大湊警備府の日常【第1話】

深海さかな @dzurablk_kai

頬を膨らませた川内と腕を絡めながら執務室に戻る道すがら、龍造寺もさっきのお返しとばかりに意地悪を口にする 「お前はほんと座学が弱いからなー そんなんで『いいお嫁さん』になれるのか？」 「そ、その話は恥ずかしいからしないでってば！！」 #今夜の川内

深海さかな @dzurablk_kai

「誰だったかなあ、手料理たくさん覚えて素敵なお嫁さんになりたいって言ったのは？」 「もう、提督のバカ！ 嫌い！」 拗ねてそっぽを向いてしまう川内 「本当に嫌いか？」 「・・・嘘、好き」 「最初からそう言えばいいだろ」 「意地悪・・・」 #今夜の川内

深海さかな @dzurablk_kai

照れながら微笑む川内の額は、夕日に照らされながらもそれ以上に紅潮していた 「ほら、早く帰らんと深水にまた茶化されるぞ」 そう言って正面に向き直った龍造寺の頬に、川内の唇が触れる柔らかな感触 「・・・本当に甘えん坊だな」 #今夜の川内

深海さかな @dzurablk_kai

「ねえ、お返しはしてくれないの？」 物欲しそうな上目遣いと微かに荒い息 「してやるぞ、そら！」 龍造寺は返すや否や不意打ちに川内の膝裏へ腕を回すと、その軽い体躯を抱え上げた 「きゃっ！ やだ、恥ずかしいから・・・！！」 「悪戯へのお仕置きだよ」 #今夜の川内

深海さかな @dzurablk_kai

「お返しってそういう意味じゃ・・・」 「続きは消灯後だよ」 それきり顔を真っ赤にして俯いてしまう川内に龍造寺は満足げに笑うと 「まあ、今日は出撃報告書で何時に寝られるかわからんがな！」 足取りも軽く警備府への家路を急ぐのだった #今夜の川内

深海さかな @dzurablk_kai

続く #今夜の川内