事だよ。それだけギルド軍、とりわけその上層部が腐敗しているのだ」-115

2016-07-06 00:43:05
仮面ランサー @MaskedLancer

ラサラスはシンキの懸念をよそに当然のように語った。シンキは一瞬戸惑うが、上層部の認識を知る機会だと思いより具体的な話を聞き出す為に分からないフリを続ける。 「どういうことですか?」-116

2016-07-06 00:44:07
仮面ランサー @MaskedLancer

「実質上、全てのハンターを統率しているこのギルド軍があまりにも大きくなりすぎたのだ。その反動が最下層にいる非ギルド軍のハンターを中心に、我らに反抗せざるを得ない状況を作り上げたのだ」-117

2016-07-06 00:45:09
仮面ランサー @MaskedLancer

ラサラスは晒し者にされてる三人の方を見て更に付け足すように語り続けた。 「そして奴らも同様にギルド軍の強権化を防がんと物資輸送の妨害を始めたのだ。脱法ハンターのきっかけは皆同じところにある」-118

2016-07-06 00:46:03
仮面ランサー @MaskedLancer

「……」  未だにこの状況を信じられないシンキは言葉を失ったように押し黙るしかできなくなった。 「そういえば今回の脱法ハンター四人のうち最後の一人が見つかってないそうだ」-119

2016-07-06 00:47:02
仮面ランサー @MaskedLancer

ラサラスはそれだけ言い残すと共にその場を立ち去った。去り際の言葉にシンキはハッとする。思えばヘリックは急に『兵器』の話を持ち出していた。ヘリック達と、今回の事件の繋がりが見えたような気がしてシンキは思わず駆け出す。-120

2016-07-06 00:48:02
仮面ランサー @MaskedLancer

「……ヘリック」  友の面影を求め、砂原へ再度向かうのであった。-121

2016-07-06 00:49:05
仮面ランサー @MaskedLancer

砂原にある薄暗い洞窟を歩くシンキ。そこで血塗れのまま壁にもたれて座る男の姿を見つける。 「やはりここにいたか」  初めての狩りの時に逃げ込んだ思い出の場所、アイルーの巣の近くにヘリックはいた。傍らでは一匹のアイルーが心配そうに彼を見つめている。-122

2016-07-06 00:50:04
仮面ランサー @MaskedLancer

「……よぉ、シンキさん。くたばる前に会えてよかったぜ」  ヘリックがこちらの顔を見上げる。 「馬鹿を言うな。すぐ手当てしてやる」  シンキはヘリックの目の前まで来ると片膝をつく姿勢で腰を下ろす。-123

2016-07-06 00:51:06
仮面ランサー @MaskedLancer

「助かると思うか? この傷」  ヘリックの腹部に深々と刻まれた十字の傷を目の当たりにして、シンキは言葉に窮した。むしろこれでまだ息がある方が恐ろしいぐらいだ。-124

2016-07-06 00:52:02
仮面ランサー @MaskedLancer

「今思うと、ホント馬鹿なことをしたよ……。『兵器』の存在を知って、皆にそれを伝えたら全員一致で普及を阻止しようって話になったんだ……」 「本当に……ギルド軍に反抗してたのか」-125

2016-07-06 00:53:07
仮面ランサー @MaskedLancer

未だに信じたくなかった。何かの間違いであってほしかった。だが、何もかもが決定的になってしまった。 「ああ……皆がすっかりやる気になっちゃって……でも最初に『兵器』の危険性を説いた俺には過熱していく皆を止める事も出来なくなって……」-126

2016-07-06 00:54:06
仮面ランサー @MaskedLancer

「いくらなんでも無謀だ! どうしてそんな早まった事を……!」  シンキは怒りをぶつけるように言った。身の危険は明らかだというのに、何故あろうことかそれにヘリックが参加をしてしまったのか……理不尽でならなかった。-127

2016-07-06 00:55:07
仮面ランサー @MaskedLancer

「ホント、何でだろ……な……。いつかこうなると……不安でいっぱいだったのに……でもアレックス達の手を汚させて……俺だけが逃げ出すなんて出来なかった……」  ヘリックの声が急激に弱々しくなる。-128

2016-07-06 00:56:07
仮面ランサー @MaskedLancer

「ただ……シンキさんに再会できた時……きっと助けを求めたかったんだろうな……でも結局、俺達のやってる事に巻き込むのが怖かった……だから言えなかった……」  胸中を語り始めるヘリック。-129

2016-07-06 00:57:04
仮面ランサー @MaskedLancer

「俺はもう……罪を犯した人間だった……いずれギルド軍に狙われるのにシンキさんを関わらせられない……話を聞いたシンキさんが反抗に加わるのも……怖い……どっちの意味でも……巻き込みたくなかった……」-130

2016-07-06 00:58:01
仮面ランサー @MaskedLancer

この前の凍土ではきっと『兵器』の事だけでなく、本当は実際に妨害活動に手を染めてる事まで話したかったのだろう。途端に今度は助けになれなかった自分に対する無力感に襲われた。 「俺達は仲間だろ!? そんな事、一人で背負いやがって!」-131

2016-07-06 00:59:04