ab07_tactさんの古英語講義その1

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なべ @ab07_tact

ふと思い立ってOE頭韻詞_The Seafarer_ http://bit.ly/j7cRi2 を読み出したので、最初の数行の読み方をつぶやいてみる。

2011-05-25 20:25:33
なべ @ab07_tact

読んでるのはSweet _Anglo-Saxon Reader_ http://amzn.to/lV7u3o 所収のやつ。適宜他のエディションも参照。辞書は基本的にClark Hall http://amzn.to/iFvrQh

2011-05-25 20:28:15
なべ @ab07_tact

(1-2a) Mæg ic be mē sylfum sōDgied wrecan,/sīþas secgan, 行の前半後半をそれぞれa, bと表すので、1行目から2行目前半という意味。

2011-05-25 20:32:12
なべ @ab07_tact

"eth"が"D"に化けてるけど気にしない

2011-05-25 20:33:07
なべ @ab07_tact

逐語的に訳すと、「Mæg できる(may) ic 私は be 関して(by) mē sylfum 私自身に(me self) sōðgied 本当の話を wrecan 語ることが/sīþas 旅路を secgan話すことが(say)」みたいになる

2011-05-25 20:36:26
Humi Neko. @Fumi3648

@ab07_tact おお、初学者の僕には非常に参考になります。

2011-05-25 20:38:32
なべ @ab07_tact

1行目"be mē sylfum"で、現代語的には"meself"になっている点に注意。myselfはもともとmeselfだったのに、herselfの類推で語形が変わったとも言われています。beは与格支配で、sylfumの-umは与格変化の語尾。

2011-05-25 20:39:40
なべ @ab07_tact

sōðgiedは2つの部分からなる。sōðは古語で"sooth"というのがあるけど、「真実」の意味。giedは「話」。合わせて「本当の話」になる。単数対格。

2011-05-25 20:41:16
なべ @ab07_tact

wrecanとその次行にあるsecganは不定詞。OEの不定詞語尾は-an/-ian。-ianだと弱変化動詞。この2つの不定詞は文頭のMægとつながる。

2011-05-25 20:43:01
なべ @ab07_tact

残ったsīþasはsīþの複数対格。強変化名詞男性複数の主格・対格は-as

2011-05-25 20:44:37
なべ @ab07_tact

(2b-3) hū ic geswincdagum/earfoðhwīle oft þrōwade,

2011-05-25 20:45:26
なべ @ab07_tact

逐語訳 「hū いかに (how) ic 私が (I) geswincdagum 苦難の日々に (-day)/earfoðhwīle 苦難の時に (-while) oft 幾度も・絶え間なく (often) þrōwade 耐えたかを,」

2011-05-25 20:48:18
なべ @ab07_tact

この部分も先の「私は~を語る事ができる」から継続。2bのgeswincdagumと3aのearfoðhwīleは共に与格。前者は複数形だが、OEでは複数形の与格はすべて-umで終わるので覚えやすい。ちなみにdagum (dæg)は強変化男性名詞。

2011-05-25 20:52:27
なべ @ab07_tact

earfoðhwīleは単数与格。hwīleは今のwhileだが、"time"くらいの意味。強変化名詞の単数与格は-eで終わる。

2011-05-25 20:54:27
なべ @ab07_tact

この2つの与格は時間を表す用法。現代英語で言うところの、例えば"at times"みたいなものだが、前置詞を伴わずに与格だけでその意味を表している。この用法はQuirk & Wrenn http://amzn.to/kNLMnr のp. 66に少し説明がある。

2011-05-25 20:58:07
なべ @ab07_tact

3行目最後、þrōwadeはþrōwianの1人称単数過去。不定詞が-ianで終わっている事から分かるようにこれは弱変化動詞。なので過去形は歯茎音の語尾を付加して作られる。

2011-05-25 21:01:08
なべ @ab07_tact

(4) bitre brēostceare gebiden hæbbe,

2011-05-25 21:02:24
なべ @ab07_tact

逐語訳 「[いかに] bitre 辛い (bitter) brēostceare (胸の心配事を) gebiden hæbbe 経験したか, [語る事ができる]」

2011-05-25 21:04:35
なべ @ab07_tact

4行目はほぼ現代英語の単語と同じだが、bitre brēostceare は対格。gebidenはbīdan "experience"の過去分詞で、gebiden hæbbeで今の現在完了と形の上では同じだが、OEではその用法はまだ未発達(ということになっている)

2011-05-25 21:08:37
なべ @ab07_tact

(5-6a) gecunnad in cēole cearselda fela,/atol yþa gewealc.

2011-05-25 21:09:06
なべ @ab07_tact

逐語訳 「gecunnad 経験した in cēole 舟の中で cearselda 悲しみの館を (care-) fela 多くの,/atol 恐ろしい yþa 並みの gewealc 動きを.」

2011-05-25 21:10:59
なべ @ab07_tact

5行目gecunnadも、-dで終わっている事から弱変化動詞。不定詞はcunnian。cēoleの-eは与格。inは与格と対格のどちらも支配するが、後者の場合は"into"の意味になるので注意。

2011-05-25 21:13:45
なべ @ab07_tact

felaは属格支配の形容詞(ここでは名詞扱い)なので、cearseldaは複数の属格になっている。felaは通例格変化をしないが、ここではgecunnadの目的語として、対格として解釈。

2011-05-25 21:16:51
なべ @ab07_tact

6a atol yþa gewealc もgecunnadの目的語(というか節?)。yþa (本当はyの上にマクロン)はyþの複数属格でgewealcにかかる。yþa gewealcで文字通りには「波の動き」だが、これは「海」をあわらすkenning

2011-05-25 21:19:55
なべ @ab07_tact

もう少しやろうと思ってたけど、入力がめんどくさいのでこの辺にします。

2011-05-25 21:20:29