ライトノベル作家・扇智史の考えたまどかマギカラストエピソード妄想

最終話ネタバレ満載注意。
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バーチャル後方見守り女/扇智史 @o_g_s_t_

魔女になれないソウルジェムは消滅する。消えたソウルジェムがどこへ行くのか、ほむらは知らない。まどかも知るまい。でも、もういいのだ。それがつまり死というもので、ちゃんとした死を死ねることは、ほむらにとって安息と同義なのだから。

2011-04-26 01:00:17
バーチャル後方見守り女/扇智史 @o_g_s_t_

その安らかな末期に、まどかが付き添ってくれるなら、それ以上に願うことなどありはしない。ずっとまどかといっしょに、という、たぶんそれこそが、ほむらのいちばん初めのささやかな願いだったんだ。

2011-04-26 01:02:20
バーチャル後方見守り女/扇智史 @o_g_s_t_

ほむらの手から、彼女の武器だった弓が離れた。まどかが、そこに矢をつがえる。涙がこぼれそうだった。それはあの、最初に魔女と戦った時のまどかにうり二つだったから。まだ神にはなれない、それでも魔法少女だった、あの、鹿目まどかだったから。ほむらの心に、もう、怖れはない。

2011-04-26 01:04:16
バーチャル後方見守り女/扇智史 @o_g_s_t_

まどかは少し哀しそうに、微笑んだ。彼女の矢は、ほむらを過たず射貫くだろう。そうしたら、まどかをもう誰も思い出さない。この世界が、たったひとりのあんまり優しすぎた少女に作り出された、ほんのちょっぴり優しい世界だったなんて、誰も知らないことになってしまう。

2011-04-26 01:06:15
バーチャル後方見守り女/扇智史 @o_g_s_t_

世界で最初の、途方もなく大きなないしょを、ほむらは抱えていく。

2011-04-26 01:07:23
バーチャル後方見守り女/扇智史 @o_g_s_t_

そしてまどかの鮮紅の矢は、まっすぐに、ほむらを射貫いた。砕ける寸前、ほむらは思い出した。

2011-04-26 01:07:49
バーチャル後方見守り女/扇智史 @o_g_s_t_

……ああ、最初に出会ったあの瞬間に、暁美ほむらの魂は、鹿目まどかに、撃ち抜かれていたんだ。

2011-04-26 01:08:11