もしドラの著者「岩崎夏海さん」。編集者としての覚悟をまとめてみた。
23)その責任の重さを思うと、ちょっと吐き気がしました。私たちは、大変なことをお願いしてしまったのです。 さて、それから井筒さんと私たちの絵本作りが始まりました。 まず、私たちは編集者として井筒さんに「ビジョン」を示さなければなりません。 「こういう絵本を作っていただきたい」
2016-11-26 22:31:0424)そういう明確な方向性を指し示せなければ、今の時代、編集者はお金をいただく資格がありません。なぜなら、もし作家の方がビジョンまで示されるのであれば、ぼくらは何一つすることがなくなってしまうからです。そうなってしまっては、もはや泥棒に近い。
2016-11-26 22:31:1925)ですから、私たちはまず「井筒さんが『面白い』と興味を示してくださるようなビジョンは何か?」ということから考えました。 そこで、私たちはこんなふうに思考しました。 井筒さんは、なにしろ日本一絵が上手い人のお一人なのだから、その絵本も日本一のものにする必要がある。
2016-11-26 22:31:4226)では、「日本一の絵本』とは何か? それは、「絵本の概念を変えるよう作品」だ。これまで誰も見たことがないような絵本のことだ。 なぜなら、歴史に残るような名作は、どれも発売されたときには、誰も見たことがないような絵本の概念を変えるようなものだったからだ。
2016-11-26 22:31:5727)そしてまた、こうも考えました。 日本一を目指すのなら、絵本の——あるいは単に本の「本質」に迫るものにしたい。 では、本の本質とは何か? それは、「絵と言葉とで何かを伝える」ということである。 では、何を伝えたらいいのか? それは「知」だ。
2016-11-26 22:32:2228)本はいつでも、「知」を伝えることを最大の使命としてきた。 では、伝えるべき「知」とは何か? そこまで考えたときに、私たちには一つのキーワードが思い浮かびました。 それは、「哲学」です。
2016-11-26 22:32:5629)私たちは、知の中でも最もポピュラーなものの一つ「哲学」をテーマに、井筒さんに絵本を描いていただきたいと考えたのです。 そして、それをお願いしたところ、最終的にできあがったのが、この作品です。 amazon.co.jp/dp/4265812015/
2016-11-26 22:34:0130)このタイトルは、哲学者である永井均さんの著書からヒントを得てつけられました。 永井さんは、こうおっしゃっています。 「哲学というのは、徹頭徹尾『問い』のことである」 この世には、さまざまな「もんだい」があります。実は、それは「こたえ」よりも重要なのです。
2016-11-26 22:34:3131)哲学者たちは、よく「こたえ」を見つけた人のように思われますが、それに先立つ「もんだい」を見つけた人でもあるのです。その考えにならって、ここでも『もんだい』とつけたのです。 この絵本には、世界を代表する15の偉人の肖像画と、彼らが見つけた「もんだい」とが描かれています。
2016-11-26 22:35:0232)出てくる偉人は、ソクラテス、パスカル、ニーチェなどの純粋な哲学者や、モーツァルトやゴッホ、紫式部などの芸術家、あるいはカエサルやガンジーなども含まれています。これを読めば、偉人たちが発見した「もんだい」をあらためて考えるきっかけとなるはずです。
2016-11-26 22:35:2033)この『もんだい』は、2016年12月10日に発売となります。 また、12月13日に、東京の青山ブックセンター本店で、作者の井筒啓之さんと私とのトークショーが開催されます。 aoyamabc.jp/culture/qsq/
2016-11-26 22:35:4534)このイベントには、私の相棒であるスドウももちろん参加します。 みなさま、ぜひいらしてください。そして、井筒さんがどのような絵を描かれたのか、またこの絵本をどのような思いで描かれたのか、ぜひその目撃者になってください。 よろしくお願いいたします。
2016-11-26 22:36:02@nekokumicho 援護RTありがとうございます。今回は著者という立場を初めて味わう故、心に染み入りますです。感謝。
2016-11-26 18:01:41うわ、いい仕事をしておくと絶対に誰かが何処かで見ていてくれる。評価してくれる。そう信じて40年近くやってきました。ありがとうございます。 twitter.com/nekokumicho/st…
2016-11-28 03:13:39noteに昨日のツイートをまとめました。 絵本の編集をするのなら絵本の概念を変えるようなビジョンを示せなければ今の時代は生きていけない|岩崎夏海|note(ノート) note.mu/iwasakinatsumi…
2016-11-27 10:37:05