ストローク・オブ・フェイト♯３

ひたちえぼ @EVO_Hitachi

＊いつでも眠気と戦うアカウントからニンジャスレイヤー二次創作更新のお知らせです＊

ひたちえぼ @EVO_Hitachi

＊今回は試験的にスマートフォンからの更新となります。トラブルが発生した、眠さに屈したなどの場合、すみやかに更新を中断しますのでご了承ください＊

ひたちえぼ @EVO_Hitachi

＊それでは、いつものように聞き流したりミュートしたりよろしくお願いします。「良さ」「誤字」「好き」などは #owl_nj まで＊

ひたちえぼ @EVO_Hitachi

「ストローク・オブ・フェイト」♯３

ひたちえぼ @EVO_Hitachi

（これまでのあらすじ：ヤクザ抗争を収めるためソウカイ・シンジケートから派遣されたソニックブームと、ヤクザボスの用心棒シルバーカラス。彼らに対し敵対ヤクザクランのニンジャ、シグナルロケットがイクサを仕掛けてきた！）

ひたちえぼ @EVO_Hitachi

♯1 togetter.com/li/1017676 ♯2 togetter.com/li/1021370

ひたちえぼ @EVO_Hitachi

ノボリドラゴン・ヤクザクランのシグナルロケットは、得物を前にほくそ笑んだ。彼の十八番は、煙を意のまま操るノロシ・ジツ。発煙クナイの煙幕を一定空間にとどめ、なす術ない相手をサーモゴーグル越しに仕留める。 1

ひたちえぼ @EVO_Hitachi

アオショーグン・ヤクザクランの下部組織を潰して回ったのも、トロ粉末のバイヤーを突き止めようとした構成員を殺したのも、彼の功績だ。ニンジャが2人がかりだろうが、自分のジツがあれば無敵だ。シグナルロケットはクナイでシルバーカラスを牽制しつつ、ソニックブームに躍り掛かった。 2

ひたちえぼ @EVO_Hitachi

「イヤーッ！」タタミ一枚先も見通せるかどうかの濃い煙が立ちこめる中、ソニックブームは風切り音をニンジャ聴覚で聞き取り、クナイを弾き返す。深刻な部分への攻撃は防げているが、既に数カ所浅く切りつけられている。カラテに重さのない、本来相手にならない筈のニンジャだが、誤算があった。 3

ひたちえぼ @EVO_Hitachi

風通しが悪い袋小路とはいえ、屋外だというのに煙幕が晴れない。表通りへ逃げて煙を散らすことも考えたが、下手に動いて表通りのモータルどもを狙われるのは、後々クランにとって不利に働く。ここで確実に仕留め、相手クランの情報を引き出さねば。 4

ひたちえぼ @EVO_Hitachi

シグナルロケットは、クナイ投擲と接近カラテを巧妙に組み合わせてくる。カラテシャウトと金属音がするため、シルバーカラスも交戦していることは分かる。戦況は不明だが、ここで死ぬことは無いだろう。 5

ひたちえぼ @EVO_Hitachi

あの男のワザマエは、ソウカイ・ネットで調べた情報と自分が確かめた姿で、おおむね信用している。フリーランス、用心棒、殺し屋、稀にサイバーツジギリ。シンジケートが雇った事もあれば、敵対組織に雇われていた事もあった。十二分に「使える」ニンジャだ。 6

ひたちえぼ @EVO_Hitachi

何度目かのクナイを弾いたところで、「イヤーッ！」胸板に速さの乗った両脚蹴りを食らった。「グワーッ！」転倒！「ブザマ！」嘲るシグナルロケットの声。「ザッケンナコラー！」ネックスプリングで跳ね起きる。煙に巻かれてシルバーカラスに見られなかったことは幸いだった。 7

