サンズ・オブ・ケオス #2

ネオサイタマ電脳IRC空間 http://ninjaheads.hatenablog.jp/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

マスラダも後を追って門をくぐった。路地の暗がりに足を踏み入れた時、彼は既に赤黒の装束と「忍」「殺」のメンポを身に着けた影となっていた。メイレインは尾行するニンジャスレイヤーに気づかない。メイレインのニンジャ第六感とニンジャスレイヤーのニンジャ野伏力の相殺である。

2016-10-28 00:58:10
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーは殺意を研ぎ澄ます。メイレイン。サツガイに連なる者。脳の芯が冷え、握りしめた拳が軋む音が骨を伝う。ポン引き、乞食、ストリートオイラン。暗い路地の住人達も、滲む赤黒の霧めいた彼に気づけない。鋭利な刃めいて敵に至る忍び足、相手を引き裂き殺す暴力。彼にとっては同義だ。

2016-10-28 01:07:25
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

曲がり角に差し掛かると、メイレインは念を入れて一度背後を振り返った。だがその時ニンジャスレイヤーは既に地上にはなく、壁めいた建物群の配管パイプの上に立ち、標的を見下ろしていた。『YO。順調か』タキが通信を入れた。『あのな、グッドニュースとバッドニュース、どっちを先に聞きたい?』

2016-10-28 01:12:47
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「バッドから」『やっぱグッドからにする。メイレインの野郎はソウカイ・シンジケートにハネられた。ソウカイヤはソウカイヤで奴と何かあったんだ。つまり奴を殺してもソウカイ・シンジケートはそこまで怒らねえ。抜け目ないオレがソウカイヤに幾つか情報を横流ししたからなんだが……』「バッドは」

2016-10-28 01:17:56
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

『そのな』タキが言葉を切った。やがて言った。『ソウカイヤのニンジャがメイレインを始末しに向かってる。誰が来てるかは知らんが、オレの感覚だと、こういう身内の粛清にあたるのは、シックス・ゲイツ格のニンジャだな』「何?」『つまり、ちょっと段取りを巻かないと、お前はメイレインを殺せない』

2016-10-28 01:22:23
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「巻けない」ニンジャスレイヤーはメイレインを睨みながら舌打ちし、否定した。「今ここで殺せば、奴のアジトがわからんままになる」『そ、その通り』タキは相槌を打った。『今回は情報が要る。とっとと奴がアジトに帰るよう、念じたり祈ったりしろ。ソウカイヤがそこへ来てグチャグチャにする前に』

2016-10-28 01:31:31
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……!」ニンジャスレイヤーは配管パイプの上で蹲り、その目を殺意に光らせた。メイレインが再び歩き出した。ニンジャスレイヤーは配管パイプから飛び降り、標的につかず離れず、迷路じみて入り組んだ路地に入っていった。やがて現れたのはネオン看板の光すら乏しい、寂れた雑居ビルだった。

2016-10-28 01:41:56
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ビルは路地の突き当り。一階はチェーン店のドンブリ・ポン。どうやら閉店して放置の有様。まるで廃墟だが、メイレインは気にせず店の脇の通用口に入っていく。「追う」ニンジャスレイヤーは呟いた。『忘れるな』タキが強調した。『特にサンズ・オブ・ケオスの情報だ。絶対……』通信が不意に遮断した。

2016-10-28 01:53:47