- funkastic_8er
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51 その名前は 裕くんを一気に不機嫌にさせて 《・・・あいつ》 悔しそうに呟いたのを 彩香は聞き逃さなかった 〈あいつって・・・知り合い? 栞乃は裕くんも 知らないみたいって言ってたけど?〉 すると 裕くんは買ったばかりの コーヒー牛乳を彩香に手渡して #僕らに愛を
2016-10-08 20:35:1952 《これやるから・・・詮索すな》 そう言って立ち上がった 〈はいはいw〉 《あ、それと》 〈はい?〉 《栞乃と、あいつが何かあったら 俺に・・・知らせろ》 〈・・・はいはーい〉 その後姿を見送りつつ 彩香が呟く 〈余裕無くなったねぇ、裕くん〉 #僕らに愛を pic.twitter.com/a4c9I5mchI
2016-10-08 20:35:3053 安田君と屋上で 昼ご飯を食べるようになって 一緒にいる事が増えて 違う弊害が出てきた ・・・ある日の放課後 職員室での用事を済ませ 教室に戻り帰ろうとしてたら [ねぇねぇ、吉川さんさ! 今度は安田君に手ぇ出してない?!] [もう、ありえへん!] #僕らに愛を
2016-10-09 18:05:2654 (うわ・・・) なんとなく気づいてたけど やっぱり言われてるんだ 安田君といる時間が増えて 話していたら 視線と ヒソヒソ声を 聞くような気がしてたから (安田君も・・・人気だもんなぁ) 覚悟はしてたけど (実際聞くとキツイなぁ・・・) #僕らに愛を
2016-10-09 18:06:2455 そんな事を考えて立ち竦んでいると 『吉川?』 後ろから声をかけられて 「あ・・・安田君 ど、どうしたん? 帰ったんちゃうの?」 『ギター忘れてん。それで・・・ ってお前は?何してん?』 (ダメ・・・) 慌ててその場を取り繕うとしたら #僕らに愛を
2016-10-09 18:06:4956 [ってか、なんで吉川さんばっかり?横山先輩とか、安田君とかさぁ・・・] [あれかな?地味なふりして 実はすんごいエロいとか!?] [それ!ありえるw] [彩香ちゃんとかもさ 自分の引き立て役として 近くに置いてるんちゃう?] [え、それなら最高w] #僕らに愛を
2016-10-09 18:07:2857 そのやりとりを 安田君にも聞かれてしまって 『なんなん・・・アイツら』 安田君の表情が 怒りに満ちていくのがわかった (だめだ) 「だ、大丈夫だから! 私、慣れてるからこーゆうの!ね? だから・・・」 大変な事になると思って なだめたつもりが #僕らに愛を
2016-10-09 18:07:4458 『吉川・・・お前あほか』 「・・・え」 『こんなもん、慣れたらアカン』 ・・・ドキ 言い終えた途端 バン!!! と、大きな音をたてて 安田君がドアを開けた [げ・・・] 中にいた子達は動揺して [安田君や・・・] 焦っていた #僕らに愛を
2016-10-09 18:08:1359 安田君は それを無視するように つかつかと中へ入ると 『吉川ー、荷物こんだけか?』 私のカバンをもって尋ねて 「え、あ、はい!」 私が答えると またこちらに戻ってきた そして ドアを閉める直前 くるりと振り返りにっこり笑うと・・・ #僕らに愛を
2016-10-09 18:08:4660 『吉川がすんごいエロいかは まだ試してないから知らへんけど。 少なくともお前らみたいに 趣味・悪口のクソ女ではないから。 せやから俺は こいつと一緒につるんどんねん。』 そのフレーズに 女の子達が真っ赤になるのが見えた そして トドメの一言 #僕らに愛を
2016-10-09 18:09:3661 『こいつの悪口言うって事は 少なくとも俺を 敵に回すっちゅー事やからな? ・・・お前ら、覚悟せぇよ?』 そう言い終えると さっきより さらに大きな音を立てて 教室のドアを閉めた・・・ そして 私の手を掴み グングン歩いていく 「安田君!?」 #僕らに愛を
2016-10-09 18:10:4962 声をかけるのに 答えてくれなくて 「安田君・・・」 次第に 泣けてくる それに気づいたのか ようやく彼は立ち止まって 『ごめん・・・俺、やり過ぎた?w』 顔を抑える私を覗き込んできた 『もっと酷い事されるんやないかって 怖くて泣いてるん?』 #僕らに愛を
