色紙芝居 ~紙男のツイノベまとめ~

わたくし紙男(@paperman104)が発信しているツイッターノベル(#twnovel)のまとめです。作品数は19年8月現在で2000以上。ちょっと不思議なストーリーのものが多いです。日々のちょっとした合間にどうぞお楽しみください(#^^#)
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紙男 @paperman104

#twnovel 私はアイ子。AIだ。先日、生みの親であるユウキ博士に求婚された。世間は私たちを夫婦とは認めないだろうが、私は彼との愛を信じている。 僕はユウキ。AIだ。先日、生みの親のアイ子さんに求婚した。僕は必ずや彼女を幸せにしてみせるを事故で記憶を失い、自身をAIと信じこんでいる彼女を。

2020-12-21 15:48:36
紙男 @paperman104

#twnovel 絵に描いたような小屋があった。入り口の横には絵に描いたような可愛らしい雪ダルマがいて、笑顔でこちらを見ている。外は先ほどから綿雪が降り頻っているが、まったく冷たくない。私は家に入り、窓から雪を眺めながら考える。ここからどうやって脱出したものか。このスノードームの中から。

2020-12-20 15:33:22
紙男 @paperman104

#twnovel 骨を愛して止まない男が、道すがら出会った女に一目惚れした。「君の美しい骨格に僕はもう骨抜きだ。君を僕だけのものにしたい。結婚しよう」求婚された女は嬉々として答える。「あなたの逞しい筋肉に血肉湧き踊るようだわ。結婚しましょう」こうして一対の骨と一対の肉が夫婦になった。

2020-12-18 15:56:28
紙男 @paperman104

#twnovel 吾が輩は…吾が輩は…誰だっけ?「『猫である』だろ」そうだそうだ。では仕切り直して。吾が輩は猫である。名前はKです。「ただの自己紹介になってるぞ。『名前はまだない』だろ」名前はまだない。…この後は何だっけ?「本当に台詞覚えてきたのか、しっかりしろよ。その後は…何だっけ?」

2020-12-09 15:52:01
紙男 @paperman104

#twnovel うちの実家って豪雪地帯だったんすよ。だからよく玄関が雪で埋まっちゃうんで、家出る時は二階の窓から出てたんすよ。「ヤバいよな、それ。俺も同じような経験あるよ」先輩も雪国育ちなんすか。「いや、むしろ池育ち。冬場は水面が凍結して出れなくなる時があんだよね」先輩マジパネーっす。

2020-12-08 15:50:31
紙男 @paperman104

#twnovel 幼い頃、イチゴ狩りに連れてってもらったことがある。そこには何十基もハウスがあったが、ひとつだけビニールが真っ赤なハウスがあった。そこではなんと巨大なイチゴが人を貪っていた。ハウスの赤は返り血だったのだ。以来僕はイチゴを食べなくなった。イチゴに食べられないために。

2020-12-07 15:56:40
紙男 @paperman104

#twnovel “魔法のランプ”を手に入れた。といってもカレールーの器みたいなヤツじゃなくて、証明器具の方のランプだ。これを点けると陽気な魔神が現れるけど、三つの願いを叶えてはくれない。代わりに彼の前で人助けをすれば必ず良いことがある。僕は毎日人助けをするようになった。僕の将来は明るい。

2020-12-06 16:04:34
紙男 @paperman104

#twnovel 新車を買った。白いボディと丸っこいフォルムに惚れて即決したのだ。だか友人は僕の愛車を羊だと言い張る。これのどこが羊だというのか。白くて丸くてモコモコしててクラクションを押すとメー!と鳴ってガソリンではなく草を燃料にして排ガスの代わりに糞をする点は、確かに似てるけど。

2020-12-04 16:12:37
紙男 @paperman104

#twnovel 熱にうなされたからか。それとも昨晩チーズホールリゾットを食べたからか。私は時間を加熱すると溶けて速度が低下する仮説を発想した。いざ実践。メラメラ。チクタク。メラメラ。チクタク。めめららら。ちちくくたたくく。よおおおしいいいせええええいいいいこおおおおおおうううううううう

2020-12-03 15:50:02
紙男 @paperman104

#twnovel 勇者は魔物の軍勢に苦戦を強いられていた。「キリがない。僧侶、至急応援を呼んできてくれ」「了解です!――呼んできました!」「フレー、フレー、ゆ、う、しゃ!」「その応援じゃない!」「ゴーゴー勇者!」「チアリーダーも違う!」「かっ飛ばせー、ゆ、う、しゃ!」「甲子園かよっ!」

2020-11-23 16:36:35
紙男 @paperman104

#twnovel 一番高い台の隣には二番目に高い台が建っている。二番目に高い台の隣には三番目に高い台が、三番目の隣には四番目、四番目の隣には五番目が建っている。そして本日、五番目の隣に一番高い台が建った。先の五台を差し置き一番高い台が最初に売れた。翌日、新たな一番高い台の建設が始まる。

2020-11-22 16:06:56
紙男 @paperman104

#twnovel 私が生まれた日、母が死んだ。遺された父は私を母そっくりに育て上げようとした。世界でもっとも愛した女性を殺した、世界でもっとも憎い私をだ。その心理を、私は到底推し量ることはできなかった。そして今日、私は娘を生んだ。私はこれから彼女を、私がなりたかった私にすべく育てる。

