DAS BOOT

かの名作「Uボート」を艦これに改変してみました。いえ、改変しているところです。 取り敢えずはきれいな部分をちまちまとつぶやきつつ、完成を目指します。 ”あねさん=姉さん”の表記ゆれあり
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同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

……… …… … 太陽は暖かで、風はやさしく、静かだった。

2020-01-26 22:23:11
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

空は青、透き通るような素晴らしい青で、ちぢれた雲がゆったりと流れている。 そう、空。 クレと呼ばれたこの港は、岸壁から空が見えるのだった。分厚い鉄筋コンクリートの天井は、ここでは必要ない。

2020-01-26 22:23:35
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

案内についたのは、鮮やかな白のセーラー服を着た水兵。赤茶けたレンガの建物ははっきりとした色合いをみせ、街路樹はまぶしい緑。道端の花壇には、赤、青、黄色とあらゆる微妙な色調と配色のパステルカラーが溢れ、世界にはこんなにも色があったのだと思い出させた。

2020-01-26 22:23:58
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

執務室で私を迎えたのは、白い詰め襟を着た士官。提督の肩書きをもつ彼が歓迎とスエズからの航海を労う趣旨の言葉を述べ、始めて見るような様子で君がUボートかといった意味のことを言うに至って、私はようやく、自分がもう独りであることを理解した。

2020-01-26 22:24:30
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

彼は他でもなく、私を正面に見据えてそう言ったのだ。姉さんでもミルヒでもなく、私を。そもそもここには、彼と、彼の秘書艦と、私しかいなかった。

2020-01-26 22:24:44
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

UA戦隊はもう、私以外のボートは存在しないのだ。姉さんも、ミルヒも、ランプレヒトも、フランツも、マイケも。 みんなみんな、いなくなってしまった。 ここにいるボートは、正真正銘私一人なのだった。ここでは私だけが、私こそが、Uボートなのだ。

2020-01-26 22:25:08
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

「Ich gehöre……」 自己紹介をしようとして、ここでは母国語が通じないことも思い出した。 いまさっきまでここの言葉で話しかけられていたというのに、母国語で話そうとした自分が滑稽で、おかしかった。

2020-01-26 22:25:32
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

なんでだろう? ここに来るまで、母国語で会話していたような気がするのだ。 「ドイツ海軍所属、潜水艦U-511です」 "なんだ、お堅い。ヒットラー・ユーゲントみたいなやつだな" いつかした会話が、聞こえたような気がした。

2020-01-26 22:25:56
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

「ユー〈U〉と、お呼びください」 "お前はこれからユーだ"

2020-01-26 22:26:19
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