ストローク・オブ・フェイト ♯1

ニンジャスレイヤーの二次創作です ソニックブームとシルバーカラスが出ます 次:http://togetter.com/li/1021370
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ひたちえぼ @EVO_Hitachi

◆おひさしぶりです◆ これからニンジャスレイヤーの二次創作を、だいたい20ツイートぐらいします。鬱陶しく感じた場合、ミュートをしたりフォローを外したりなどで聞き流すことでQOLが上がります

2016-08-28 23:10:50
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

*わたしはたまたまここにいて二次創作を投下しています*また、ご感想やケジメ案件が発生したときは、#owl_nj あてに何かツイートしていただければ嬉しいです*原作とは一切関係がない*

2016-08-28 23:14:51
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

しとど雨降るネオサイタマ、傘の花咲く夕暮れであった。 2

2016-08-28 23:18:46
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

喧噪届かぬ広いヤクザ屋敷、山水を模した庭で、二人の男が向かい合っている。彼らの間にはアトモスフィアがあった。イクサのアトモスフィアだ。その殺気に庭のバイオコオロギさえ静まりかえっている。シシオドシの音だけが、剣呑な空気を知らぬかの如く鳴いていた。 3

2016-08-28 23:24:32
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

「ザッケンナコラー……テメッコラー」リーゼントの男が、低く威嚇する。向かい風をいなす鳥のように飄々と、対面したコートの男は言う。「生憎、俺はツジギリ風情なもんでね。ヤクザの仁義なんざ守るつもりはない」 4

2016-08-28 23:26:59
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

リーゼントの男は拳を握る。ぎしり。レザーグローブが鳴り、油断なくカラテが構えられる。対するコートの男の表情は読めぬ。フードをかぶり、顔を無機質な鈍色のフルメンポで覆っているからだ。その右手は無造作に、しかしいつでも腰のカタナを抜けるはずだ。次のシシオドシが合図となろう。 5

2016-08-28 23:29:54
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

両者の間にある張り詰めたアトモスフィアが満ち、溢れ、竹の高らかな音が響く。――はたして、相対するニンジャふたりが動いた! 6

2016-08-28 23:35:15
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

「ストローク・オブ・フェイト」♯1

2016-08-28 23:36:01
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

ヤクザビルのエレベーターを降りると、広いペントハウスであった。ミカジメと脱法ビジネスで潤した懐から薄汚いマネーをつぎ込み、カネモチに見えそうな物をかき集めたような空間だ。いささか趣味が悪いと感じながらも、ソニックブームはレッサーヤクザに先導され、応接スペースへ通された。 7

2016-08-28 23:39:22
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

ソファには三人の男が座っていた。その最も上座の男へ、ソニックブームはアイサツする。「ドーモ、ソニックブームです」「ドーモ。チクゼン・コバカワです。お待ちしてました、センセイ」青いヤクザスーツを威圧的に着こなした50絡みの男が立ち上がり、ソニックブームにアイサツを返す。 8

2016-08-28 23:44:10
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

彼がこのヤクザビルの主、アオショーグン・ヤクザクランのオヤブンだ。次いで、ソニックブームは、残る二人の男に目を向ける。一人は似合わないヤクザスーツでソニックブームを卑屈に伺う若者。問題は、最後の一人だ。 9

2016-08-28 23:48:16
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

鈍色のコートを肩から引っかけた、痩せた男。隠しようのないニンジャ・アトモスフィアが、その男にはあった。「ニンジャがいるってのは聞いてねえな。……オイ、名乗れよ」男は、ソニックブームを油断ない眼差しで射貫き、視線を外さず頭を下げた。「……ドーモ、シルバーカラスです」 10

2016-08-28 23:52:18
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

ソファの脇に、やや小ぶりなカタナが立てかけてある。恐らくそれが、このニンジャの得物なのだろう。「シルバーカラス=サンは、個人的に雇っている用心棒でして」「なるほど」チクゼンの言葉に頷いたソニックブームは「イヤーッ!」出し抜けにチクゼンにカラテフックを打ち込んだ。 11

