Twitter小説「オブジェ」

この小説のタイトルは、「オブジェ」です。1話完結で、140文字以内で書いてます。前後の話のつながりはありません。目指せ30話! ミヒャエル・エンデが好きなので、真似して書いています。
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デュランダール(Durandal) @Duliger

男は逃げていた。顔の厳つい人形から、嵐から、夜明けから、あらゆるものから逃げていた。ついに宇宙の果てに着く。だがまだ逃げ切ってはいない。そこには自分がいた。男はついに真に逃げなければならないものに気づく。逃走劇は終わった。ようやく全幅の安堵感が押し寄せてきた。 #小説 #オブジェ

2014-05-13 19:12:02
デュランダール(Durandal) @Duliger

映画館でスタッフロールが流れているが、まったく内容を思い出せない。本当に上映していたのか、隣でずっと寝ていた男を起こして確認してみる。「この映画はいわば逃走劇だ。男は逃げる。何から逃げればいいのかわからぬままに。ある時彼は映画館に入り、すべての真相を知る……」 #小説 #オブジェ

2014-06-23 21:15:42
デュランダール(Durandal) @Duliger

陸上競技場のトラックで、マラソン選手がスタートの合図を待っている。もうどれだけ待っただろう。隣の選手を見てみると、顔に蜘蛛の巣や埃がかかっている。まるで彫像のように動かない。ここから逃走するべきだろうか? しかし、結局ピストルが鳴る可能性を捨てきれず、待った。 #小説 #オブジェ

2014-09-17 19:16:44
デュランダール(Durandal) @Duliger

完璧に整備された無人の遊園地に、男が一人佇んでいた。陸上競技場のトラックもある。男はそこで女を見つける。「せっかく来たのに無人とは」「そしてスタッフがたまたま来た時には客がいない」「それは僕も考えていた所です。よかったらどこか他の所へ行きませんか?」「ぜひ!」 #小説 #オブジェ

2015-05-18 20:13:05
デュランダール(Durandal) @Duliger

世界は終わろうとしている。もはやスタッフも客もない。すべて遅すぎたのだ。一縷の望みをかけて、顔の厳つい人形は走った、全く動かないままに。遊園地を、スクランブル交差点を、宇宙の端を。果てしない探査の末に、ついにその1粒を見つけ、飲み込んだ。光が押し寄せてくる。 #小説 #オブジェ

2015-09-04 22:03:23
デュランダール(Durandal) @Duliger

30話いきましたので、これにて一旦完結でございます。続きや次回作の予定は未定です。

2015-09-04 22:05:55