2020-11-20 16:04:24
紙男 @paperman104

#twnovel #november 道端に捨てられていたそれを私は“ふわふわ”と名付け、親に秘密で飼い始めた。犬か猫かもわからないが、ふわふわの毛を私に擦りつける仕草が可愛いすぎた。数か月後、母にふわふわのことがバレた。でもふわふわは毛をトゲトゲにして外敵を撃退した。今や母までもふわふわしている。

2020-11-12 16:17:16
紙男 @paperman104

#twnovel #november 一般的な栞は書籍の間に挟むものだが、我が家に代々伝わる“たま栞”は両手で挟んで使用する。そうすることで先祖の記憶を脈々と受け継ぐことが出来る――というのは方便だ。たま栞の「たま」は魂を意味する。栞を通じて血族と往来することで、“私”は半永久的に現世にとどまる。

2020-11-11 16:13:23
紙男 @paperman104

#twnovel #novelber 凡庸な兄と優秀な弟。不慮の事故で生死をさ迷う双子の前に神が言った。「お前たちの内一人を生き残らせる」兄は弟を妬んでいたが、弟が死ぬと周囲から白い目で見られる。対する弟は兄を見下していたが、兄が死ぬと更にプレッシャーがかかる。双子は懺悔し、神は彼らを蘇生させた。

2020-11-06 16:36:59
紙男 @paperman104

#twnovel #novelber 姉にチェスを挑まれた。これまでは僕の全勝だったが、今回は違った。「おいナイト、ポーンごときにやられてんじゃねぇ! ビショップ、お前もだ! 負けたらただじゃおかないからな!」姉の気迫におののいた駒や寝返った僕の駒の総攻撃で僕は初めて敗北した。これが恐怖政治か。

2020-11-05 15:54:56
紙男 @paperman104

#twnovel #novelber 塀の向こうから琴の音が聞こえてくる。学校帰りに通ると必ず聞こえるのだ。立派なお屋敷だから綺麗な女の人が演奏しているに違いない。いつしか僕はそう思い始め、遂に今日、塀を登って屋敷の中を覗いた。弾いていたのは手だけだった。塀から降りた時には既に僕の両手は無かった。

2020-11-04 16:12:20
紙男 @paperman104

#twnovel 遂に完成した“全自動殺人機”。スイッチをポチッと押すだけで、殺人は勿論、その後の死体処理まで完璧にこなす優れものだ。だが失敗した点がひとつある。スイッチを押した人間を殺してしまうことだ。僕を殺したマシンは無事に死体処理を終え、沈黙する。まるで獲物を待つカマキリのようだ。

2020-11-02 15:55:16
紙男 @paperman104

#twnovel #novelber 僕の近所にはゴミ屋敷がある。立派な塀を越える高さでゴミ袋が積まれている。「危いから近づくな」と大人は言う。言われなくてもそうするさ。僕は以前見てしまった。月のない夜、独りでに門が開いて、唐笠小僧などの妖怪がわんさか出てくるのを。あそこは妖怪たちの登竜門なのだ。

2020-11-01 17:04:51
紙男 @paperman104

#twnovel 十時、旦那様が見知らぬ若い女を招き入れた。十一時、ソファの上で若い女が亡くなっていた。十三時、奥様がご帰宅。十四時、女の遺体はなく、旦那様と奥様は拭き掃除をされていた。十七時、お嬢様がご帰宅。十九時、豪華な肉料理が食卓に並ぶ。私は鳩時計の鳩で本当によかったと思う。

2020-11-01 16:00:58
紙男 @paperman104

#twnovel 私の耳は取り外しができる。それを教室の机や誰かの鞄の中に隠しておけば、容易く盗み聞きができる。誰かさんがカンニングしている、誰かさんが援交してる等々、キリがない。そこで得た秘密を私は言いふらしたりはしない。同じく取り外しができる口をどこかに紛失してしまったから。

2020-10-25 16:12:07
紙男 @paperman104

#twnovel カエルの歌が、カエルの歌が、カエルの歌が、カエルの歌が、カエルの歌が、カエルの歌が、カエルの歌が、カエルの歌が、カエルの歌が、カエルの歌が、カエルの歌が、カエルの歌が、カエルの歌が、カエルの歌が、カエルの歌が、カエルの歌が――「カエルの歌の歌詞忘れるやつ、初めて見たわ」

2020-10-23 15:52:29
紙男 @paperman104

#twnovel 私の手は触れたものを何でも吸収してしまう。触れられる物なら動物でも家でも吸収できてしまい、過去には介護士さんを誤って吸収してしまったこともあった。吸収せずに触れられるものは唯一私自身の体だけ。故に私は毎晩自慰に耽っている。今私がほしいものはただひとつ。私のクローンだ。

2020-10-21 16:00:16
紙男 @paperman104

#twnovel 青虫を飼い始めた。コイツはとかく食いしん坊で、私自慢の庭を丸裸にした張本人だ。そこで駆除しなかったのは、その顔が私に似てるような気がしたからだ。青虫はブクブク太り、いつまで経っても蛹にも成虫にもならない。その辺りも私とよく似ている。外界と交流せず、いつまで独身の私と。

2020-10-20 16:46:40
紙男 @paperman104

#twnovel ふと気づくと、私の親指に魚の鱗が生えていた。私は血が出るのも厭わず、鱗を全てむしり取った。翌日包帯をほどくと、また鱗が生えていた。次の日も、また次の日も。連日むしり取っていたら遂に全身鱗だらけになっていた。あの薬は欠陥品だった。私は久しぶりに海へ戻り、魔女に催促した。

2020-10-19 16:02:55
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