小菅信子先生による「〈福島〉と〈フクシマ〉のあいだ」まとめ

近現代史、国際関係論、平和研究に携わる小菅信子先生による、「広域放射能汚染への恐怖による国民的な不信の連鎖を断つための政治思想史的試み」 アプローチの参考として纏めさせて頂きました。
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本多 敬 @owlcat_says

科学者集団は、技術的観点から原発廃止が「適当」か否かを判断できるだけだ。政治的観点から「危険」と看做し止める「べき」か否かを決定する事はできない。国民の民主的な自立的決定は、科学と共存したいが、産業に奉仕する根拠は無い。厄介な点は、技術というものは、科学と産業の中間にある事なのだ

2011-12-31 00:31:18
本多 敬 @owlcat_says

国民の民主的な自立的決定は、科学と可能な限り共存したいが、産業に奉仕する根拠は皆無。厄介な点は、日本人は、原発技術を、科学と産業の中間にあるように考えている事ではないでしょうか。しかし私達は、国民投票を行ったイタリア人の知恵に従い恐怖から自由になる為に、危険な原発を廃止しましょう

2011-12-31 01:07:30
本多 敬 @owlcat_says

記号は、恣意的(必然性なし)で取り決めに拠る。ソシュールは次の事を言い忘れていた。恣意的である故に、記号と記号の間にポピュリズムの政治が働く危険があると。例えば、音と意味の間には代表関係が存在しないが、音はこの「なにも代表しない」ことによって、意味の全体を代表してしまう詐欺を行う

2011-12-31 11:41:29
🇺🇦4回目接種済💉💉💉💉閑職社畜ポエマー❤️ほそぴぃ @hosopy_dx

@owlcato 私も文系だし反証可能性を考えると安全性を判断するのは困難だが、一番の問題は地方の弱みの上に成立している点だと思う。だから地元のチェックがどうしても脆弱になる。これは火力も水力も一緒。誘致など自由意志で判断できない制度を維持するのは、この時代に如何なものかと。

2011-12-31 06:55:03
本多 敬 @owlcat_says

時々RTさせていただく小菅信子さんは、3・11直後の時、「エネルギー植民地主義」の現状を批判的にとらえるアプローチの構築をご提案なさっていました。確かに、東京という大国の犠牲になって、立退きが起きていますし、いまだに福島の人々は自身を代表できない現実があります@hosopy_dx

2011-12-31 12:16:25
小菅 信子 Nobuko M KOSUGE @nobuko_kosuge

こんにちは、ふくろうねこさん @owlcato。ご紹介ありがとうございます。では、これから、ちょっと長くなりますが、ここのところ私が考えている問題を説明いたしますね。まだ問題提起と問題の重要性の指摘、仮説…の段階ではありますけれど。 @hosopy_dx

2011-12-31 12:21:27
小菅 信子 Nobuko M KOSUGE @nobuko_kosuge

「〈福島〉と〈フクシマ〉のあいだ」 東電福島第一原発事故の発生以来、広域放射能汚染への恐怖から、不信の連鎖が日本社会に渦巻いている。私は、とくに、事故発生からほどなく福島をフクシマと片仮名書きする表記が急速に拡散したことに注目し、①

2011-12-31 12:23:35
小菅 信子 Nobuko M KOSUGE @nobuko_kosuge

「〈福島〉と〈フクシマ〉のあいだ」 フクシマ表記の起源・含意・拡散経緯、ならびに「フクシマ」に反発する「福島」表記の含意などを、それぞれ明らかにしたい。そのうえで、二表記のあいだの政治思想的齟齬を検証し、「唯一の被爆国」を一アイデンティとする戦後日本のナショナリズム史の上に、②

2011-12-31 12:28:04
小菅 信子 Nobuko M KOSUGE @nobuko_kosuge

「〈福島〉と〈フクシマ〉のあいだ」 この問題を位置づけうるか否かを考察したい。そのさい、いたずらに〈福島〉と〈フクシマ〉二項対立的議論として扱うことなく、放射能汚染をめぐって動揺する現代の日本思想を分析し、広域放射能汚染による国民的な不信の連鎖を断ち切るための解法を提案したい。③

2011-12-31 12:30:58
小菅 信子 Nobuko M KOSUGE @nobuko_kosuge

「〈福島〉と〈フクシマ〉のあいだ」 私の関心は、限界状況における人間性の保護にある。本年3月11日に東日本大震災と東電福島第一原子力発電所の大事故が発生した後、『毎日新聞』(2011.5.11)『東京新聞(夕刊・同.9.2)『自由思想』(第123号・第124号)などに寄稿した。④

2011-12-31 12:36:03
小菅 信子 Nobuko M KOSUGE @nobuko_kosuge

「〈福島〉と〈フクシマ〉のあいだ」 現在、広域放射能汚染への恐怖に根ざした不信の連鎖が日本社会を疲弊させ、被災地復興の障害ともなっていることを深く憂慮している。この不信の連鎖を断ち切ることは再生のための急務である。以上を踏まえて、⑤

2011-12-31 12:39:56
小菅 信子 Nobuko M KOSUGE @nobuko_kosuge

「〈福島〉と〈フクシマ〉のあいだ」 私は、反原発運動のいわば「聖地」としてのフクシマと、「郷土」としての福島という二つの表記の含意に注目し、「唯一の被爆国」という、平和愛好的であると同時に、被害者意識や愛国主義に潤色されやすかった戦後日本のナショナルアイデンティに、⑥