ひたちえぼ @EVO_Hitachi

その目と鼻の先、淡く浮かぶ細い光がふたつ。シルバーカラスのメンポだ。「無事か」「誰に聞いてンだ」互いの背中を守るように立ち、両者はそれぞれのカラテを構えた。シルバーカラスのやや苛立った声。「煙幕が面倒だ。こんなに長く続くとなると、その手のジツか、テックか」 8

ひたちえぼ @EVO_Hitachi

ソニックブームはクナイを弾き返しながら囁く。「俺様がどうにかしてやる。煙が薄くなったら仕掛けろ。しくじるなよ」「……分かった」ソニックブームは体を反転させ、シルバーカラスより前に出る。 9

ひたちえぼ @EVO_Hitachi

軽くグローブをはめた右手を開閉させ、カラテを構える。「イィィヤァーッ！」ソニックブームは上方へ拳を打ち上げた。衝撃波が、彼を襲うクナイさえ跳ね返した。瞬間的に空気の流れが変化し、視界が一瞬晴れる。壁や路面に何本か刺さった雲型クナイ、そして空中で攻撃態勢のシグナルロケット。 10

ひたちえぼ @EVO_Hitachi

「充分だ」シルバーカラスが、気流に逆らい再び収束し始めた煙の中を跳んだ。「イヤーッ！」「イ、イヤーッ！」「イヤーッ！」「グワーッ！」「イヤーッ！」「グワーッ！」 11

ひたちえぼ @EVO_Hitachi

連続する金属音が止み、シルバーカラスが期待通りの戦果を告げた。「抑えた」シルバーカラスは鞘ぐるみのカタナと片腕で、うつ伏せのシグナルロケットを後ろ手に押さえ込んでいる。 12

ひたちえぼ @EVO_Hitachi

「手こずらせやがって」「二人がかりでやっとかよ。大したことねえなぁ」「ソマシャッテコラー！」ソニックブームはヤクザスラングを相手の語尾にかぶせた。「カラテがあるなら逃げられるだろうが。やってみろよ」シグナルロケットの頭をストンピングした。くぐもった呻き声が上がる。 13

ひたちえぼ @EVO_Hitachi

「テメェ程度のカラテで思い上がるな。ヤクザだろうがニンジャだろうが、上には上がいる。分かるか？」そう言いながら、シグナルロケットのクナイをホルダーから引き抜いた。「木っ端ニンジャがヤクザ抗争に関わるなんざ、美味いリターンがあるか、オヤブンがテメェより格上だ。違うか？」 14

ひたちえぼ @EVO_Hitachi

＊スリケン来ましたがキリのいいところまで続けますね＊

ひたちえぼ @EVO_Hitachi

溜息をついたシルバーカラスが拘束の力を強める。「ノボリドラゴン・ヤクザクランの戦力。他にニンジャはいるか？　全部吐け」ソニックブームがクナイを弄ぶ。「なんだ？　ヤクザらしくケジメでもしようってのか」「抜かせ」ソニックブームは手にしたクナイでシグナルロケットの右目を突いた。 15

ひたちえぼ @EVO_Hitachi

「グワーッ！」暴れるシグナルロケットに、ソニックブームは新たなクナイを手に取ると顔の前でチラつかせた。「左行く前に言うか？　どうだ？」「やってみろよ」左目にもクナイが刺さる。「グワーッ！」「どうだ？」「ア……オヤブンだ。モトヤス＝サンがニンジャだ」 16

ひたちえぼ @EVO_Hitachi

モトヤス・テイクチ。ソニックブームも名前は知っていた。争いの絶えなかったケゴン・ストリートを腕っ節だけでまとめ上げた、武闘派中の武闘派リアルヤクザだ。ニンジャだったことは把握していなかった。「他は」 17

ひたちえぼ @EVO_Hitachi

「もうひとり、ニンジャがいる。強いが、どういうワザマエか、は、詳しく知らない。残りは、元からクランにいた連中だ」「ニンジャはお前入れて三人か」シグナルロケットは水牛の民芸品めいて首を上下させる。「そうか」三本目のクナイを持った手を振りかぶる。「待て」 18