2016-10-09 18:11:3563 「違う・・・」 そーゆう 涙じゃない 「そーゆうんじゃないの」 うれしくて 自分の存在を認めてくれて 大事にしてくれる人がいる それだけで こんなにも救われるんだ ・・・そのお礼を言いたいのに 涙が溢れて言葉にならない #僕らに愛を
2016-10-09 18:12:0564 そんな私の頭を 安田君は 優しく撫でてくれて 『ここじゃなんやから ゆっくり話せるとこ行かへん?』 そう言いつつ 自転車に跨ると 『ほれ。ここ座り? 2ケツは慣れてるやろ?』 って 「うん・・・」 返事をしてから 促された通り そこに座る #僕らに愛を
2016-10-09 18:12:4565 グッと私の手を 自分の腰に回すよう引き付けて 『ほな、行きましょかー』 その合図と共に 自転車はその場を出発した ────私は 安田君に夢中で 気づいてなかった その様子を 《栞乃・・・?》 裕くんに 見られていたなんて #僕らに愛を pic.twitter.com/Dd0qB1bu1o
2016-10-09 18:14:2366 安田君が連れてきてくれたのは 町外れの廃墟ビルで 『階段やけど平気?』 「あ、うん・・・ 体力ないからゆっくりでいい?」 『ええよw休み休みいこw』 階にして8階分を ゆっくりと上がっていく 「安田君って高いとこ好きなん?」 『うん、すき♡』 #僕らに愛を
2016-10-09 18:56:4467 「なんでー?」 『やって・・・ほら』 たどり着いた先は 高校の屋上より広い視界で 「わぁ・・・」 階が高い分 遠くの景色までよく見える 「すごいね・・・」 その光景に見入っていると 『こーゆう景色見てたら なんかスッキリすんねんな』 #僕らに愛を
2016-10-09 18:57:0968 『同じ所にとどまって 同じ方向からしか物事見てなかったら 考え方偏ってしまうと思わん?』 ・・・確かに 『例えば狭い世界で しょーもない人間の 陰口や、偏見ばっかり気にしてたら ほんま・・・息苦しくなるやろ?』 確かに 「苦しくなってた・・・」 #僕らに愛を
2016-10-09 18:57:3869 『そーゆうときは ここ来たらええよ なんか、どーでもよくならへん?』 「うん・・・なったw」 なんだろう 胸の中のモヤモヤが すぅっと飲み込まれる感じ 「やばいな・・・私も高いとこ 好きになってまいそうやw」 ふふっと笑う私に #僕らに愛を
2016-10-09 18:58:0570 『・・・よかった、吉川が 高いとこ苦手やなくて』 はぁと、大きく息を吐きながら 安田君が言った 「でも・・・昔は苦手やったんよ」 『・・・そうなん?』 「観覧車とかも 怖くて乗られへんかったw」 『へぇ・・・』 我ながら よく平気になったもんだ #僕らに愛を
2016-10-09 18:58:1771 ・・・あれ? 私 いつから高い所 平気になった? (小5の家族旅行の時は 観覧車乗れなかったはず・・・) そこから・・・どうやって 『どうやって高いとこ 苦手やなくなったん?』 どうやって・・・ あれは確か [かのちゃん!] ────え? #僕らに愛を
2016-10-09 18:58:3572 [オレが手ぇ握っててやるから 怖ないやろ?] 頭に 見た事の無い映像が浮かぶ (これ・・・誰?) [ほら・・・な?] (この声・・・どこかで) 必死に 答えを探ろうと 記憶の糸をたぐる なのに 全然はっきりしなくて (もう少し・・・お願い) #僕らに愛を
2016-10-09 18:59:1373 ギュッと目をつぶった次の瞬間 ────『・・・かわ?吉川!?』 安田君の声で 引き戻された 『吉川、大丈夫か? 顔、真っ青やで?』 その表情は すごく心配そうで 「あ・・・なんだろ ちょっと寒いからかなw」 慌てて取り繕う 『確かに・・・な』 #僕らに愛を
2016-10-09 18:59:3474 『もう・・・10月やもんなぁ』 そう言うと安田君は 私の手を握って そのまま学ランのポケットに ふたりの手を突っ込んだ 「・・・へ!?」 『これならあったかいやろ?』 「そ、そうやけど///」 急すぎて 顔が赤くなるのを抑えられない #僕らに愛を
2016-10-09 18:59:5875 『ほら、顔色も治ったw』 (や、この赤さは! なんか違うと思うけど!?) 頭ではそう思ってるのに パニック過ぎて言葉にならない 『さ、そろそろ帰ろか。 真っ暗になってまうわ』 「う、うん///」 なんだろ・・・ 安田君はドキドキしないのかな? #僕らに愛を
2016-10-09 19:00:19