2011-12-31 12:42:58
小菅 信子 Nobuko M KOSUGE @nobuko_kosuge

「〈福島〉と〈フクシマ〉のあいだ」 今次の原発事故とそれに続く広域放射能汚染が与えたインパクトを政治思想史的に考察したい。日本社会に蔓延しつつある放射能恐怖と国民間の相互不信の現状を分析することで、国民的不信の連鎖を断ち切るための、一解法を探ることができるだろう。⑦

2011-12-31 12:45:22
小菅 信子 Nobuko M KOSUGE @nobuko_kosuge

「〈福島〉と〈フクシマ〉のあいだ」 具体的には、広島・長崎への原爆投下から、第五福竜丸事件の衝撃、チェルノブイリ原発事故を頂点とする内外の一連の原発事故、そして現在進行形の東電福島第一原発事故にいたるまでの時期の対象に、「放射能とナショナリズム」という切り口から、⑧

2011-12-31 12:47:23
小菅 信子 Nobuko M KOSUGE @nobuko_kosuge

「〈福島〉と〈フクシマ〉のあいだ」 あらたな政治思想史的問題として立論を試みる。そのさい、一般にいわれるような「東日本」と「西日本」とのあいだのいわゆる温度差についても検証を行なう。⑨

2011-12-31 12:49:01
小菅 信子 Nobuko M KOSUGE @nobuko_kosuge

「〈福島〉と〈フクシマ〉のあいだ」 次に、たとえばウェード・アリソン『放射能と理性』(峯村利哉訳、徳間書店)が提案しているような「理性」的な対応が、日本において受け容れられにくいのか否かについて考える。そのさい、「御用学者」「エア御用」といったラベリング問題についても考察する。⑩

2011-12-31 12:53:54
小菅 信子 Nobuko M KOSUGE @nobuko_kosuge

「〈福島〉と〈フクシマ〉のあいだ」 また、「フクシマ」と「福島」それぞれのリアリティとイメージについて、丹念なフィールドワークとその記録化を行なう。同時に、主要な文献や言説を丁寧に分析し、あくまでも実証研究を通してアプローチする。 ⑪

2011-12-31 12:55:24
小菅 信子 Nobuko M KOSUGE @nobuko_kosuge

「〈福島〉と〈フクシマ〉のあいだ」 したがって、これはきわめて重要な点であるが、私は、「フクシマ」と「福島」を単純に二項対立的なものとはみなさない。また、これらの表記の含意は、今後変化しうることもありうる。⑫

2011-12-31 12:57:57
小菅 信子 Nobuko M KOSUGE @nobuko_kosuge

「〈福島〉と〈フクシマ〉のあいだ」 私は、開沼博氏の展開するような「原発を抱きしめて」エネルギー植民地となることを選んだポストコロニアルな表象としての「フクシマ」論に敬意を表する。同時に、私は、自説をもって〈中央VS地方〉の二項対立的構図を強化することを目的としない。⑬

2011-12-31 13:01:07
小菅 信子 Nobuko M KOSUGE @nobuko_kosuge

「〈福島〉と〈フクシマ〉のあいだ」 私は、反原発運動の「聖地」としての「フクシマ」誕生の他者性や問題性を、戦後日本のナショナリズム史をひもときつつ、多面的・重層的・多角的に明らかにしたい。これは、広域放射能汚染への恐怖による国民的な不信の連鎖を断つための政治思想史的試みである。⑭

2011-12-31 13:06:35
小菅 信子 Nobuko M KOSUGE @nobuko_kosuge

「〈福島〉と〈フクシマ〉のあいだ」 私は、この研究で、インタビュー調査の結果の記録化や復元の方法について、注意を払いたい。「苦悩の記憶」についてインタビューを行なってきた者のなかには、他者批判や攻撃のため被害者の「証言」を利用し、その史料的価値を下げてしまう例が少なくなかった。⑮

2011-12-31 13:11:35
小菅 信子 Nobuko M KOSUGE @nobuko_kosuge

「〈福島〉と〈フクシマ〉のあいだ」 そのような学術的過誤をおかすことなく、インタビュー調査の記録化と復元、そして共有のための新たな方法論を構築したいと考えている。⑯ さしあたり、以上。

2011-12-31 13:13:42
本多 敬 @owlcat_says

小菅先生、深く感謝いたします。ご説明頂きました示唆に富む貴重なご思索を共有できますこと、本当に嬉しいかぎりです!これから茅ヶ崎に出かけますが、今夜帰って来て、不十分と思いますが、私なりの感想をツイートできるだろうかと考えています@nobuko_kosuge @hosopy_dx

2011-12-31 13:21:41
本多 敬 @owlcat_says

<福島とフクシマのあいだ>ζ 原発推進派vs反(脱)原発派を、科学vs宗教の如き構図に還元して理解してしまっている人々が多いと思う。炉心の問題は基本的には技術の問題だが、マスコミがこの問題を物理学の言葉に語らせていることと関係があるのか?無関心層、沈黙する原発容認派を生産している

2012-01-01 09:49:59
本多 敬 @owlcat_says

<福島とフクシマのあいだ>ε「原発反対派と原発推進派。あなたはどちらを信頼しますか」。答えは決まっている。次の質問が厄介だ。「どちらを信頼できますか?原発を反対する人で差別する者、原発を容認する人で差別に反対する者」。しかし質問が間違っている。反原発と差別の共存はあり得ないからだ

2012-01-01 09:52:14