2016-08-28 23:56:50
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

瞬間、ニンジャ跳躍力でソファから跳ね上がったシルバーカラスがインターラプトし、カラテフックを鞘ぐるみのカタナで弾き返した。更に、ソニックブームに肉薄し、鞘からわずかに抜いたカタナの刃を首に押し当てる。「テストにしては、不調法だろ。なぁ? ソニックブーム=サン」 12

2016-08-28 23:59:19
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

ソニックブームは悪びれず、首筋に当たる刃を手で押し戻す。ワザマエは確かな物のようだが、ニンジャのアンブッシュに全く動じず、ソニックブームを責めもしないチクゼンに対しても驚嘆していた。「合格だぜ」「そいつはドーモ」 13

2016-08-29 00:01:45
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

「や、やめましょう! そこまで。ね?」両者の間に、三人目の似合わぬヤクザスーツの男が割って入った。ソニックブームが彼を一瞥すると、チクゼンが苦笑いした。「息子のキンゴですわ。ヤクザには向かんタチですが、息子は息子なもんで。さ、どうぞ、お掛けんなってください」 14

2016-08-29 00:05:09
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

ソファに落ち着くと、側近ヤクザがソニックブームらに熱いチャを出す。それを横目に、ソニックブームは切り出した。「俺様が来たのは、今回の件をソウカイ・シンジケートが仕切る為だ。そこんとこは、いいかい」オヤブンは頷く。「勿論でさ。これ以上連中の好きにさせちゃならんですから」 15

2016-08-29 00:07:39
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

……事の起こりはこうだ。アオショーグン・ヤクザクランのナワバリ、ジャノミチ・ストリートで、傘下の小規模クランが襲撃され、余すところなく命を落した。現場を訪れたマッポさえ顔を歪める陰惨な現場の数々は、敵対クランのカチコミを疑うに充分だった。 16

2016-08-29 00:10:56
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

そして、疑いは事実としてストリートに顕在化した。アオショーグンの目が行き届かぬ縄張りでシノギを始めたのが、ノボリドラゴン・ヤクザクラン。長らく隣接するナワバリを巡って小競り合いが続いていたが、相手がニンジャを雇いこんでジャノミチ・ストリートを荒らし始めたのだ。 17

2016-08-29 00:14:11
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

「最近じゃ連中、うちのナワバリでトロ粉末まで捌きだしやがった。ウチのとは比べものにならん粗悪品だが、何せニンジャが相手だ。手出しできんのです」「バイヤーがニンジャ」「そこまでは分からんのです。何せ突き止めた連中が死んじまったもんで」チクゼンは苦々しげにユノミを卓に置いた。 18

2016-08-29 00:19:49
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

ソニックブームはモノホシ・タバコを咥える。側近ヤクザが素早くライターを近づける。一服つけながら、無関心げに同じく煙草を吸うシルバーカラスに目をやる。「こいつ、用心棒だって話だが、実際使ってるか?」「いや……まだ直接カチコミって事にはなってないんで」「なんだ、タダ飯食いかよ」 19

2016-08-29 00:22:23
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

シルバーカラスが不本意そうな眼差しを向ける。ソニックブームは人の悪い笑みで応じる。「俺様が来たからにはそう言うのはナシだ。コトが動くまでは、俺様と来て貰うぜ」不本意そうな眼差しはソニックブームからチクゼンに移るが、「そういうこったから」と、なだめるように笑う。 20

2016-08-29 00:24:37
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

シルバーカラスは煙草の火を消した。「……チクゼン=サンがそれで良いなら、こっちは構わんよ」「なら、決まりだ。このビルの守りはクローンヤクザを配置して強化させる。テメエは、俺様と仕事だ」ソニックブームはくわえ煙草で不敵に言う。 21

2016-08-29 00:28:22
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

「何すりゃ良いんだい、ヤクザの旦那」観念した様子のシルバーカラスに、ソニックブームは言う。「手始めに、そのトロ粉末をさばいてる連中を片付ける。相手の手札が分からねえ以上、そこを探るとこからだ」シルバーカラスはしばし考える様子を見せた後、頷いた。 22

2016-08-29 00:34:31