藤代冥砂Twitter福島記

meisa fujishiro @meisafujishiro

福島記99　その後は郡山へ移動した。三時間一分です、とナビは爽やかに喋った。途中南相馬市の山中から道路に猿の群れが出て来た。日没後の水田が美しかった。阿武隈川の流れが美しかった。飯舘村や川俣、二本松では車内なのに高い数値が出ていた。　郡山では、昨日と同じくビールと餃子。本日終了。

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福島記100　昨夜連絡があった福島市飯坂在住の23歳の斉藤真木さんと急遽午前中に郡山でお会いした。もともと自分が一昨日訪れた霊山近くに住んでいたが、岩手大学に進み、環境科学を勉強し、現在は福島市の農業団体に春から広報担当として勤めている。姿勢が良く、訛のない滑舌のいい話し方は、

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福島記101　きっと職場でも重宝されているだろう。カメラを持参していたので、写真が趣味なのかと思ったが、そういうわけでなく実際仕事の取材で使うのだという。まだ未婚の斉藤さんは、将来子供を持つ身として、不安がないわけではないが、でもまだそれほどはっきりとした危機感はないと言う。

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福島記102　ここでも実感を持つことの難しさだ。周囲は表面上何一つ変わらない今まで通りの日常があり、学校の暑さ以外は、夏がマスクを忘れさせている。ファミレスでは、誰も何を食べたらまずいのかなんて気にしていないし、水も、野菜も平気で食べている。311以前と何も変わらない世界だ。

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福島記103　斉藤さんはそれでも周囲とのずれを感じつつ、現状に甘んじている。よくよく考えれば、結婚して子供を産むつもりなら、今の生活の仕方、放射能への対し方もちゃんとしなくちゃいけないのに、マスクさえしていないのは、矛盾してますよね、と声を小さくして言った。何も変わらない世界で

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福島記104　未来の負の可能性を見つめて生きることは、想像以上に困難なことだと自分も実感した。自宅にいる時にはかなり口に入る物を見ているのに、福島に来ると、かなり甘くなってしまう。いつの間にかゆるゆると緊張の糸を解かれて、気づくと楽な方へと流されてしまう。私はまだ就職したばかり

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福島記104　ですし、今は福島に残って、やれることを頑張ってみようかと思ってます。会話の最後の方で、意を決したように斉藤さんはきっぱりと言った。実家もありますし、親もいますしね。これまで何度となく、福島に残る理由の一つとして耳にしてきたことが、２３才の斉藤さんの口から出ると、

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福島105　あらためてその意見の層の厚さを感じた。もう仕方がないのだとう空気がすでに福島を束ねているようだ。いや、仕方ないというのではなく、初めからたいした事になっていない層も、変わらない世界を続けさせているのだろう。今回多くの場所を巡って、マスクをしている人は10人ぐらいしか

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福島106　見なかったのは驚きだった。マスクは放射能には効かないという噂も流れているらしい。子供を持つ母親の声を遮断しているのは、こういう地元のムードも一つの要因としてあるのかもしれない。だが、一方で子供を持つ母親を中心に危機感と不安を抱えながら、なんとかこの地で生活している層も

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福島107　確かにいる。今回は時間切れとなってしまったが、命のかかった問題はのんびりと構えてはいられない。見て聞いてを繰り返しただけの今回だったが、自分の出来ることとして、それだけは繰り返していきたいと思う。斉藤さんは、最後に伝えたいこととして、とにかく福島を忘れないで下さい、

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福島記108　とはっきりと言った。「とにかく福島を忘れないこと」変わらぬ世界で平然と暮らしているように見える福島の方々、胸の中の苦しみを平静さを装うことで乗り越えようとしている方々、声を出して訴え続ける方々、一時避難しても残した夫や家族を思い続け、いつか帰りたいと願う方々。

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福島記109　それぞれに共通した思いがあるのなら、それは「福島を忘れないでください」なのかもしれない。了。

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福島記つけたし。　長々と140字の約束を破りつつ続けた報告もおしまいです。読んで頂き、ありがとうございました。福島で、特に子供を持つ母の言葉をちゃんと聞きたい、その思いだけで福島の各地にお邪魔させていただきました。一つしか会う約束がないままに出発しましたが、ツイートを拡散して

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福島記つけたしあふれ。　いただいたおかげで、行く先々で多くの出会いに恵まれ、結果、層の厚い意見をうかがうことが出来ました。また、毎日寄せられた感想、励ましに、疲れを一切感じない単独行となりました。最後の二夜は「福島」と美味しいビールで乾杯できました。どういう形に成るかは未定ですが